遺言

小倉千尋

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第三章

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「今日の予定は?」
「今考えてるとこさ」
「私は事務所に行かなくていい開放感があるわ」
「昨日まで出社したいって駄々をこねてたじゃないか? 心変わりしたのか?」
「何か専業主婦みたいな感じに幸せを感じてるの」
「心変わりが早いな、その調子で俺を放り出さないでくれよ」
「流石にそれはあり得ないわね、逆にあなたが出掛けて帰ってこなかったらどうしようって不安の方が大きいわ」
「心配するな俺の帰る場所はここだけだ」
「だったら安心してても大丈夫よね?」
「大丈夫だ、安心しておいてくれ」
「わかったわ」
「今日の予定が決まった、昼間数時間出掛ける、すまないが昼飯は一人で食べてくれ十四時には帰ってくる予定だ」
「わかったわ、危ない事をしに行くの?」
「いや、ただの監視だ」

 山中の行動パターンを覚えておいて損はないと思ったからだ。山中の場合夜に仕掛けるのは難しそうだ。
  
 十一時に自分の車で島村不動産へ向かう、店内まで見渡せる場所に停車し様子を伺う。客はいなかったが、全員何か事務仕事をしているようだ。
  
 十二時、また女性事務員から順に昼休憩に入ったようだ、二人出て来て三十分程で戻って来る、入れ替わりにまた二人が出て行く、その繰り返しを見ていた。
  
 十三時、予定通り山中が出て来る、山中は前回も一人だった。俺は車を降り後を付け始める。すぐ近くの路地に入って行く物陰から見ていると十メートル程先の定食屋に入っていった。俺は定食屋を通り過ぎ、近くを見て回ったビルばかりだが左右とも廃ビルになっている。片方は入り口がロックされていたもう片方は中に入れるようだ。廃ビルの先は行き止まりになっている。そうこうしてる間に定食屋の扉が開く音がしたので隠れて覗く、山中が出てきて表通りに消えて行った。後を追うとそのまま事務所に戻っていった。
  
 俺も車に乗り込み、由香里が待つマンションに帰った。
  
「ただいま」
「おかえりなさい、時間ぴったりね。何か食べたの?」
「いや、監視をしてたから食べてない。何か食べさせてくれるか?」
「こんな時間だしスパゲティにしましょ」

 数分で茹で上がった様だ、テーブルに着くと皿が二つ用意されてる。
  
「由香里お前食べずに待ってたのか?」
「ええ、帰る時間がわかってたから待ってたの」
「今度からは待たずにちゃんと食えよ、今日みたいに時間が守れるとは限らんからな」
「わかったわ」

 頂きますと言い二人で食事をする。
  
「美味かった、ごちそうさま」

 リビングに移る、コーヒーが二つ運ばれて来る。マグカップの方を取って飲み始める。
  
「収穫はあったの?」

「ああ、一人の行動パターンが掴めた。近い内にとっ捕まえて話を聞かせてもらう」
「穏便にって事じゃなさそうね、いくら相手がヤクザでも人殺しはしないで、私からのお願いよ」
「わかった、俺も人殺しまではしたくないからな」
「安心したわ」
「ところでチョコレートはないか?」
「冷蔵庫を見てくるわ」

 付いて行った。
  
「これしかないわ」
「十分だ、それに豆乳があるじゃないか、飲ましてくれ」
「今持っていくわ、リビングで待ってて」

 すぐに運ばれてきた。
  
「あなた、チョコレートと豆乳も好物だったのね。意外な一面発見よ」
「スナック菓子は食べないがチョコだけは食べる。豆乳も調整豆乳が好物の一つだ」
「私と一緒ね、私もスナック菓子は苦手なのよ、でもチョコと豆乳は切らした事がないわね、両方共美容にいいのよ」
「らしいな、大豆イソフラボンだっけあれが女性にいいって聞いたことがある」
「よく知ってるわね、その通りよ。明日の予定は決まってるのかしら?」
「明日は何もない」
「じゃあ、食材の買い出しに付き合って。チョコも買い置きしておくわ」
「いいぞ、事件が片付くまで迂闊に独り歩き出来ないんだ、明日は俺と羽根を伸ばそう」
「今夜もあまり大した物作れないけどいいかしら?」
「由香里の作った物なら何でも構わない」
「ありがとう、準備をしておくわ」

 パタパタとキッチンに入っていった。
  俺はチョコと豆乳を飲み終えると、眠気が襲ってきたのでソファーで横になった。
  
 浅い眠りの中、由香里の料理の音を聞いていた。どれほど時間が経ったのかわからないが、足音が近づいてくる、目を開けた。
  
「あら、起きてたの?熟睡してるのかと思ってたわ」
「寝てたさ、眠りが浅かっただけだ」
「食事の準備が出来たわよ」
「早速食べようじゃないか」

 テーブルに着くとクリームシチューとピラフが並んでいた。
  
「どっちも美味そうだ、いただきます」

 クリームシチューが濃厚でかなり美味かった、そのせいでピラフの味がよくわからなかったが腹は十分に満たされた。
  
 ごちそうさまと言いリビングに戻る、ここが一番居心地がいい、コーヒーが運ばれて来る。タバコを吸おうとしたが箱の中は空になっていた。
 コンビニに買いに行こうと準備をしていると。
  
「あら、出掛けるの?」

 タバコのパッケージを振って見せた。
 由香里は棚からタバコを出して来た。
  
「このタバコでしょ?」

 銘柄も合っていた。
  
「由香里も吸うのか?」
「私は吸わないわ、同棲を始める前にこうなることを予想してカートンで買い置きしておいたの。役に立ってよかったわ」
「出来た嫁だ」
「今なんて言ったの?」

 キョトンとしている。
  
「出来た嫁だって言ったんだ」

 由香里が飛びついてきた。
  
「お嫁さんにしてくれるの? 今すっごく嬉しかったんだから」

 頬にキスの嵐が降ってくる。
  
「落ち着け、まだ先の話だが嫁に来てくれるのか?」
「勿論よ、そのために今同棲してるんですもの」
 とりあえず落ち着け、その前に事件を解決しなきゃいけないしな」
「そうね」

 ようやく由香里が落ち着いた。
 ソファーに腰を下ろし新しいタバコに火を付けた。俺も落ち着いた。
  
「事件が早く片付かないかしら」
「そんなに早く嫁になりたいのか?」
「そうよ、姫野から荒木に姓が変わるのよ、女にとっては一大イベントよ」
「親父さんの四十九日もまだ終わってないんだぞ」
「それとこれは話が違うわ」
「俺は構わないが、お前は社長なんだ。世間体も考えないと後ろ指さされるぞ」
「わかったわ」

 由香里が落ち込んでいる。
  
「早いか遅いかだけの問題だ。焦るな。ちゃんと嫁にしてやるから」
「わかったわ、約束よ」
「ああ、約束する」

 ようやく由香里は大人しくなり、食器を洗い始めた、調子外れの鼻歌を歌っている。
  
「誰の歌だ?」
「私のオリジナルソングよ」

 それ以上追求するのは止めた。
 由香里が豆乳を二つ持ってリビングに入ってくる。
 受け取り一気に飲み干した。
  
「先に言っておくが俺は好き嫌いはないが、牛乳だけは飲まないからな、いや飲めないと言った方がいいかな」
「好き嫌いが無くてよかったわ、料理の幅が広がるわ、でもどうして牛乳はダメなの?」
「お腹が痛くなるんだ」
「今日のクリームシチューにもたくさん入れてたわよ」
「料理に使う分にはいいんだ、そのままの牛乳がダメなんだ」
「わかったわ、気を付けるわ」
「ありがとう」

 風呂の沸いた音がしたので二人で一緒に入った。



 アラームで目が覚めた。
 由香里も起きたようだ、おはようと言いリビングに移動した由香里もキッチンに入る、すぐに魚を焼く匂いが漂って来る。今朝は和食の様だ。用意が終わった様なので、テーブルに着く。
 ご飯と味噌汁と塩鮭だった。
  
「考えたら、この家に来てから初めての和食じゃないか?」
「そうね、あなたが好き嫌い無いのがわかったからよ
「気を使わせてしまってたな」
「いいのよ、頂きましょ」

 頂きますと言い箸を付ける、いい塩梅だ。
 食べ終えるといつも通りリビングでくつろぐ。コーヒーと豆乳が運ばれて来る。交互に味わう。タバコに火を付けた。
  
「今日は買い出しに行くんだろ?」
「ええ、あなたの一服が終わったら準備しましょ」
「そんなに早くて店は開いてるのか?
「八時から0時まで開いてるわよ」
「わかった」

 俺は根元までタバコを吸い終えるとすぐに着替えた。
  それを見て由香里も着替えたので、下に降りて車に乗り込みスーパーに向かった。
  
 すでに客は入っていた、俺はカートを押して後ろをついて歩く。すぐに満杯になった。
  
「後はチョコと豆乳だけよ」

 菓子コーナーに行き大量にチョコを買う、豆乳は箱買いした。レジに向かい会計を済ませる。
  
 家に帰ると昼だった、結構な時間スーパーに居たようだ。
  
「昼飯はハニーズで食おう」
「いいわね、昼に行くなんて珍しい事だわ」

 由香里が食材を冷蔵庫に入れ終わるのを待って出掛けた。ハニーズへもう少しというとこで、チンピラ風の男五人がハニーズから出てきた。すれ違いざま肩がぶつかった。
  
「すまんね」
「肩の骨が折れたぜ、治療費を出しな」
「お前からぶつかって来たんだ、チンピラに払う金なんてないね」
「痛い目をみたいようだな、それともそっちの美人のお姉さんに付き合ってもらおうか」

 喋り終える前に男の脇腹に右フックを打ち込んだ。しゃがみ込み嘔吐している。
  
「せっかく高い金を出して食った物が全部出たようだな」

 金髪の男はまだ立てないようだ。
  
 別の男が向かって来る。
  
「こいつをぶちのめした礼はさせて貰うぜ」

 四人が同時に襲い掛かってきた、鈍い動きだ、ステップで全員の攻撃を交わし顎にパンチを一発づつ入れる、全員が倒れた。顎を打つと脳が揺れて平衡感覚が無くなる、暫く起き上がれないだろう。
  
 最初の金髪男が立ち上がりナイフを構え、こちらに向かって来る。構え方が子供だ。
  
「刃物を出すと言う事はお前もそれなりの覚悟はあるんだろうな?」
「ごちゃごちゃうるせぇ、ビビってんのか」

 俺は手元を狙いキックを入れる、簡単にナイフが落ちる、拾い上げようとしゃがみ込む途中でアッパーを入れる、白目を向いて倒れた、痙攣している。
  
 俺はナイフを拾い上げ手足の腱を切った。見ていた男達は逃げようとするが上手く立てないようだ。
  
「悪かった、許してくれ」
「ナイフを出してきたのはお前らだ、お前らも同類だ」

 全員の手足の腱を切った。
  
「お前らはもう傷が治ってもまともに手足は使えないだろう、恨むならぶつかってナイフを出した金髪男を恨め、ここにはもう来るなよ、次顔を見たら殺す」
「わかった、救急車を呼んでくれ」
「自分で掛けろ」
「手足が動かないんだ、助けてくれ」

 ナイフの指紋を綺麗に拭き取り金髪男に握らせた、仲間割れに見えるだろう。
  
「由香里待たせたな、行こうか」

 男達をそのままにして、レストランに入って行った。レストランからは死角になっているので誰も見てはいないだろう。
  
「いらっしゃいませ、もう少し早ければ、お客様もチンピラに絡まれているとこでした」
「そのチンピラはもう来ないから安心してくれ、途中でぶちのめしてきた」
「本当ですか? ありがとうございます」

 席に案内された。
  
「ご注文はお決まりですか?」
「俺はチーズハンバーグを」
「私は和風ハンバーグを頼むわ」
「かしこまりました」
「あなた、緋村が言ってた通り本当に強いのね、チンピラ五人があっという間だったわ、ナイフは怖くなかったの?」
「準備運動にもなりはしなかった、それにあの男はナイフの使い方まで幼稚だ、あれくらいなんともないさ」

 ハンバーグが運ばれて来る。同時に救急車のサイレンが近づいてくる。
  
「ここには最近良く来るが、名物のハンバーグは久しぶりだ」

 食べながら話していた。
  
  客が入って来た、興奮してるのか入ってくるなり、ウエイターに大きな声で話をしている。
  
「途中でチンピラ風の男が五人、血を流して倒れていた、匿名で通報してきた」
「さようでございますか、とりあえずお席に案内致します」

 ウエイターが近づいてきて小声で話して来る。

「お客様が全部やったのですか?」
「さあな、俺はぶちのめしただけだ」
「お二人は大事なお客様ですから、警察が来ても黙っておきますね」

 ウエイターは嬉しそうに去っていった。
  
「家の近辺にボクシングのジムないのか?」
「さあ、あまり気にして見たことがないからわからないわ」
「帰りに近辺を注意して見て回るよ」
「じゃあもう行きましょうか?」

 会計をしてレストランを出た。さっきの男達はいなかった、血の跡だけが残っている。
  
 家の近辺をゆっくり歩いた、すぐにジムが見つかった。体験入会募集中と書いてある。
  
「こんなに近くにあったのね、寄ってみましょ」

 ジムへ入ると一人の若い男がやって来た。
  
 広くて綺麗なジムだ、女性客も多い。
  
「初めてですよね、入会ですか?」
「とりあえず体験入会しにきた、ここはボクシングのジムなのか?」
「基本はキックボクシングです女性のエクササイズボクシングからプロの養成までやってます、お客様は経験ありそうですね」
「ああ、普通のボクシングにキックボクシングと空手だ」
「どういったコースがお望みですか?」
「本格的なのを頼む」
「わかりました、私はインストラクターでセミプロの森といいます、私と一ラウンドどうですか?」
「いいね、だが何も用意してきてない」
「ボクサーパンツはお貸ししますよ」
「ならやってみよう」

 ロッカールームで着替え表に戻るとスタッフがグローブとヘッドギアを付けてくれた。森はリングに上がっている。
  
「本気で掛かって来てくれ」

 森は苦笑いしている。
  
「これでも一応セミプロなので本気はお客様に怪我をさせてしまいます」
「構わんよ」

 リングの周りに人が集まって来た。開始の鐘がなる。
  
 森は様子を伺っている、俺からジャブを打っていく、ローキックで体制が崩れた隙きを見て右フックを入れストレートで顎にパンチを打った、まともに食らったようだぶっ倒れた。
  
「ストップだストップ」

 リングの下から声がする。中年の男だったジムの会長の様だ。
  俺は森に近付き声をかける。
  
「大丈夫か、すまない本気でパンチを打ってしまった」
「かなり強いですね私も本気でしたが、何も出来ませんでした。一分持ちませんでした」
「うちの森を潰さないでくれよ、あんた初顔だな名前は?」
「荒木です、体験入会しに来た」
「そうか、森より強い奴は本物のプロの長井だけだ、困ったな」
「俺がなんだって、こいつとやりあえばいいのか?」

 こいつが長井のようだ。
  
「お前は親善試合が控えているし素人とやらせる訳にはいかん」
「もう準備できてるんだ、一ラウンドだけ相手してもらおうか荒木さん」
「俺は構わないが、会長さんがな」
「会長、怪我はさせないから頼むよ」
「俺がストップと言ったら止めろよ」

 リングの上は俺と長井だけが残った。
  
 開始の鐘がなる。
 キレのあるジャブが飛んでくる、上半身だけで躱しこちらも打っていくが全部避けられる、ローキックとミドルキックを入れる、決まった長井が苦痛の表情を浮かべる、大きなモーションのストレートが来るがその隙きを見てアッパーを入れた、同時に頬にストレートが決まったカウンターだ、二人共ぶっ倒れた。
  
「ストップ、ストップだ」
「荒木さん、大丈夫か」

 俺はすっと立ち上がった。
  長井も起き上がって来る。
  
「さっきのも見ていたが顎が得意なんだな、あんた実戦でかなり鍛えてるね」
「たまたまさ、フックの方が自信はある。実戦経験は豊富だ」

 会長が割って入る。
  
「荒木さん、あんた歳はいくつだ?」
「三十歳だ」
「後八年ほど若ければプロになれるのに惜しいな」
「プロを目指してる訳じゃない、仕事で必要なんだ」
「荒木さん、タダでいいから入会してくれないか? 長井の練習相手になってくれ」
「入会させてもらおう、だが月謝は払う、暇な時にしか来れないがいいのか?」
「ああ、構わない」
「今日は帰らせて貰うよ」

 着替えて帰ろうとしたら、森に呼び止められた。
  
「入会の署名をしていって下さい。名前と住所と電話番号だけでいいです。それにしても長井を倒すなんて凄いですね」

 由香里が代筆してくれている。
  
「奥さんもどうです、女性向けのコースもありますよ」
「気が向いたら来るわ」

 じゃあ、と手を挙げジムを後にした。
  
「あなたプロの選手と互角じゃないの、びっくりしたわ、それに奥さんですって」

 由香里は満足そうに微笑んでいる。
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