14 / 42
第2章「甘苦い二人暮らし」
触ってみる?
しおりを挟む
ふいに背後から、水野くんにそう声をかけられた。
水野くんはてっきり歩美と一緒にいるものだと思っていたあたしは、その声に少しびっくりして後ろを振り向く。
するとそこには真顔であたしを見つめる水野くんがいて、あたしは目が合った途端慌てて言った。
「や、いや、いいよいいよ!遠慮しとく!ヤモリとか、苦手だし」
そう言って両手をブンブン振って断ると、そんなあたしに水野くんが言う。
「…なんだ。すっげぇ見てるから、興味持ったのかと思った、」
…残念だな。
水野くんはそう言うと、目の前のヤモリに視線を移す。
…うん?今の“残念”って、どういう意味?
だけどそんなことはなんとなく聞けなくて、あたしは一人でいるだろう歩美に目を遣った。
…歩美はこの前元彼に浮気されて別れたばかりだから、ヘタに水野くんと一緒にいて不安にさせちゃ可哀想。
しかし……
歩美に目を遣った瞬間、あたしは思わぬ光景にびっくりして固まった。
だってそこにいた歩美は、いつのまにか他の生物部員達に囲まれてモテていたから。
は…何あれ、
「歩美先輩、超可愛いです!」
「手に持ってるハムスターよりも可愛いっすよ!」
「え、ほんと?ありがと~」
歩美はそんな言葉をかけられると、嬉しそうな笑顔を浮かべる。
……めっちゃチヤホヤされとるやん。
っていうか、水野くん!あれ放っておいていいわけ!?
あたしはそんな光景から水野くんに視線を戻すと、言った。
「ちょっと水野くん!大事な彼女が囲まれてるよ!ヤバイじゃん!」
そう言って、水野くんの肩をバシバシ叩く。
だけど水野くんは特に気にしていない顔をして、言った。
「大丈夫。あれくらい目を瞑っていなきゃ、歩美の彼氏は務まらないから」
「!」
水野くんはそう言って、歩美から視線を外す。
…おお、大人だ。あたしだったら、あの囲まれてるのが公ちゃんだったら絶対に嫌なのに。
そんなことを思いながら黙っていると、また水野くんが言う。
「…それより、瀬川さん」
「?」
「ヤモリが苦手なら、歩美みたいにハムスターとか手に乗せてみる?せっかくここに来たんだし、」
水野くんはそう言うと、優しい表情であたしを見る。
…なんだ、水野くんのことあれだけ無愛想だとか思ってたけど、やっぱり普通にそういう表情したりするんじゃん。
あたしはそう思いながらも、「乗せる!」と満面の笑顔で水野くんについて行った。
そしてそのままやって来た場所は、生物室の隣にある誰もいない部屋で。
少し狭い場所だし薄暗いけど、そこにもいろんな生き物がいる。
…何これ。もしかして、スッポン?
「…これ全部解剖する用の生き物?え、ハムスターも?」
「まさか。飼育してるだけ」
あたしがあまり見慣れない生き物に目を向けてそう聞いたら、水野くんがそう言って少し笑う。
その手には小さめのケージ。それを大きい机の上に置いて言った。
「この中にハムスターがいるの?」
水野くんはてっきり歩美と一緒にいるものだと思っていたあたしは、その声に少しびっくりして後ろを振り向く。
するとそこには真顔であたしを見つめる水野くんがいて、あたしは目が合った途端慌てて言った。
「や、いや、いいよいいよ!遠慮しとく!ヤモリとか、苦手だし」
そう言って両手をブンブン振って断ると、そんなあたしに水野くんが言う。
「…なんだ。すっげぇ見てるから、興味持ったのかと思った、」
…残念だな。
水野くんはそう言うと、目の前のヤモリに視線を移す。
…うん?今の“残念”って、どういう意味?
だけどそんなことはなんとなく聞けなくて、あたしは一人でいるだろう歩美に目を遣った。
…歩美はこの前元彼に浮気されて別れたばかりだから、ヘタに水野くんと一緒にいて不安にさせちゃ可哀想。
しかし……
歩美に目を遣った瞬間、あたしは思わぬ光景にびっくりして固まった。
だってそこにいた歩美は、いつのまにか他の生物部員達に囲まれてモテていたから。
は…何あれ、
「歩美先輩、超可愛いです!」
「手に持ってるハムスターよりも可愛いっすよ!」
「え、ほんと?ありがと~」
歩美はそんな言葉をかけられると、嬉しそうな笑顔を浮かべる。
……めっちゃチヤホヤされとるやん。
っていうか、水野くん!あれ放っておいていいわけ!?
あたしはそんな光景から水野くんに視線を戻すと、言った。
「ちょっと水野くん!大事な彼女が囲まれてるよ!ヤバイじゃん!」
そう言って、水野くんの肩をバシバシ叩く。
だけど水野くんは特に気にしていない顔をして、言った。
「大丈夫。あれくらい目を瞑っていなきゃ、歩美の彼氏は務まらないから」
「!」
水野くんはそう言って、歩美から視線を外す。
…おお、大人だ。あたしだったら、あの囲まれてるのが公ちゃんだったら絶対に嫌なのに。
そんなことを思いながら黙っていると、また水野くんが言う。
「…それより、瀬川さん」
「?」
「ヤモリが苦手なら、歩美みたいにハムスターとか手に乗せてみる?せっかくここに来たんだし、」
水野くんはそう言うと、優しい表情であたしを見る。
…なんだ、水野くんのことあれだけ無愛想だとか思ってたけど、やっぱり普通にそういう表情したりするんじゃん。
あたしはそう思いながらも、「乗せる!」と満面の笑顔で水野くんについて行った。
そしてそのままやって来た場所は、生物室の隣にある誰もいない部屋で。
少し狭い場所だし薄暗いけど、そこにもいろんな生き物がいる。
…何これ。もしかして、スッポン?
「…これ全部解剖する用の生き物?え、ハムスターも?」
「まさか。飼育してるだけ」
あたしがあまり見慣れない生き物に目を向けてそう聞いたら、水野くんがそう言って少し笑う。
その手には小さめのケージ。それを大きい机の上に置いて言った。
「この中にハムスターがいるの?」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる