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第4章「怪しくない?」
鉢合わせ。
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独り息をひそめてその場に隠れていると、ようやくそこへ水野くんが入ってくる。
部屋での水野くんの様子は全くわからないけど、そこから小さなため息が聞こえた。
…どうでもいいから、早くこの部屋から出て行ってくんないかな…。
そして、しばらくそのままの状態でいると…
「…?」
水野くんの方から突然、ガタッという音が聞こえてきた。
その音を不思議に思っていると、水野くんが何か思い立ったようにしてこの部屋を後にする。
…あ、よかった、これでやっとここを出られる…。
しかし…
「真希!」
「!」
部屋を後にした水野くんが、突如あたしの名前を呼んだ。
まさか呼ばれるなんて思っていなかったあたしは、すぐにその部屋を後にして水野くんのところに行こうとするけれど…
「!!」
部屋を出た途端、入り口で水野くんと鉢合わせになってしまった。
マズイ!
水野くんと目が合った瞬間、一瞬にして頭の中が真っ白になる。
確実にマズイ状況に顔を青くしていると、水野くんが真剣な顔で言った。
「ねぇ真希。何で俺の部屋にいるの?」
そう言って、不機嫌そうに目を細める。
「え、や、何でって…その、」
「…」
「……何で、かな」
水野くんの問いかけに、あたしはそう言って誤魔化すように笑うけど、でもそれでも水野くんのその表情は変わらない。
そして、そんな水野くんにあたしはいたたまれなくなって…
「あ、へ、部屋間違えちゃったの!ごっごめんね!」
見え透いた嘘を吐いて、逃げるようにその場を後にしようとした。
…───けど。
「嘘吐くなよ」
「!!」
その言葉と同時に、即座に腕を掴まれる。
ビックリしていたら、水野くんがその腕をぐっと引き寄せてきて言葉を続けた。
「見たんだろ?教科書」
「!」
「正直に言えよ」
そう言って、あたしの腕を掴む手に力を入れる。
…痛い。
でもそう言われたらもうこれ以上嘘を吐くわけにいかなくなって、あたしは水野くんの目を見れずに言った。
「…ご、ごめん。数学のノート借りようと思って…そしたらたまたま…」
「…」
「っ…ほんと、ごめんね!」
そう言いながらも、あたしは内心水野くんが怖いし早くこの場から逃げたくてたまらない。
それに、早く腕を離してほしいと思っていたら…
「…っ!?」
部屋での水野くんの様子は全くわからないけど、そこから小さなため息が聞こえた。
…どうでもいいから、早くこの部屋から出て行ってくんないかな…。
そして、しばらくそのままの状態でいると…
「…?」
水野くんの方から突然、ガタッという音が聞こえてきた。
その音を不思議に思っていると、水野くんが何か思い立ったようにしてこの部屋を後にする。
…あ、よかった、これでやっとここを出られる…。
しかし…
「真希!」
「!」
部屋を後にした水野くんが、突如あたしの名前を呼んだ。
まさか呼ばれるなんて思っていなかったあたしは、すぐにその部屋を後にして水野くんのところに行こうとするけれど…
「!!」
部屋を出た途端、入り口で水野くんと鉢合わせになってしまった。
マズイ!
水野くんと目が合った瞬間、一瞬にして頭の中が真っ白になる。
確実にマズイ状況に顔を青くしていると、水野くんが真剣な顔で言った。
「ねぇ真希。何で俺の部屋にいるの?」
そう言って、不機嫌そうに目を細める。
「え、や、何でって…その、」
「…」
「……何で、かな」
水野くんの問いかけに、あたしはそう言って誤魔化すように笑うけど、でもそれでも水野くんのその表情は変わらない。
そして、そんな水野くんにあたしはいたたまれなくなって…
「あ、へ、部屋間違えちゃったの!ごっごめんね!」
見え透いた嘘を吐いて、逃げるようにその場を後にしようとした。
…───けど。
「嘘吐くなよ」
「!!」
その言葉と同時に、即座に腕を掴まれる。
ビックリしていたら、水野くんがその腕をぐっと引き寄せてきて言葉を続けた。
「見たんだろ?教科書」
「!」
「正直に言えよ」
そう言って、あたしの腕を掴む手に力を入れる。
…痛い。
でもそう言われたらもうこれ以上嘘を吐くわけにいかなくなって、あたしは水野くんの目を見れずに言った。
「…ご、ごめん。数学のノート借りようと思って…そしたらたまたま…」
「…」
「っ…ほんと、ごめんね!」
そう言いながらも、あたしは内心水野くんが怖いし早くこの場から逃げたくてたまらない。
それに、早く腕を離してほしいと思っていたら…
「…っ!?」
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