親友の彼氏と、一つ屋根の下。

みららぐ

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第1章「親友に彼氏ができた」

冗談じゃない!

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あたしはそのお父さんの言葉を聞くと、サーっと血の気が引いていくのを感じた。
「水野優大」っていったら、完全にあの無愛想な生物部員の名前じゃん。
あたしがそんなことを思っていると、お父さんが明るい声で言う。

「あ、何だ真希、優大くんを知っているのか?なら話が早っ…」
「早くない!」
「!」

あたしがそう言って言葉を遮ると、お父さんは少しびっくりしたような顔をした。
…でも、それでもいい。

「それってつまり、あたしがその息子と二人暮らしをするってことだよね!?」
「…そ、そういうことになるな」
「イヤ!お父さん、あたしそんなの絶対に嫌だからね!」

あたしはそう言って、必死にお父さんに訴える。
何としてでも、水野くんと一緒に暮らすのは嫌だ。
歩美との友情を壊したくない。
しかし、そう思っていたらお母さんが言った。

「真希、ワガママ言うんじゃないの。これは全部あなたの為なんだからね」

そんなお母さんの言葉に、お父さんも頷いて言う。

「そうだぞ。それに、俺の友達がせっかくお前の金銭面の面倒も見てくれてやると言ってるんだ。
こんな良い話、なかなかないだろ?
それとも、真希も一緒に引っ越して向こうに暮らすか?」
「………それも嫌。そんなことしたら公ちゃんと離れちゃう!」
「そうだろ。優大くんもOKしてるんだから、お前も言うことを聞きなさい」

お父さんはそう言うと、空になった食器を前にして「ごちそうさま」と呟いた。

「!」

……嘘。
水野くんがOKしてる?
いやいや…でも、今日水野くんに会ったけど、そんなこと一言も言ってなかったよ。
もしかしたら、水野くんも無理矢理頷かされたんじゃ…。
あたしはそう思うと、目の前の残りのご飯を急いで食べた。
………後で公ちゃんに電話しよう。

………

そしてその後、あたしは寝る前に公ちゃんに電話した。
…今の時間、22時過ぎ。
公ちゃんだったら寝てるかな…。
そう思っていたら…

「…何だよ、」

眠たそうな声をした公ちゃんが、電話に出てくれた。
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