91 / 266
第4章……グリエル奪還編
85話……鎮圧
しおりを挟む
勇者たちを降ろして俺たちは森の周囲のカブトムシの殲滅を開始した。
彼らが降りてから車内の空気が軽いこと軽いこと、助手席に座っていたケイト以外のメンバーのほっとした感じが何だかやるせない。
「しつこかったわね」
「えぇ……私は聖女様の騎士です。恋愛などにうつつを抜かしている場合では無いと断っても……」
「自分なんて何だか妹みたいとか言われたッスよ……自分の方が年上なのに……」
ソフィアとアンナがどんよりしている、余程しつこく絡まれたんだろうなぁ……
サーシャは王国の聖女とやらとずっと話していたしリンはその……年齢的なアレで勇者たちからあまり絡まれなかったようだ。
決して口にはしないけどね。
「俺たちのレベルは30超えてるからとか言ってたッスけど……30超えたくらいで威張られてもどうしていいか分かんないッス」
そう言うのはレベル45のアンナ、たしかに自分より低いレベルでドヤられても困るよな。
「自慢げに話してましたが……でもたしかにステータスは私やアンナよりも高いみたいですね」
10以上レベル差があってもステータス的には勇者たちの方が上なのか……
やっぱり上位職というのは伊達では無いみたいだな。
『戦闘が開始されたようです。今はグレートビートルの近くに居るフライングビートルの数を減らしているようですね』
森の中にも当然フライングビートルは入り込んでいる。
グレートビートルとの戦闘中に邪魔されないように片付けているのだろう。
俺たちの役目はこれ以上森にフライングビートルを立ち入らせないこと、これは手分けしてやった方がいいか?
いや数分あればウルトなら森1周出来るし必要ないか。
ウルトに乗ったまま何周かしていると森の近くにフライングビートルは確認出来なくなってきた。
ウルトの【万能感知】でも周囲1キロにフライングビートルは存在しないらしい。
森の中では既に勇者たちとグレートビートルの戦闘が始まっているがまだ数十匹のフライングビートルが森の中に存在している。
気付いてないのか放置しているのか……
『そろそろ迷宮前に向かいますか?』
「そうだな……」
どうしよう?
森の中のカブトムシを放っておいたら勇者たちの戦いに乱入するかもしれない、かといって俺たちが森に入ると勇者たちに気付かれて気が散るかもしれない……
「私が行きます。【隠密】を使えば勇者たちからも気付かれず倒せるでしょう。一掃した後は勇者たちがピンチにならないか監視しておきます」
「なるほど、でも1人で大丈夫?」
「この前少し戦いましたがフライングビートル程度なら問題ありません」
あの生存者救出した時にソフィアも戦ってたのか……
まぁ俺もフライングビートルくらいなら数百匹相手にしてもどうにでもなる自信あるし問題ないか。
「わかった、でもこれは持ってて」
俺はほぼ左耳と一体化しているくらいつけっぱなしのイヤホンとスマホを取り出してソフィアに手渡す。
これがあれば何かあってもすぐにわかるからね。
「お預かりします」
「頼んだよ。何かあったらすぐに呼んでくれ」
「ソフィア、お気を付けて」
一旦ウルトを停めてソフィアを降ろす。
ソフィアなら問題無くことを進めてくれるだろう。
俺たちは再び出発、念の為もう1周森の周りにフライングビートルが居ないことを確認してから迷宮へ向かう。
移動中に発見したフライングビートルをしっかりと踏み潰して迷宮前に向かうと、凄まじい数のカブトムシが迷宮から出てきている姿が見えた。
これは倒しても倒しても数減らないわけだわ……
『殲滅します』
「俺とリンも屋根から援護するよ」
ウルトがその車体で大量のフライングビートルを轢き殺し俺とリンも屋根から魔法で援護、すぐに迷宮前に現れたフライングビートルを全滅させた。
『まだ出てきますね』
「どれだけいるんだよ……」
勇者たちがグレートビートルを倒すまでの辛抱か……
リバークでもグレートウルフを倒したら嘘みたいにピタッと止まったからな。
「森の中のフライングビートルの殲滅完了しました、これより勇者たちの監視に向かいます」
ウルトを通してソフィアの声、無事に森の中の掃除は終わったようだ。
サーシャがソフィアを案じるようなことを言っているのが聞こえる、心配なんだろうな。
『マスター緊急事態です。フライングビートル以外の魔物も現れ始めました』
「マジかよ」
迷宮の方へと目をやると大量のクワガタが出てきているのが見えた。
カブトムシの次はクワガタか……
こいつも50~60センチくらいあるから日本で見つけたらいくらで売れることやら……
『討伐します』
ウルトがクワガタに向け突撃、カブトムシと同じように当たった瞬間に弾け飛ぶクワガタがハッキリと見えた。
強さはあんまり変わらない? 角が鋏になったことで攻撃力は上がってるのかな?
あの鋏に挟まれたら人間の腕くらいなら簡単にちぎれそうだしな……
「勇者たちは徐々にグレートビートルを追い詰めています。間もなく討伐完了する見込みです」
ソフィアからの報告、勇者たちは無事にグレートビートルを討伐出来そうで安心だ。
「もう少しで倒せそうだってさ」
「早くしてもらいたいわね、早く解決してリリオットを探しに行きたいのよ」
リンはブツブツ言いながらも魔法で的確にカブトムシとクワガタを狙い倒している。
あの早さと精度は敵わないな……
それから小一時間ほどクワガタを倒し続けているとピタリと迷宮から出てこなくなった。
「討伐確認しました」
「わかった、こっちも終わったからすぐに迎えに行くよ。勇者たちにバレないように反対方向から森を抜けてくれ」
「了解」
さて終わったことだし迎えに行きますかね。
彼らが降りてから車内の空気が軽いこと軽いこと、助手席に座っていたケイト以外のメンバーのほっとした感じが何だかやるせない。
「しつこかったわね」
「えぇ……私は聖女様の騎士です。恋愛などにうつつを抜かしている場合では無いと断っても……」
「自分なんて何だか妹みたいとか言われたッスよ……自分の方が年上なのに……」
ソフィアとアンナがどんよりしている、余程しつこく絡まれたんだろうなぁ……
サーシャは王国の聖女とやらとずっと話していたしリンはその……年齢的なアレで勇者たちからあまり絡まれなかったようだ。
決して口にはしないけどね。
「俺たちのレベルは30超えてるからとか言ってたッスけど……30超えたくらいで威張られてもどうしていいか分かんないッス」
そう言うのはレベル45のアンナ、たしかに自分より低いレベルでドヤられても困るよな。
「自慢げに話してましたが……でもたしかにステータスは私やアンナよりも高いみたいですね」
10以上レベル差があってもステータス的には勇者たちの方が上なのか……
やっぱり上位職というのは伊達では無いみたいだな。
『戦闘が開始されたようです。今はグレートビートルの近くに居るフライングビートルの数を減らしているようですね』
森の中にも当然フライングビートルは入り込んでいる。
グレートビートルとの戦闘中に邪魔されないように片付けているのだろう。
俺たちの役目はこれ以上森にフライングビートルを立ち入らせないこと、これは手分けしてやった方がいいか?
いや数分あればウルトなら森1周出来るし必要ないか。
ウルトに乗ったまま何周かしていると森の近くにフライングビートルは確認出来なくなってきた。
ウルトの【万能感知】でも周囲1キロにフライングビートルは存在しないらしい。
森の中では既に勇者たちとグレートビートルの戦闘が始まっているがまだ数十匹のフライングビートルが森の中に存在している。
気付いてないのか放置しているのか……
『そろそろ迷宮前に向かいますか?』
「そうだな……」
どうしよう?
森の中のカブトムシを放っておいたら勇者たちの戦いに乱入するかもしれない、かといって俺たちが森に入ると勇者たちに気付かれて気が散るかもしれない……
「私が行きます。【隠密】を使えば勇者たちからも気付かれず倒せるでしょう。一掃した後は勇者たちがピンチにならないか監視しておきます」
「なるほど、でも1人で大丈夫?」
「この前少し戦いましたがフライングビートル程度なら問題ありません」
あの生存者救出した時にソフィアも戦ってたのか……
まぁ俺もフライングビートルくらいなら数百匹相手にしてもどうにでもなる自信あるし問題ないか。
「わかった、でもこれは持ってて」
俺はほぼ左耳と一体化しているくらいつけっぱなしのイヤホンとスマホを取り出してソフィアに手渡す。
これがあれば何かあってもすぐにわかるからね。
「お預かりします」
「頼んだよ。何かあったらすぐに呼んでくれ」
「ソフィア、お気を付けて」
一旦ウルトを停めてソフィアを降ろす。
ソフィアなら問題無くことを進めてくれるだろう。
俺たちは再び出発、念の為もう1周森の周りにフライングビートルが居ないことを確認してから迷宮へ向かう。
移動中に発見したフライングビートルをしっかりと踏み潰して迷宮前に向かうと、凄まじい数のカブトムシが迷宮から出てきている姿が見えた。
これは倒しても倒しても数減らないわけだわ……
『殲滅します』
「俺とリンも屋根から援護するよ」
ウルトがその車体で大量のフライングビートルを轢き殺し俺とリンも屋根から魔法で援護、すぐに迷宮前に現れたフライングビートルを全滅させた。
『まだ出てきますね』
「どれだけいるんだよ……」
勇者たちがグレートビートルを倒すまでの辛抱か……
リバークでもグレートウルフを倒したら嘘みたいにピタッと止まったからな。
「森の中のフライングビートルの殲滅完了しました、これより勇者たちの監視に向かいます」
ウルトを通してソフィアの声、無事に森の中の掃除は終わったようだ。
サーシャがソフィアを案じるようなことを言っているのが聞こえる、心配なんだろうな。
『マスター緊急事態です。フライングビートル以外の魔物も現れ始めました』
「マジかよ」
迷宮の方へと目をやると大量のクワガタが出てきているのが見えた。
カブトムシの次はクワガタか……
こいつも50~60センチくらいあるから日本で見つけたらいくらで売れることやら……
『討伐します』
ウルトがクワガタに向け突撃、カブトムシと同じように当たった瞬間に弾け飛ぶクワガタがハッキリと見えた。
強さはあんまり変わらない? 角が鋏になったことで攻撃力は上がってるのかな?
あの鋏に挟まれたら人間の腕くらいなら簡単にちぎれそうだしな……
「勇者たちは徐々にグレートビートルを追い詰めています。間もなく討伐完了する見込みです」
ソフィアからの報告、勇者たちは無事にグレートビートルを討伐出来そうで安心だ。
「もう少しで倒せそうだってさ」
「早くしてもらいたいわね、早く解決してリリオットを探しに行きたいのよ」
リンはブツブツ言いながらも魔法で的確にカブトムシとクワガタを狙い倒している。
あの早さと精度は敵わないな……
それから小一時間ほどクワガタを倒し続けているとピタリと迷宮から出てこなくなった。
「討伐確認しました」
「わかった、こっちも終わったからすぐに迎えに行くよ。勇者たちにバレないように反対方向から森を抜けてくれ」
「了解」
さて終わったことだし迎えに行きますかね。
13
お気に入りに追加
705
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる