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積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ

佳奈の能力

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「レオさん、朝ッス!  早く起きるッスよ!」
「んぇ?」

 翌朝、アンナに揺すられて目を覚ました。
 見覚えのない景色、ここはどこだろうと寝ぼけ眼で周囲を確認する。

「寝惚けてるッスか?  ほら、シャキッとするッスよ!」

 ほっぺたをムニムニされて意識がハッキリしてくる。
 ここ戦場だわ……

「あー……」

 こんなに深く眠ったのも久しぶりな気がする。戦場なのにどれだけ気を抜いてるんだって話だな。いかんいかん。

「兵士さんたちももう朝ごはん食べてるッスよ、レオさんも早く起きてごはん食べるッスよ!」

 立ち上がり、しっかり体を伸ばしてからアンナと共に天幕を出る。
 外では諸侯軍兵士たちが数人ずつ固まって思い思いに過ごしていた。
 この後また戦うんだ、今のうちにしっかり英気を養っておいて欲しい。

 ウルトの前に行くと、よめーずと勇者娘が俺たちを待っていた。
 既に椅子とテーブルが用意されており、テーブルの上には白ご飯に味噌汁、卵焼き、塩サバ、きんぴらごぼうが並べられていた。
 こんなの【無限積載】に積んでたっけかな?

「レオ様、おはようございます」
「おはよう。この朝食は?」
「食材はウルト様に出して頂きました。料理はカナさんたちが」

 言われて勇者娘たちを見ると、3人並んでドヤ顔をしていた。

 佳奈が料理できるのは知っていた。付き合っていた頃は毎日弁当作ってきてくれてたからな。
 しかし兎斗は……俺の記憶の中の兎斗はダークマター製造機だったはずなんだが……

「レオにぃどうしたの?」
「いや……お前料理出来るようになったのか?」

 感慨深い気持ちで兎斗を見ていると、気になったのか話しかけられた。

「ふふん!  レオにぃのお嫁さんになるためにちゃんと料理の練習もしたんだもん!」

 へぇ、料理はフィーリングだって豪語してた兎斗がねぇ?

「そっか、頑張ったんだな。それで、兎斗はどれを作ったんだ?」
「ご飯炊いた……」

 それ米研いだだけじゃね?

「おかずはうちが作ったよ。お味噌汁は陰キャ……瞳が作ったけど」

 そんな気はしてた。卵焼きときんぴらごぼうは毎日弁当に入ってたしね。
 あと陰キャって呼んでやるなよ。

「でもよくこんな綺麗に卵焼き焼けたな……この世界に四角いフライパン無いだろ?」

 丸いのしか見たことない。俺が知らないだけであるのかな?

「ああ、それはうちの神器の能力。うちが調理器具だって認識してたら何にでも変わるから」

 佳奈は昨日振り回していた出刃包丁を取り出す。

「見てて」

 出刃包丁に視線をやり、眺めていると出刃包丁は段々形を変えて四角いフライパンへと姿を変えた。

「おー……凄いな」
「でしょ?」

 佳奈は褒められてご満悦だ。
 しかし……これが神器?  いや、人のことは言えないけど……

「佳奈の職業って何なんだ?」
「うちは【調理師】だよ。召喚された時に居たおっさんたちは初めて見る職業だって言ってた」

【調理師】……ある意味俺の【トラック運転手】と同じ特殊枠?

「どうやって戦うんだ?」

 想像がつかない。そもそも戦闘職なのか?
 いや、ジェイドと互角にやり合ってたな……

「うちが魔力を込めて作った料理を食べると半日くらいステータスが上がるよ。それでうち自身も戦えるんだ」
「食べるとステータスが上がる?  すごいな」

 この世界の魔法に他者にバフを掛ける魔法は存在しない。
 それを可能にする【調理師】ってすごいな。サポート職か。

 サーシャたちよめーずもこれには驚いたようだ。

「自分で作ったご飯食べてステータスを上げたらうちも戦えるんだよ。武器もあるし」

 佳奈は手に持った四角いフライパンを更に変化させる。
 現れたのは刃渡り70センチほどの鍔のない日本刀だった。

「刀?  調理器具じゃなくない?」
「違うよ。これは刀じゃなくてマグロ包丁」

 わかんねぇよ。どっちも実物見た事ねーよ。

「そんな武器もあるのになんで昨日は出刃包丁で戦ってたんだ?」
「うちが戦ったおじさんの武器が槍だったから」

 槍だったから?

「なんで?」
「槍みたいな長い武器って懐に入られたら振り回せないっしょ?  だからマグロ包丁じゃなくて出刃包丁で戦ったんだよ」

 凄い考え方するな……まぁ結果ジェイドの懐には入り込めなかったみたいだけど。

「それと、うちの神器は用途によって付与効果が変わる!」

 バーン!  と効果音がつきそうな程、佳奈はドヤ顔をする。

「用途によって?」
「うん。包丁なら【切断力上昇】、アイスピックとかだと【貫通力上昇】、肉たたきだと【衝撃力上昇】みたいな」

 形状によって変わるのか……便利だな。

「フライパンなら?」
「【温度操作】が付与されるよ」
「【温度操作】?  何に使うんだ?」
「コンロがいらない」
「なるほど」

 超便利じゃん。

「まぁこれ以上話してたら冷めちゃうな。食べようか」

 俺の号令で全員席に着いて朝食を食べ始めた。
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