兄貴がイケメンすぎる件

みららぐ

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京都旅行がタノシスギル件−繋−

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 3年生は自由登校となり、光琉は仕事が忙しく、度々学校を休むようになった。

 と言っても毎朝迎えに来て学校まで送ってくれるし、帰りは光琉が来れない日も、香坂家の運転手さんが迎えに来てくれる。

「日向、絶対に1人にならないって約束して」

 学校に着き、車を降りてから光琉に抱きしめられフェロモンを付けてもらう。俺の家の前と、毎朝2回付けてくれるのが嬉しい。と実はこっそり思っている。

「分かってる」
「それ、毎日やってて飽きないのか?」

 毎朝俺を玄関で待っていてくれる宇都宮からしたら、鬱陶しくて仕方ないかもしれないけど。

「光琉も気を付けてな」
「うん。行ってくるね」
「うん…」

 離れ離れになるのが寂しい。

 光琉とは付き合う前からずっと一緒にいて…そりゃあ休みの日とか会わない日もあったけど、学校で一緒にいない日なんてなかったら。

「ごめんね? 明日は学校休まずに済むと思うから」
「うん…」

 ダメだって分かっているのに、光琉の服を掴む手を離せない。 

「あぁ~! 日向が可愛すぎる!!」

 もう一度抱きしめてほしくて光琉に念を送ると、気持ちが通じて抱きしめてくれた。

「日向、そろそろチャイムなるぞ」
「先が思いやられるな」
「大学では学部が違って離れることも増えるのになぁ」

 と、いつの間にか近くにいた一樹と宇都宮が話しているけど、聞こえないふり。

「はいはい。もうピヨちゃん行くよ~」
「はぁい…」

 俺の頬に手を当て額にキスをしてから、行ってくるねと光琉が車に乗り込んでしまった。

「気を付けてな」

 道中もだけど、大人の女性とかオメガとかにも…。

 あーあ、行っちゃった。

「オメガもフェロモンが付けられたらいいのに」

 つい口走ってしまった言葉に、宇都宮が答えてくれる。

「付けられるぞ?」
「え!? そうなのか?」

 って…そりゃそうか。オメガのフェロモンにも匂いがあるんだから。

「でも薬飲んでたら分かんないじゃん」
「まぁな」
「期待させんなよな」

 しかも番になったら番相手にしか匂いも……それ以前の問題があったわ。

「あのさ。オメガのフェロモンってアルファみたいに威嚇? できるのか?」

 一樹、俺も今それに気が付いたよ。

「匂いがつくだけだな」
「だよな。威嚇ができたらいいのに」

 光琉が惑わされることなんてないって分かってる。でも、心配なんだ。

「ピヨちゃんさ、運命の番なのに心配しすぎ」
「………あっ……」

 世のオメガが心配する、番のアルファの運命の番。俺、その心配をする必要なかったんだった。

「あはは~」
「本当にさ、お前ら恵まれてる自覚を持てよな」
「ごめんごめん」
「光琉も光琉で毎朝俺に威嚇してくるし。なら任せるなって話しだよ」

 宇都宮に威嚇してたんだ。それは全く気付かなかったわ。

「それより日向。高校卒業したら同棲するんだよな?」
「その予定。でも俺、まだ光琉のご両親に挨拶してないんだよな」

 番うってことは先に結婚があるってこと。その逆も然り。それに俺達は結婚の約束もしているわけで…

「番う前だしそうなるだろ」
「? でも俺の親には挨拶してくれたぞ?」

 そういうのって先に挨拶するもんじゃないのか?

「いや、当たり前だから。もし俺が光琉でも同じようにする」

 なぜ?

「分かった! いくら家族でも番う前のオメガを自分以外のアルファに会わせたくないんだ!」

 1人で会うんじゃなく光琉もいるのに? アルファって心配性だよな。

「なんでピヨちゃんより一樹の方が理解が早いんだよ」
「日向がこれだからな。周りがしっかりしちゃうんだって」
「なるほど。それは言えてるな」

 軽くディスられてる気もするが。

「でだ。話し戻すけど、家決まったのか?」
「あ、うん。大学の近くにした」

 イコール高校の近くってことだけど、大学の正門に近い場所に決めたんだ。

「賃貸?」
「えっと…」
「そんな訳ないだろ。な、ピヨちゃん?」
「光琉が……買っちゃった」
「は!?」

 うん。そりゃ一樹も驚くよな。俺も驚いたし。

 俺、煩すぎなければどこでもって希望を出しちゃったから…ここなら煩くないでしょ? ってマンションの最上階を買ったらしい。

「遊びに行きたい!」
「いいけど」
「あー、光琉の許可をとってからにしろよ。多分一樹は大丈夫だと思うけど。嫌な顔はされるだろうな」
「おっけ」

 なんで?

「………ピヨちゃん。アルファのこともう少し勉強しような」

 そういえば家に一樹がよく来るって前に話したら、光琉、嫌そうな顔してたかも。なんとなくそれからは家に呼ばないようにしてたんだった。

「アルファって大変だな」

 まぁ…俺も家族以外は一樹と蓮、宇都宮と稜ちゃん以外は呼びたくないけどな。



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