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積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ
新婚旅行ベラ編
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リバークに到着した俺たちは、まず昼食を食べることにした。
「ベラ、何が食べたい?」
「旦那様がお決めになったもので……」
「ダメ。今回はベラのための旅行なんだから、俺の食べたいものじゃなくてベラの食べたいものがいい」
「それでしたら……」
ベラは顎に指を当てて考え始める。
貴族の出だし、元聖女であるベラならそれなりのコース料理を出す店なんかがいいのかな?
いや、同じ条件のサーシャはそういう店より大衆食堂のような店の方が好きだったな……
「旦那様」
ベラがクイクイと俺の袖を引っ張る。
「決まった?」
「はい。あの……わたくし、屋台と言うもので売っている料理を食べてみたいです」
「屋台?」
「はい。いけませんか?」
「もちろん構わないさ」
店ですらなく屋台か、まぁ貴族であり聖女であったのだからそういう食事は食べたことがないのかもしれない。
ベラの願いを叶えるために商業区へと移動、リバークの街名物の屋台通りへと案内した。
「たくさんありますのね」
「前来た時より増えてるかな?」
前回来たのは迷宮攻略後だったので、かなり久しぶりに来た。
店舗数は増えているし、客の数も以前より多い気がする。
「適当に歩いてみよう。気になったものがあれば言ってね、全部買うから」
「そんなに食べられませんわよ?」
「【無限積載】に入れておけば時間も停止するから、何時でも出来たてが食べられるよ」
屋台通りを一回りして色々と買い込む。
ベラは歩きながら食べるということに抵抗があるらしく、中々食べることが出来ていなかった。
「どこかで座って食べようか」
「すみません……」
「謝ることは無いさ」
公園の隅にあったベンチに腰を下ろして食事を再開、色々な串焼きや麺料理に舌鼓を打つ。
屋台では麺料理を頼んでも量が少ないので、色んなものが食べられるのがいいところだと思う。
「旦那様、これ美味しいです」
「これは……何の肉だろうね?」
見ただけでは分かるはずがない。俺は料理人では無いのだから。
スキルを使えば鑑定は出来るが、ここでそれを使うのは無粋だろう。
「あの、旦那様」
「ん?」
「えっと……はい、あーんしてください」
ベラは顔を赤く染めながら、美味しいと言って食べていた串焼きを俺の口へと持ってくる。
「ありがとう。あーん」
大きく口を開けて、ベラに食べさせてもらう。
うん、美味しい。多分ハイオークの肉だなこれ。
「美味しかったですか?」
「うん。ベラに食べさせて貰えたから格別に」
「もぅ……」
俯くベラを見て、笑いが込み上げてくるのを必死に我慢する。
ベラはこの間14歳になったばかり。
出自のせいか、聖女だったせいかは分からないが普段は大人びているベラの年相応な姿を見れてなんだか嬉しくなる。
「お腹いっぱいですわ」
「今日は普段より食べてたね?」
「旦那様……女性にそのようなことは……」
「ごめんごめん。なんだか嬉しくてさ」
俺の言葉に少しムッとした様子のベラだったが、俺の嬉しいという言葉に疑問を感じたようだ。
「何が嬉しいんですの?」
「可愛いベラが見られて」
「もう! 旦那様、もう!」
恥ずかしかったのか、先程よりも顔を赤くして俺の腕を叩いてくる。
こういうのが可愛いんだとは言わない方が良さそうだな。
それから街を散策、色々なお店を見て回った。
「旦那様、これサーシャさんが好きそうではないですか?」
「ん、そうだね。じゃあサーシャのお土産はこれにしようか」
「はい!」
小物を売っている店でよめーずへのお土産を購入、全て俺ではなくベラが選んだ。
俺にはこういうセンスってあまり無いから女性に任せるに限るね。
色々とみているうちに、太陽は夕日へと変わり辺りを赤く染めていた。
「もう夕方か」
「楽しい時間はあっという間ですわね……」
真っ赤な夕日を眺めながら、ベラはそう呟いた。
「今日だけじゃないさ。これから先もベラが楽しいと思えるように頑張るよ」
「旦那様……わたくしだけ楽しいのでは意味がありません」
ベラはそっと自分のお腹に手を触れた。
いや待て、まだ出来て無いだろ!?
「旦那様……わたくしももう14です。そろそろ……」
まだ早くないかな? 成人まであと1年あるよ?
「早くないか?」
「そんなことはありません。兎斗さんや佳奈さんのこともあります。ですので……」
確かにベラより先に兎斗や佳奈が妊娠するのはよろしくないのかもしれない。
ここは俺の常識、倫理観を捨てる場面では無いだろうか?
「分かった。じゃあ……行こうか」
「はい……」
そっとベラの手を握って歩き出す。
今日はリバークの街一番のホテルに泊まろうと思う。
スイートルーム空いてたらいいなぁ。
「ベラ、何が食べたい?」
「旦那様がお決めになったもので……」
「ダメ。今回はベラのための旅行なんだから、俺の食べたいものじゃなくてベラの食べたいものがいい」
「それでしたら……」
ベラは顎に指を当てて考え始める。
貴族の出だし、元聖女であるベラならそれなりのコース料理を出す店なんかがいいのかな?
いや、同じ条件のサーシャはそういう店より大衆食堂のような店の方が好きだったな……
「旦那様」
ベラがクイクイと俺の袖を引っ張る。
「決まった?」
「はい。あの……わたくし、屋台と言うもので売っている料理を食べてみたいです」
「屋台?」
「はい。いけませんか?」
「もちろん構わないさ」
店ですらなく屋台か、まぁ貴族であり聖女であったのだからそういう食事は食べたことがないのかもしれない。
ベラの願いを叶えるために商業区へと移動、リバークの街名物の屋台通りへと案内した。
「たくさんありますのね」
「前来た時より増えてるかな?」
前回来たのは迷宮攻略後だったので、かなり久しぶりに来た。
店舗数は増えているし、客の数も以前より多い気がする。
「適当に歩いてみよう。気になったものがあれば言ってね、全部買うから」
「そんなに食べられませんわよ?」
「【無限積載】に入れておけば時間も停止するから、何時でも出来たてが食べられるよ」
屋台通りを一回りして色々と買い込む。
ベラは歩きながら食べるということに抵抗があるらしく、中々食べることが出来ていなかった。
「どこかで座って食べようか」
「すみません……」
「謝ることは無いさ」
公園の隅にあったベンチに腰を下ろして食事を再開、色々な串焼きや麺料理に舌鼓を打つ。
屋台では麺料理を頼んでも量が少ないので、色んなものが食べられるのがいいところだと思う。
「旦那様、これ美味しいです」
「これは……何の肉だろうね?」
見ただけでは分かるはずがない。俺は料理人では無いのだから。
スキルを使えば鑑定は出来るが、ここでそれを使うのは無粋だろう。
「あの、旦那様」
「ん?」
「えっと……はい、あーんしてください」
ベラは顔を赤く染めながら、美味しいと言って食べていた串焼きを俺の口へと持ってくる。
「ありがとう。あーん」
大きく口を開けて、ベラに食べさせてもらう。
うん、美味しい。多分ハイオークの肉だなこれ。
「美味しかったですか?」
「うん。ベラに食べさせて貰えたから格別に」
「もぅ……」
俯くベラを見て、笑いが込み上げてくるのを必死に我慢する。
ベラはこの間14歳になったばかり。
出自のせいか、聖女だったせいかは分からないが普段は大人びているベラの年相応な姿を見れてなんだか嬉しくなる。
「お腹いっぱいですわ」
「今日は普段より食べてたね?」
「旦那様……女性にそのようなことは……」
「ごめんごめん。なんだか嬉しくてさ」
俺の言葉に少しムッとした様子のベラだったが、俺の嬉しいという言葉に疑問を感じたようだ。
「何が嬉しいんですの?」
「可愛いベラが見られて」
「もう! 旦那様、もう!」
恥ずかしかったのか、先程よりも顔を赤くして俺の腕を叩いてくる。
こういうのが可愛いんだとは言わない方が良さそうだな。
それから街を散策、色々なお店を見て回った。
「旦那様、これサーシャさんが好きそうではないですか?」
「ん、そうだね。じゃあサーシャのお土産はこれにしようか」
「はい!」
小物を売っている店でよめーずへのお土産を購入、全て俺ではなくベラが選んだ。
俺にはこういうセンスってあまり無いから女性に任せるに限るね。
色々とみているうちに、太陽は夕日へと変わり辺りを赤く染めていた。
「もう夕方か」
「楽しい時間はあっという間ですわね……」
真っ赤な夕日を眺めながら、ベラはそう呟いた。
「今日だけじゃないさ。これから先もベラが楽しいと思えるように頑張るよ」
「旦那様……わたくしだけ楽しいのでは意味がありません」
ベラはそっと自分のお腹に手を触れた。
いや待て、まだ出来て無いだろ!?
「旦那様……わたくしももう14です。そろそろ……」
まだ早くないかな? 成人まであと1年あるよ?
「早くないか?」
「そんなことはありません。兎斗さんや佳奈さんのこともあります。ですので……」
確かにベラより先に兎斗や佳奈が妊娠するのはよろしくないのかもしれない。
ここは俺の常識、倫理観を捨てる場面では無いだろうか?
「分かった。じゃあ……行こうか」
「はい……」
そっとベラの手を握って歩き出す。
今日はリバークの街一番のホテルに泊まろうと思う。
スイートルーム空いてたらいいなぁ。
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