親友の彼氏と、一つ屋根の下。

みららぐ

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第4章「怪しくない?」

水野くんの秘密。

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次の瞬間、水野くんが何故かあたしを自身の部屋の中に押し込んだ。

「ちょっ…何!?」

突然の水野くんの行動にびっくりしていたら、その間に部屋の壁に押し付けられる。
やっぱり、何か見てはいけないものをあたしは見てしまったのかな。
何かただごとではない様子の水野くんを目の前にして、あたしは何も言葉が出てこなくなる。

「…っ」

ごめんって。もう勝手に部屋に入ったりしないから。
せめてそう言えればいいんだろうけど、何も言えないあたしに水野くんが言った。

「…頼むから、約束してくんない?」
「?」
「俺の部屋に勝手に入らない。気になるものがあってもそれ以上深入りしない。誰にも相談しない」
「…な、なんで」
「見たんだろ?あの教科書。見たからには絶対厳守してもらう。お前のことももう離さない」

水野くんはあたしにそう言うと、そのままあたしの目を真っ直ぐに見つめてくる。
…まるで人を見透かしているような瞳をした、きれいな切れ長の目。
あたしはその目を一瞬不思議と逸らせなくなったけど、やがて我に返ると慌てて逸らした。
て、ていうか、何?その「離さない」って。
水野くんはそういうつもりで言っているわけじゃないんだろうけど…わかっていても、照れくさくなっちゃうじゃん。
あたしはそう思うと、赤くなってしまっていそうな顔色を抑えるべく、そいつに言った。

「…や。い、意味わかんないよ」
「…」
「あの教科書…あたしの名前だったじゃん」
「…」
「よく…わかんないけど。……水野くんは、大丈夫なの?」
「!」

あたしが恐る恐るそう問いかけると、その瞬間水野くんが少し黙り込んであたしから目を逸らす。
もっといろんなことが気になるけど、深入りするなって言われたし。
だけどあたしの問いかけに、水野くんが次の瞬間あたしを包むように抱きしめてきて、言った。

「なんで……お前は、」
「…?」
「…お前がそれを言うなよ、」

水野くんは少し震える声でそう言うと、そのままあたしを強く抱きしめてくる。
…うん?大丈夫って、聞いちゃいけなかったの?
だけどあたしを抱きしめる水野くんの腕も、少し震えているからなにも言えない。
どうしたらいいかわからないでいたら、そのうちに水野くんがあたしの耳元で言った。

「…真希、」
「?」
「俺…お前のこと好きだよ。1番に」

水野くんはそう言うと、抱きしめたままあたしの頭を撫でてくれる。
でも、一方のあたしはいきなりの言葉に頭がついていかなくて…。

……え、好き?今、好きって言った?
水野くんが、あたしを!?
この前言ってた…3番目、とかじゃなくて?
それって、どういう意味で?
だけどそんなことも聞けないまま、あたしがうかうかしているうちに、水野くんがあたしを抱きしめている腕を離した。

「…ほら、勉強してきなよ。数学のノートくらい貸すから」

水野くんはそう言って、棚からそれを取り出してあたしに差し出す。

「う、うんっ…」
「…」

あたしはそれを受け取ると、混乱のなかで水野くんから逃げるように、水野くんの部屋を後にした。

『もう離さない』
『お前のこと好きだよ』

今のって、いったいどういう意味があったの?
そういうの全部、教科書に載っていればいいのに…。
…でも多分、違うよね。
水野くんには歩美がいるんだから…。
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