異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

文字の大きさ
上 下
206 / 266
積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ

リンの策略

しおりを挟む
 ~リン視点~

 半日デートした日の夕食時、レオはあたしの家族をドン引きさせていた。

 とはいえこれはレオは悪くない、戦いとはどういうものなのか理解していなかったあたしの家族が悪い。

 確かに、レオの話はそこらで聞く英雄譚とはかけ離れている。
 けれど、本来戦いとはそういうものだ。

 英雄譚のような死闘を繰り返していたら命がいくつあっても足りない、そのくらいのことを理解していない家族に対して少し残念な気持ちになってしまう。
 うちって一応英雄の一族よね?

 そんな夕食の時間も終わり、それぞれがお風呂で身を清めて就寝となる。

 レオを客間に案内させてあたしはお母様の部屋へと赴いた。

「お母様」
「どうしたの?」

 のんびりと本を読んでいた母にとあるお願いをする。

「あの本、貸して貰えない?」
「あの本……ああ、前にも読んでなかったかしら?」
「読んだけど……復習しようと思って」
「なるほどね。いいわよ」

 お母様は立ち上がり、書棚から一冊の本を取り出して手渡してくれた。

「ありがとう」
「頑張りなさい」

 お母様から応援の言葉を貰って自室へと戻る。

 光源の魔法を使って部屋を明るくしてあたしは持ってきた本を開いた。

 この本の内容は一通り頭に入っている。
 サーシャちゃんたちにもレクチャーしたくらいだ。

 そういえばベラは実際に試してみて好評だったみたいね……アレも取り入れよう。

「うーん……今まで通り迫ってもいいのだけれど……」

 もっとレオが興奮するようなことは書いてないだろうか?
 たまには思い切り襲われてみたい。パラパラとページを捲りながら内容に目を通す。

「3人で……ハーレム……これもいいけど今は無理ね。えっと……これね。シチュエーション……ギャップ萌え……」

 ふむふむ、男性はいつもと違う行動を取ればドキッとするか……
 このゆるふわモテガールって言葉はちょっとよく分からないけど……これね。

「いつもより清楚な格好……いえ、格好は今日買った下着とネグリジェでいいわね……」

 下着専門店に連れていった時のレオはドギマギしていて正直あの場で押し倒してしまいたかったくらいに可愛かった。

「ダメダメ……なるほどなるほど……」

 小一時間ほど内容を読み込んで頭の中で何度もシュミレーションしてみる。
 よし、イケる。

 本を閉じて準備を整える。
 いつもはつけない香水だけど、たまにはいいわよね。

「よし……!」

 準備は整った。気合いも充分。
 なんなら今日、今これよりあたしは妊娠してみせる!

 部屋を飛び出し、駆け出す。
 目指すはレオの泊まっている客間!

 いくら広い屋敷とはいえ所詮は家、すぐにレオの部屋の前へとたどり着いた。
 まだ起きてるかしら?

 まぁ寝てたら寝てたで……潜り込めばいいわね。

 一度大きく深呼吸、意を決して扉をノックした。

「はーい」

 良かった、起きていたようだ。
 なら大丈夫、作戦はバッチリ、これでレオはあたしのことを襲うはず!

 ガチャりと、扉が開いた。
 すぐ目の前にはレオの顔、相変わらずむしゃぶりつきたいくらいに整っている。

 イケナイ、今日はそうじゃないのよリン!
 作戦を思い出して!

「来ちゃった……」

 恥ずかしそうに、そう言った。
 小さく水魔法を発動、瞳を濡らして上目遣いにレオを見上げる。

 ふふ……ドキドキしてるわね、可愛い。食べたい。

「入っても……いい?」
「あ、ああ」

 体をズラして部屋に迎え入れてくれる。
 今すぐ押し倒したい気持ちをグッと堪えてベッドに座る。

 いつもと違って恥ずかしそうに、緊張しているように見えるよう気をつけながら座り、レオの方を見るとまだ固まっていた。

 ここだ。

「あなた?」
「おぅ」

 困惑してるわね、いい感じ。

 レオが隣に座ったのでそっと身を預ける。
 上目遣いで見つめるのも忘れない。

 ふふ……完全に動揺してるわね……あとひと押し!

「あなた……」

 目を閉じて、少しだけ顎を上げる。

「リン……」

 レオは体を離してあたしの両肩を掴んだ。
 ヘイヘイ!  カモンカモン!

 最初は触れるだけの優しい口付けだった。
 けれど、だんだん激しいものとなりレオはついにあたしをベッドに押し倒した。

 完全勝利!
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...