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第3章「早速だけど家出がしたい」
親友の彼氏の心理。
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……一方、外に出た水野くんが、
「…なに、やってんだ俺…」
独り、ため息混じりにそう呟いた事をあたしは知る由もない。
…近くにいると、思っていた以上に自分をコントロール出来ないな…。
……瀬川さんには本当に申し訳ないけど。
自分が最悪なのはわかってるんだ。
もうずっと、前から…。
…………そして、
「…?」
家を出る間際、あたしはなんとなく遣った視線の先にふいに“ある物”を見つけた。
玄関の…棚に伏せてある、写真たて。
あたしにはもちろん関係ないものだけど、伏せてあることが気になってそれに手を伸ばした。
そして写真を立て直すと、そこに写っているのは小学生くらいの時の水野くんと、満面の笑顔を浮かべた女の子。
…誰だろう?
妹とか…?
……何で伏せてあるんだろう。
その写真に疑問を持ったけれど、あたしはその写真たてを立てたまま家を後にした。
……ま、別にどうでもいいか。
そんなことよりも、今日はこの家で水野くんと二人きりでいられない。
公ちゃん家に泊まりに行こう。
………
………
その後、学校に到着して朝練帰りの公ちゃんに会いに行ったけれど、泊りはあえなく却下された。
「だめ」
「えぇ~、何で。…やっぱあたしがいると迷惑なんだ」
あたしが不満な声を出すと、公ちゃんが生徒玄関に設置してある自販機でジュースを買いながら言う。
「いやそうじゃなくて。
っつかお前な、男の家にそうやって簡単に泊りに行こうとしてるけど、それがどういうことか知ってて言ってるんだろうな」
そう言って、紙パックのフルーツ・オレのストローを口に含む。
そんなこと言ったって…。
「…公ちゃんは安全だもん。あたしちゃんとわかってるよ」
「…あほ」
公ちゃんはあたしの言葉に呆れたような顔をするけれど、あたしはもちろん本気でそう思ってる。
このままあの男と二人きりの家で二人きりで過ごしていたら、今夜じゃなくても近いうちに襲われそう。
……そんなの絶対に嫌だ。
あたしはそう思うと、未だ呆れ顔の公ちゃんに言った。
「…ねぇ」
「ん?」
「それ、一口ちょーだい?」
あたしがそう言うと、公ちゃんは口からストローを離して…
「ん、」
紙パックごとそれをあたしに手渡す。
「ありがとう!」
わーい、間接チューだ!
……“チュー”…?
だけどその瞬間、あたしは今朝のあの出来事を思い出した。
……どんな気持ちでキスしたの…。
何であんな強く抱きしめたりなんかしたの。よくわかんない。
「…っ…」
あたしはそれを思い出すと、ジュースを公ちゃんに返す。
「ん、」
「あれ、もういいの?美味しくなかった?」
「…」
「…真希?」
「…なに、やってんだ俺…」
独り、ため息混じりにそう呟いた事をあたしは知る由もない。
…近くにいると、思っていた以上に自分をコントロール出来ないな…。
……瀬川さんには本当に申し訳ないけど。
自分が最悪なのはわかってるんだ。
もうずっと、前から…。
…………そして、
「…?」
家を出る間際、あたしはなんとなく遣った視線の先にふいに“ある物”を見つけた。
玄関の…棚に伏せてある、写真たて。
あたしにはもちろん関係ないものだけど、伏せてあることが気になってそれに手を伸ばした。
そして写真を立て直すと、そこに写っているのは小学生くらいの時の水野くんと、満面の笑顔を浮かべた女の子。
…誰だろう?
妹とか…?
……何で伏せてあるんだろう。
その写真に疑問を持ったけれど、あたしはその写真たてを立てたまま家を後にした。
……ま、別にどうでもいいか。
そんなことよりも、今日はこの家で水野くんと二人きりでいられない。
公ちゃん家に泊まりに行こう。
………
………
その後、学校に到着して朝練帰りの公ちゃんに会いに行ったけれど、泊りはあえなく却下された。
「だめ」
「えぇ~、何で。…やっぱあたしがいると迷惑なんだ」
あたしが不満な声を出すと、公ちゃんが生徒玄関に設置してある自販機でジュースを買いながら言う。
「いやそうじゃなくて。
っつかお前な、男の家にそうやって簡単に泊りに行こうとしてるけど、それがどういうことか知ってて言ってるんだろうな」
そう言って、紙パックのフルーツ・オレのストローを口に含む。
そんなこと言ったって…。
「…公ちゃんは安全だもん。あたしちゃんとわかってるよ」
「…あほ」
公ちゃんはあたしの言葉に呆れたような顔をするけれど、あたしはもちろん本気でそう思ってる。
このままあの男と二人きりの家で二人きりで過ごしていたら、今夜じゃなくても近いうちに襲われそう。
……そんなの絶対に嫌だ。
あたしはそう思うと、未だ呆れ顔の公ちゃんに言った。
「…ねぇ」
「ん?」
「それ、一口ちょーだい?」
あたしがそう言うと、公ちゃんは口からストローを離して…
「ん、」
紙パックごとそれをあたしに手渡す。
「ありがとう!」
わーい、間接チューだ!
……“チュー”…?
だけどその瞬間、あたしは今朝のあの出来事を思い出した。
……どんな気持ちでキスしたの…。
何であんな強く抱きしめたりなんかしたの。よくわかんない。
「…っ…」
あたしはそれを思い出すと、ジュースを公ちゃんに返す。
「ん、」
「あれ、もういいの?美味しくなかった?」
「…」
「…真希?」
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