異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

文字の大きさ
上 下
59 / 266
第2章……迷宮都市編

54話……朝のパーティ会議

しおりを挟む
 翌朝、何とか起こされる前に起きることができた俺は朝の身支度を整える。

 朝練する程の時間は無いので部屋でストレッチと軽い筋トレをしていると扉を叩かれたので自分に浄化をかけて扉を開いた。

「クリード様、おはようございます」
「おはようサーシャ。朝食行こうか」

 並んで食堂まで移動してみんな揃って朝食を食べる。

「この後少し時間いいかな?  ちょっと話しておきたいことがあるんだ」
「お話ですか?  分かりました、食事を終えたら私たちの部屋でお聞きしますね」

 伝達事項はきちんと伝えた、それからは全員の朝食が済むまで雑談して時間を過ごす。

 部屋に戻り女性4人はベッドに、俺は備え付けの椅子に腰掛けて話を始める。

「話っていうのは昨日ディムたちから飲みに誘われてね、そこで頼み事をされたんだ」
「頼み事ですか?  どのような?」

 サーシャ、ソフィア、アンナは皆目見当もつかないといった表情でこちらを見ている。
 リンだけは何も言わずに俺を見つめている。

「実は……ケイトをうちのパーティメンバーに加えて欲しいって言われたんだ」
「ケイトさんをッスか?」
「何故そのようなお話に?」

 俺は昨日ディムたちから聞いた説明を繰り返す。
 話を聞いているうちに3人は納得したような表情を浮かべるようになっていった。

「なるほど……お話は分かりました。それでディムさんたちの話が纏まった場合ケイトさんを受け入れるかどうかというお話ですね?」
「そうなる。みんな賛成か反対か教えて欲しい」

 みんなの顔を見渡すと、まずはリンが口を開いた。

「実施リーダーはもうクリードだからクリードが決断すればいいと思うわ。個人的には賛成よ」
「え?  マジで俺がリーダーなの?」
「当然よ。しばらくしたらミスリルランクに上がるんだからパーティで1番ランクが高いのはクリードになるのよ」

 それはそうだけど……

「私はクリード様のリーダー就任、ケイトさんを迎え入れるお話どちらも賛成ですよ」

 続いて口を開いたのはサーシャだ。
 サーシャまで俺がリーダーでもいいと言うなんて……

「クリード様のリーダーはとりあえず置いておくとして、ケイトさんが加入してくれれば戦力は大幅アップ間違いなしですし、数日ですが関わった感じケイトさんに悪意はありませんので」

 聖女ってそういうのもわかるもんなのかな?

「私は構いません。ケイト殿が加われば聖女様の安全性も向上しますので問題ありません」
「自分も賛成ッスね。ケイトさんなら嫌な感じもしないし個人的には結構好きッスから」

 良かった、全員賛成のようだ。
 これであちらのパーティの話し合い次第だがこちらの受け入れ態勢は整ったな。

「それで、クリード様はどうなんですか?」
「ん?  どうって?」
「私たちの意見は述べましたがクリード様の意見は聞いていませんよ」

 あぁ、確かに言ってないな。

「俺としては反対する理由は無いと思ってる。強さ的にも性格的にも問題は無いとと思ってるよ」

 つまり賛成。
 満場一致で良かった。

「あとはケイトさんの気持ち次第ですね。いくら私たちが受け入れるつもりでもケイトさんが嫌がればどうにもなりませんし」
「ディムたちが言うには大丈夫だと思うってさ。ディムたちと一緒に高みに登りたい気持ちと俺たちと冒険したい気持ちがせめぎ合ってるらしい。それにハンスとミナは冒険者を引退する方向で考えてるみたいだしな」

 あたかもディムたちから聞いたように言っているがケイトの気持ちは俺が昨日直接聞いたものだ。

「なるほど……ハンスさんとミナさんが引退する以上あのパーティで高みを目指すことは不可能、ならこちらに傾く可能性が高いということですね」
「そういうこと。だからケイトは加入する前提で考えていいと思う。これで俺の話は終わりだけどみんなはなにかある?」

 俺がそう聞くとサーシャがすっと手を上げた。

「ある程度は足並みを揃えるためにもそろそろ勇者パーティの情報が欲しいです」
「なるほど……ならどうする?  聞き込み?」
「そういった情報はギルドが早いかと……ミスリルランク昇格時期、国からの報酬の時期を確認するついでに聞いてみようかと思います」
「そうか、なら俺も一緒に行った方がいいな」

 今日は迷宮に行く時間は無いかもな……

「お願いします。10時くらいには出発しようと思いますがクリード様のご都合は?」
「大丈夫、ならそうしよう」

 とはいえ既に9時半を回っている。

「他は?」
「特に無いわね」
「よしなら……って忘れてた、俺からもう1つあった」

 解散と言おうとして思い出した。

「今ウルト単独で迷宮に潜って魔物狩りをしてもらってるんだけど、経験値ってみんなにも行ってるのかな?」

 俺がそう聞くと全員がステータスを開いて確認する。

「レベルやスキルに変化はないわね」
「私もありません」

 リンとサーシャが答えソフィアとアンナも頷いて肯定を示す。

「なら俺だけに来てるのか……どういう仕組みなんだろ?」
「普通ならクリードに経験値が届いてるのも不思議なんだけど……一般的には経験値分配をしていても離れすぎているとその効果は適用されないわ」

 ならウルトとみんなの距離が離れすぎてるってことかな?

「それってどれくらい離れたらダメとかってわかるのか?」
「明確にはわからないけど……ウルトが倒した魔物の経験値はあたしたちにも分配されている、けどこの前のグレートウルフの経験値は来てないと思うの。だから数百メートル離れたら届かないんじゃないかしら?」
「なるほど……なのに今ウルトが倒した魔物の経験値が俺に来てるのはおかしいよね」
「えぇ、もしかしたら最初に言ってた魔力同期って言うのが関係してるかもしれないけど詳しいことは分からないわね」
「そっか……」

 まぁパワーレベリングがみんなに適用されないことはわかった。
 それならやる意味は少し薄くなるな……

 それでも俺は強くなれるはずだから続けない意味もないか。

「そろそろ時間ですね。ギルドに行きましょうか」
「もう?  わかった」

 一応失礼の無い格好であるかだけ確認して全員で宿を出る。
 あ、剣くらいは見えるように持っておいた方がいいか……

【無限積載】から剣を取り出し腰に提げておこう。

 ギルドに入る前に全員の冒険者証を見えるように装備、これで初めて来た時みたいに絡まれることはないだろう。

「すみません、自分はゴールドランク冒険者のクリードと申します。ギルドマスターに面会お願いしたいのですがよろしいでしょうか」

 丁寧な対応を心がけながら受付嬢に声をかける。

「ギルドマスターですか?  失礼ですがご要件は?」
「先日のオーバーフローの件ですかね」

 そう伝えると訝しげにこちらを見ていた受付嬢の顔がハッとしたものとなった。

「かしこまりました。すぐに取り次ぎますので少々お待ちください」

 立ち上がり俺に一礼して受付嬢は奥へと早足で移動して行った。

 さて……アポ無しで来ちゃったけど大丈夫かな?
 忙しいようなら時間をずらしてまた来ればいいか。
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...