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第6章……復讐の勇者編
145話……2人の聖女
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「やったわね」
「クリード様。すごいです!」
魔王の消滅を見てサーシャとリンがウルトから飛び降りて走り寄ってくる。
「何とかなって良かったよ。3人がかりの【聖浄化結界】は有効だってこともわかったし次の魔王が現れてもこれで安心じゃない?」
どうしても勇者召喚に聖女1人が犠牲にならなくてはならないけど新たな聖女の誕生を待って勇者パーティwithトリプル聖女で楽勝だろ。
「そうですね……私の価値観も変わってしまいそうです」
「今更じゃない? クリードと一緒に居たら常識なんてなんの意味も無いってよく分かるでしょ?」
なかなか酷いことを言うな……
「やるべき事は終わったしさっさと帰ろう」
2人を促しウルトに乗り込む。
聖女2人も国に送り返してやらないといけないしね。
《元の世界に戻りますか? YES/NO》
「うぉ!?」
目の前に突然半透明のウィンドウが現れて驚いて声が出てしまう。
「どうしたの?」
「いやこれ……」
ウインドウを指差すがリンとサーシャには見えてない様子、不思議現象だな。
「何も無いわよ?」
「俺にしか見えないのかな? 元の世界に戻るかどうかの選択肢が出てる」
「元の世界……クリード様は戻られるのですか?」
サーシャが不安そうな顔でこちらを見ているがこの答えは結構前から決まってるし何度も言ってると思うんだけどな……
「戻らないよ」
《NO》を選択、すると今度は《本当によろしいですか? YES/NO》と表示される。
今度は《YES》を選択、するとさらに……
「どれだけ戻らせたいんだよ……」
念入りに確認され何度も《戻らない》を選択し続けるとようやくウインドウは閉じた。
これで終わりかな?
「大丈夫? いきなり消えたりしない?」
「しないよ。ちゃんと戻らない選択したから」
そう答えるとリンは安心したように微笑む。サーシャも隣で安堵の息を吐いていた。
ウルトに乗り込むと王国と帝国、2人の聖女は不安そうに外を眺めていた。
「お疲れ様、ありがとう。助かったよ」
「いえ……あの、これで本当に終わったのでしょうか?」
俺が礼を言うと王国の聖女が質問で返してくる。
「終わったよ。魔王は滅びた」
「そうですよね……よかったぁ」
ヘナヘナと腰が抜けたようにへたり込む王国の聖女様、帝国の聖女が心配するように寄り添っている。
「じゃあ帰ろうか。キミたちは王国と帝国に送ればいいのかな?」
「よろしくお願いします」
「あのぉ……」
帝国の聖女は頷いたが王国の聖女はなにか言いづらそうに右手を少し上げている。
なにかあるのか?
「どしたん?」
「えっと……すごく言いづらいのですが……王国には戻りたく無いのです……」
ふぁ?
なにその今夜は帰りたくないの……みたいなやつ。
「戻りたくないとは……どういうことですか?」
気になったのかサーシャが王国の聖女に尋ねる。
俺も聞きたかったから助かるよ。
「あれだけ盛大に、国王陛下の期待を背負って旅に出たのに……あたしは勇者様たちを諌めることが出来ませんでした。それにこのまま国に戻ると……」
そこで言葉を切って王国の聖女は俯いて黙ってしまった。
それを見たサーシャと帝国の聖女はあー……といった感じで頷いている。
え? なんなの? 聖女にしか分からない何かで通じあってるの?
「クリード様……彼女、ベラさんはこのまま教国に連れて帰ろうかと思いますがよろしいですか?」
「勇者様、私がお願いするのも変かもしれませんが……どうかよろしくお願いします」
「え?」
ちょっと訳がわからない。
サーシャと帝国の聖女から王国の聖女、ベラを連れて帰りたいとお願いされてるんだよな?
「別にそれはいいんだけど、なんで?」
「それは……役目の終わった聖女というのは……それに彼女は役目を全うしたとも言えないので……」
物凄く言い淀んでいる。これは聞いたら嫌な気持ちになるやつだな……
「あー……分かった、聞かない。理由は聞かないけど連れて帰るのは了解したよ。連れて帰って問題は無いんだろ?」
「そうですね……生きているとバレると少し面倒なことになるかもしれません」
それダメじゃね?
「生きてるのがバレると不味いって……どうするのさ?」
「結婚すればいいかと……御相手は……」
サーシャは何となく言いたくないような表情だ。対して王国の……ベラはじっと俺の顔を見てくる。
「え? ……俺?」
「もし万が一発覚したとしても跳ね返せる男性となると……教国の上位貴族でも構いはしませんがそれだと王国に帰るのとあまり変わらないことになりますので……」
えぇ……
「羨ましい……」
「ん?」
ベラの嫁取りの話をしていると帝国の聖女がボソッと呟いた。
俺は聞いていない。何も聞いていない。
「まぁ……うん、とりあえず帝国に……行く?」
「いえ、教国に先に戻りましょう。ベラさんの件を伝えるのにイリアーナさんの協力があった方がいいと思います」
そうなの?
というか帝国の聖女の名前はイリアーナね、覚えれるか分からないけど覚えておこう。
「サーシャがそう言うなら……」
そういう政治的判断みたいな話は俺にはわからないからサーシャに任せよう。
リンも納得しているようだしこれはアレ? 男女の違い? 世界の違い?
まぁ考えても分からなさそうだしいいか……
「まぁいいか、ウルト、教国に帰ろう」
『かしこまりました』
ウルトは走り出し魔王の座していた玉座の間を後にする。
城内で襲ってくる魔物や魔族は居らずスムーズに城を脱出することが出来た。
さて、のんびり帰りましょうかね……
「クリード様。すごいです!」
魔王の消滅を見てサーシャとリンがウルトから飛び降りて走り寄ってくる。
「何とかなって良かったよ。3人がかりの【聖浄化結界】は有効だってこともわかったし次の魔王が現れてもこれで安心じゃない?」
どうしても勇者召喚に聖女1人が犠牲にならなくてはならないけど新たな聖女の誕生を待って勇者パーティwithトリプル聖女で楽勝だろ。
「そうですね……私の価値観も変わってしまいそうです」
「今更じゃない? クリードと一緒に居たら常識なんてなんの意味も無いってよく分かるでしょ?」
なかなか酷いことを言うな……
「やるべき事は終わったしさっさと帰ろう」
2人を促しウルトに乗り込む。
聖女2人も国に送り返してやらないといけないしね。
《元の世界に戻りますか? YES/NO》
「うぉ!?」
目の前に突然半透明のウィンドウが現れて驚いて声が出てしまう。
「どうしたの?」
「いやこれ……」
ウインドウを指差すがリンとサーシャには見えてない様子、不思議現象だな。
「何も無いわよ?」
「俺にしか見えないのかな? 元の世界に戻るかどうかの選択肢が出てる」
「元の世界……クリード様は戻られるのですか?」
サーシャが不安そうな顔でこちらを見ているがこの答えは結構前から決まってるし何度も言ってると思うんだけどな……
「戻らないよ」
《NO》を選択、すると今度は《本当によろしいですか? YES/NO》と表示される。
今度は《YES》を選択、するとさらに……
「どれだけ戻らせたいんだよ……」
念入りに確認され何度も《戻らない》を選択し続けるとようやくウインドウは閉じた。
これで終わりかな?
「大丈夫? いきなり消えたりしない?」
「しないよ。ちゃんと戻らない選択したから」
そう答えるとリンは安心したように微笑む。サーシャも隣で安堵の息を吐いていた。
ウルトに乗り込むと王国と帝国、2人の聖女は不安そうに外を眺めていた。
「お疲れ様、ありがとう。助かったよ」
「いえ……あの、これで本当に終わったのでしょうか?」
俺が礼を言うと王国の聖女が質問で返してくる。
「終わったよ。魔王は滅びた」
「そうですよね……よかったぁ」
ヘナヘナと腰が抜けたようにへたり込む王国の聖女様、帝国の聖女が心配するように寄り添っている。
「じゃあ帰ろうか。キミたちは王国と帝国に送ればいいのかな?」
「よろしくお願いします」
「あのぉ……」
帝国の聖女は頷いたが王国の聖女はなにか言いづらそうに右手を少し上げている。
なにかあるのか?
「どしたん?」
「えっと……すごく言いづらいのですが……王国には戻りたく無いのです……」
ふぁ?
なにその今夜は帰りたくないの……みたいなやつ。
「戻りたくないとは……どういうことですか?」
気になったのかサーシャが王国の聖女に尋ねる。
俺も聞きたかったから助かるよ。
「あれだけ盛大に、国王陛下の期待を背負って旅に出たのに……あたしは勇者様たちを諌めることが出来ませんでした。それにこのまま国に戻ると……」
そこで言葉を切って王国の聖女は俯いて黙ってしまった。
それを見たサーシャと帝国の聖女はあー……といった感じで頷いている。
え? なんなの? 聖女にしか分からない何かで通じあってるの?
「クリード様……彼女、ベラさんはこのまま教国に連れて帰ろうかと思いますがよろしいですか?」
「勇者様、私がお願いするのも変かもしれませんが……どうかよろしくお願いします」
「え?」
ちょっと訳がわからない。
サーシャと帝国の聖女から王国の聖女、ベラを連れて帰りたいとお願いされてるんだよな?
「別にそれはいいんだけど、なんで?」
「それは……役目の終わった聖女というのは……それに彼女は役目を全うしたとも言えないので……」
物凄く言い淀んでいる。これは聞いたら嫌な気持ちになるやつだな……
「あー……分かった、聞かない。理由は聞かないけど連れて帰るのは了解したよ。連れて帰って問題は無いんだろ?」
「そうですね……生きているとバレると少し面倒なことになるかもしれません」
それダメじゃね?
「生きてるのがバレると不味いって……どうするのさ?」
「結婚すればいいかと……御相手は……」
サーシャは何となく言いたくないような表情だ。対して王国の……ベラはじっと俺の顔を見てくる。
「え? ……俺?」
「もし万が一発覚したとしても跳ね返せる男性となると……教国の上位貴族でも構いはしませんがそれだと王国に帰るのとあまり変わらないことになりますので……」
えぇ……
「羨ましい……」
「ん?」
ベラの嫁取りの話をしていると帝国の聖女がボソッと呟いた。
俺は聞いていない。何も聞いていない。
「まぁ……うん、とりあえず帝国に……行く?」
「いえ、教国に先に戻りましょう。ベラさんの件を伝えるのにイリアーナさんの協力があった方がいいと思います」
そうなの?
というか帝国の聖女の名前はイリアーナね、覚えれるか分からないけど覚えておこう。
「サーシャがそう言うなら……」
そういう政治的判断みたいな話は俺にはわからないからサーシャに任せよう。
リンも納得しているようだしこれはアレ? 男女の違い? 世界の違い?
まぁ考えても分からなさそうだしいいか……
「まぁいいか、ウルト、教国に帰ろう」
『かしこまりました』
ウルトは走り出し魔王の座していた玉座の間を後にする。
城内で襲ってくる魔物や魔族は居らずスムーズに城を脱出することが出来た。
さて、のんびり帰りましょうかね……
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