魔眼がみつめるこの世界~転生した私は好きに生きる。だから聖女にはなりたくない~

悪転

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2話 前世と今世

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父親と母親といっしょに自分の部屋まで帰って来た。

右足が捻っていたかったので、父親にお姫様抱っこの形で運んでもらった。

医者の人に、走っているときに捻った右足首を見てもらったが、骨は折れておらず、靭帯にも問題なかった。念のためテーピングで固定し、水を入れ袋で足首を冷やしている。



「無理をしてはダメだよ。ルセリア」

「何かあったら執事やメイドを呼んでね、ルセリア」



二人が私の額にキスをしてくる。

ちょっと恥ずかしくなったけど。

部屋を出ていこうとしたので、二人に



「おやすみなさい」



二人は笑顔で

「おやすみ」

「おやすみなさい、ルセリア」

と私にかえして、部屋から出ていった。



その夜、泣き疲れた私は、ぐっすり寝てしまった。



その為か、今度は本物の夢だろうか、前世の自分の夢を見た。前世の私は介護の仕事をしておりお年寄りの世話をしたり、また鍼灸師と柔道整復師の資格を持っていたので、休みの日は近所の人に鍼灸や手技をしてあげていた。「ありがとう」といわれるのが好きで、お医者様ほどではないが、誰かをなおしたり、助けるということが好きだった。



しかし、そんな生活を送っていく中で大きな天災が起こる。

震度7以上の地震が起こり、住んでいた家が崩れ、何とか生き延びたものの道路に出て避難する。



「早く逃げないと、津波が来るかもしれないぞ」

「早く家から出るんだ!」

「家が傾いているぞ」

「あそこ、燃えてるぞ」

「少しでも高いところに行くんだ」

「誰か、いませんか」

「まだ、この家の中に人がいるぞ」

「家がつぶれてる!!!」



地震により、みんなが慌てて、冷静な判断が取れなくなっている。私も同じで、パニックになっている。だだ、早く逃げなくては、という気持ちだけはしっかりしていたので、避難所に向かって歩き出す。歩いていると、崩れた家や同じ方向に向かって歩いている人たちが目にはいる。

地震という一つの天災が、私たちの暮らしを大きく変えた。

避難所に向かって歩いていく中で、さっきよりも落ち着きが出てきた。



歩いている途中、ほかの家の中から子供の声が聞こえた



「た、助けて、だれか!」

声がする方に目を向けると、かなり家が崩れかけている。少しためらったが、助けるため家の中に入り、家の中を探し回ると棚に足がはまって動けない女の子を見つける。

棚に力を入れ、隙間を作り女子を救出するが、女の子は棚で足を圧迫されていたため、うまく歩くことができないため、肩を貸してあげようとしたとき、余震が起こる。



「ウソ、何もこんな時に?あ、?」





ガーガーがシャーーーーーーん



悲鳴のような音を立てて家が崩れる。



意識がもうろうとする中で、目をあけると私は女の子を抱きしめていた。私の腕の中で気絶したのか女の子はすぅーすぅーと息をしていた。私の背中には女の子をかばった時の代償に崩れた家の瓦や木が体に刺さっていた。口からも血が出てきており、これまでかなぁと覚悟する。

腕の中にいる女の子はどうなるのか。



「ごめんなさい。助けてあげられなくて」



涙を流しながら涙声でつぶやく。

段々と眠たくなってくる。私は今までの人生はどうだったか思いかえす。



もっとおいしいものを食べたかった。


もっといろんなところに行ってみたかった。




もっと誰かを笑顔にしたかった。






もっと生きていたかった。








恋がしたかった。



まだ自分がやりたいことがこんなにあったとに気づく。



神様もし生まれ変われるなら、もっと長く生きて、もっといろんな国にいって、たくさんの人たちの笑顔が見たい。そして、恋がしたい。そう願っている中で、


私の命はそこで尽きた。





「お嬢様起きてください」


メイドが優しく私を起こす。
目が覚めてみれば、やっぱり、私は生きているんだと実感する。
昨日捻った右足首を確認すると、まだ痛かったが、歩けないというほどではない。固定してもらっていることもあるが、調子はいい。


「おはようございます。あのあなたは?」

「はい、お嬢様専属のメイドのアリサといいます」

「専属のメイド?」

「はい、お嬢様のメイドです」

執事やメイドいることに昨日驚いたが、まさか専属のメイドまでいるとは。
みんな私が高熱を出したため、記憶がないのは知っている。
アリサが私の着替えを手伝ってくれる。
最初は、恥ずかしくて、自分でできるからと断りを入れたのだが、

「私の仕事がなくなります。どうか、させてください」

と逆に頼まれてきた。ウルウルした瞳で私を見つめてくる

「わかりました」

「ありがとうございます。お嬢様」


仕事を奪うわけにもいかず私はアリサに着替えを手伝ってもらっている。着替えをしていきながら、私はこの世界のことを教えてもらうため専属のメイドであるアリサに尋ねる。 アリサは優しい笑顔で丁寧に教えてくれた。


私の名はルセリア・アストライア12歳。


この国ユースティア王国のアストライア公爵家の令嬢。

話を聞く限りでは、前世で私が読んでいたラノベ小説などの中世ヨーロッパあたりの世界に酷似してるように思う。ただ違うのが、この世界には魔眼を持って生まれる人がいるという。主に貴族に、もって生まれるものが多いと言う。魔眼には様々なものがあり。中でも1番貴重とされるのが予知の魔眼だという。歴史に名を残すものや、英雄になるものはこの魔眼を持っていたと言われている。


「予知の魔眼?」

「そうです、、お嬢様、男性が持てば英雄に、女性が持てば聖女になれると言われるくらいです」

「どうして?予知の魔眼を持っているだけなんでしょ」

「私も詳しくは知りませんが、予知の魔眼によって、王族を暗殺者から救ったとか。戦争国の動きを伝え、勝利をもたらしたとか。地震や台風など国に伝え、多くの民を救ったとか。たくさん伝わっていますね」

「それだけ聞いたら、確かに英雄や聖女と言われても仕方ないのかしら?」

アリサの話を聞き昨日のことを思い出す。もしかしたらと自分の中で思うが、辞めることにした。

「その?予知の魔眼を持っているのは、今は何人くらいいるの?」

「ウフフ、お嬢様、魔眼を持っている人は多くないんですよ。ましてや予知の魔眼を持っている人は今の時代には確認されていないです」

「そうなの?」

「はい。どの国でも魔眼をもって生まれた人は珍重されますが、その中でも予知の魔眼をもって生まれた人が見つかった世界中から注目をうけますよ」


「そ、そうなんだ!」

魔眼の話を終えて、私は考える。

前世の私はあまり目立つのが好きではなかった。予知の魔眼を両親に話したら大騒ぎになっても困ると考えた私は魔眼のことを誰にも話さないようにしようと心に決めた。
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