231 / 266
積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ
佳奈の能力
しおりを挟む
「レオさん、朝ッス! 早く起きるッスよ!」
「んぇ?」
翌朝、アンナに揺すられて目を覚ました。
見覚えのない景色、ここはどこだろうと寝ぼけ眼で周囲を確認する。
「寝惚けてるッスか? ほら、シャキッとするッスよ!」
ほっぺたをムニムニされて意識がハッキリしてくる。
ここ戦場だわ……
「あー……」
こんなに深く眠ったのも久しぶりな気がする。戦場なのにどれだけ気を抜いてるんだって話だな。いかんいかん。
「兵士さんたちももう朝ごはん食べてるッスよ、レオさんも早く起きてごはん食べるッスよ!」
立ち上がり、しっかり体を伸ばしてからアンナと共に天幕を出る。
外では諸侯軍兵士たちが数人ずつ固まって思い思いに過ごしていた。
この後また戦うんだ、今のうちにしっかり英気を養っておいて欲しい。
ウルトの前に行くと、よめーずと勇者娘が俺たちを待っていた。
既に椅子とテーブルが用意されており、テーブルの上には白ご飯に味噌汁、卵焼き、塩サバ、きんぴらごぼうが並べられていた。
こんなの【無限積載】に積んでたっけかな?
「レオ様、おはようございます」
「おはよう。この朝食は?」
「食材はウルト様に出して頂きました。料理はカナさんたちが」
言われて勇者娘たちを見ると、3人並んでドヤ顔をしていた。
佳奈が料理できるのは知っていた。付き合っていた頃は毎日弁当作ってきてくれてたからな。
しかし兎斗は……俺の記憶の中の兎斗はダークマター製造機だったはずなんだが……
「レオにぃどうしたの?」
「いや……お前料理出来るようになったのか?」
感慨深い気持ちで兎斗を見ていると、気になったのか話しかけられた。
「ふふん! レオにぃのお嫁さんになるためにちゃんと料理の練習もしたんだもん!」
へぇ、料理はフィーリングだって豪語してた兎斗がねぇ?
「そっか、頑張ったんだな。それで、兎斗はどれを作ったんだ?」
「ご飯炊いた……」
それ米研いだだけじゃね?
「おかずはうちが作ったよ。お味噌汁は陰キャ……瞳が作ったけど」
そんな気はしてた。卵焼きときんぴらごぼうは毎日弁当に入ってたしね。
あと陰キャって呼んでやるなよ。
「でもよくこんな綺麗に卵焼き焼けたな……この世界に四角いフライパン無いだろ?」
丸いのしか見たことない。俺が知らないだけであるのかな?
「ああ、それはうちの神器の能力。うちが調理器具だって認識してたら何にでも変わるから」
佳奈は昨日振り回していた出刃包丁を取り出す。
「見てて」
出刃包丁に視線をやり、眺めていると出刃包丁は段々形を変えて四角いフライパンへと姿を変えた。
「おー……凄いな」
「でしょ?」
佳奈は褒められてご満悦だ。
しかし……これが神器? いや、人のことは言えないけど……
「佳奈の職業って何なんだ?」
「うちは【調理師】だよ。召喚された時に居たおっさんたちは初めて見る職業だって言ってた」
【調理師】……ある意味俺の【トラック運転手】と同じ特殊枠?
「どうやって戦うんだ?」
想像がつかない。そもそも戦闘職なのか?
いや、ジェイドと互角にやり合ってたな……
「うちが魔力を込めて作った料理を食べると半日くらいステータスが上がるよ。それでうち自身も戦えるんだ」
「食べるとステータスが上がる? すごいな」
この世界の魔法に他者にバフを掛ける魔法は存在しない。
それを可能にする【調理師】ってすごいな。サポート職か。
サーシャたちよめーずもこれには驚いたようだ。
「自分で作ったご飯食べてステータスを上げたらうちも戦えるんだよ。武器もあるし」
佳奈は手に持った四角いフライパンを更に変化させる。
現れたのは刃渡り70センチほどの鍔のない日本刀だった。
「刀? 調理器具じゃなくない?」
「違うよ。これは刀じゃなくてマグロ包丁」
わかんねぇよ。どっちも実物見た事ねーよ。
「そんな武器もあるのになんで昨日は出刃包丁で戦ってたんだ?」
「うちが戦ったおじさんの武器が槍だったから」
槍だったから?
「なんで?」
「槍みたいな長い武器って懐に入られたら振り回せないっしょ? だからマグロ包丁じゃなくて出刃包丁で戦ったんだよ」
凄い考え方するな……まぁ結果ジェイドの懐には入り込めなかったみたいだけど。
「それと、うちの神器は用途によって付与効果が変わる!」
バーン! と効果音がつきそうな程、佳奈はドヤ顔をする。
「用途によって?」
「うん。包丁なら【切断力上昇】、アイスピックとかだと【貫通力上昇】、肉たたきだと【衝撃力上昇】みたいな」
形状によって変わるのか……便利だな。
「フライパンなら?」
「【温度操作】が付与されるよ」
「【温度操作】? 何に使うんだ?」
「コンロがいらない」
「なるほど」
超便利じゃん。
「まぁこれ以上話してたら冷めちゃうな。食べようか」
俺の号令で全員席に着いて朝食を食べ始めた。
「んぇ?」
翌朝、アンナに揺すられて目を覚ました。
見覚えのない景色、ここはどこだろうと寝ぼけ眼で周囲を確認する。
「寝惚けてるッスか? ほら、シャキッとするッスよ!」
ほっぺたをムニムニされて意識がハッキリしてくる。
ここ戦場だわ……
「あー……」
こんなに深く眠ったのも久しぶりな気がする。戦場なのにどれだけ気を抜いてるんだって話だな。いかんいかん。
「兵士さんたちももう朝ごはん食べてるッスよ、レオさんも早く起きてごはん食べるッスよ!」
立ち上がり、しっかり体を伸ばしてからアンナと共に天幕を出る。
外では諸侯軍兵士たちが数人ずつ固まって思い思いに過ごしていた。
この後また戦うんだ、今のうちにしっかり英気を養っておいて欲しい。
ウルトの前に行くと、よめーずと勇者娘が俺たちを待っていた。
既に椅子とテーブルが用意されており、テーブルの上には白ご飯に味噌汁、卵焼き、塩サバ、きんぴらごぼうが並べられていた。
こんなの【無限積載】に積んでたっけかな?
「レオ様、おはようございます」
「おはよう。この朝食は?」
「食材はウルト様に出して頂きました。料理はカナさんたちが」
言われて勇者娘たちを見ると、3人並んでドヤ顔をしていた。
佳奈が料理できるのは知っていた。付き合っていた頃は毎日弁当作ってきてくれてたからな。
しかし兎斗は……俺の記憶の中の兎斗はダークマター製造機だったはずなんだが……
「レオにぃどうしたの?」
「いや……お前料理出来るようになったのか?」
感慨深い気持ちで兎斗を見ていると、気になったのか話しかけられた。
「ふふん! レオにぃのお嫁さんになるためにちゃんと料理の練習もしたんだもん!」
へぇ、料理はフィーリングだって豪語してた兎斗がねぇ?
「そっか、頑張ったんだな。それで、兎斗はどれを作ったんだ?」
「ご飯炊いた……」
それ米研いだだけじゃね?
「おかずはうちが作ったよ。お味噌汁は陰キャ……瞳が作ったけど」
そんな気はしてた。卵焼きときんぴらごぼうは毎日弁当に入ってたしね。
あと陰キャって呼んでやるなよ。
「でもよくこんな綺麗に卵焼き焼けたな……この世界に四角いフライパン無いだろ?」
丸いのしか見たことない。俺が知らないだけであるのかな?
「ああ、それはうちの神器の能力。うちが調理器具だって認識してたら何にでも変わるから」
佳奈は昨日振り回していた出刃包丁を取り出す。
「見てて」
出刃包丁に視線をやり、眺めていると出刃包丁は段々形を変えて四角いフライパンへと姿を変えた。
「おー……凄いな」
「でしょ?」
佳奈は褒められてご満悦だ。
しかし……これが神器? いや、人のことは言えないけど……
「佳奈の職業って何なんだ?」
「うちは【調理師】だよ。召喚された時に居たおっさんたちは初めて見る職業だって言ってた」
【調理師】……ある意味俺の【トラック運転手】と同じ特殊枠?
「どうやって戦うんだ?」
想像がつかない。そもそも戦闘職なのか?
いや、ジェイドと互角にやり合ってたな……
「うちが魔力を込めて作った料理を食べると半日くらいステータスが上がるよ。それでうち自身も戦えるんだ」
「食べるとステータスが上がる? すごいな」
この世界の魔法に他者にバフを掛ける魔法は存在しない。
それを可能にする【調理師】ってすごいな。サポート職か。
サーシャたちよめーずもこれには驚いたようだ。
「自分で作ったご飯食べてステータスを上げたらうちも戦えるんだよ。武器もあるし」
佳奈は手に持った四角いフライパンを更に変化させる。
現れたのは刃渡り70センチほどの鍔のない日本刀だった。
「刀? 調理器具じゃなくない?」
「違うよ。これは刀じゃなくてマグロ包丁」
わかんねぇよ。どっちも実物見た事ねーよ。
「そんな武器もあるのになんで昨日は出刃包丁で戦ってたんだ?」
「うちが戦ったおじさんの武器が槍だったから」
槍だったから?
「なんで?」
「槍みたいな長い武器って懐に入られたら振り回せないっしょ? だからマグロ包丁じゃなくて出刃包丁で戦ったんだよ」
凄い考え方するな……まぁ結果ジェイドの懐には入り込めなかったみたいだけど。
「それと、うちの神器は用途によって付与効果が変わる!」
バーン! と効果音がつきそうな程、佳奈はドヤ顔をする。
「用途によって?」
「うん。包丁なら【切断力上昇】、アイスピックとかだと【貫通力上昇】、肉たたきだと【衝撃力上昇】みたいな」
形状によって変わるのか……便利だな。
「フライパンなら?」
「【温度操作】が付与されるよ」
「【温度操作】? 何に使うんだ?」
「コンロがいらない」
「なるほど」
超便利じゃん。
「まぁこれ以上話してたら冷めちゃうな。食べようか」
俺の号令で全員席に着いて朝食を食べ始めた。
5
お気に入りに追加
705
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる