異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

文字の大きさ
上 下
55 / 266
第2章……迷宮都市編

50話……パワーレベリング

しおりを挟む
 小走りで戻ってきた為5時過ぎには宿に戻ることが出来た。
 まだ明るいし夕食には少し早そうなので宿には入らず裏庭に回って素振りをすることにした。

 裏庭に回ると、そこではソフィアとアンナも稽古しており2人で武器をぶつけ合っていた。

「あ、クリードさん、おかえりッス」
「おかえりなさい」
「ただいま、2人も稽古してたんだね」

 迷宮では使うことのなかった剣を鞘から引き抜く。
 うん、やっぱり綺麗な剣だな。

「綺麗な剣ですね」
「だよな、こんな剣まで貰っちゃって少し心苦しいかな」

 苦笑いしながら剣を構えて素振り。
 ケイトに教わったことを思い出しながら一振一振丁寧に振っていく。

 俺が素振りを開始したのを見てか2人も稽古を再開、金属同士がぶつかり合う音が聞こえてきた。

「498……499……500!」

 500本の素振りを終え一息吐く。
 2人は既に稽古を終えたようで俺を待っていてくれた。

「終わりッスか?」
「見事な素振りでした。お疲れ様です」
「2人もお疲れ様」

 全員に浄化魔法を掛けて身綺麗にしてから宿に戻る。

「聖女様とリン殿を呼んできます」
「自分たちは席取っておくッスね」

 ソフィアは階段を上がりサーシャたちを呼びに、俺とアンナは食堂に向かい席を取っておくことにした。

 食堂は結構人が居て空き席を探すため視線を動かしていると、ケイトたちを発見した。

 和気あいあいと言った感じではなくなにやら深刻そうな顔で話し合っている。
 トラブルかな?

「クリードさん、空いてる席あったッスよ」
「え?  あぁ、行こうか」

 ケイトたちからは結構離れた席に座り5人分の夕食を注文しておく。

 料理が届く前にサーシャたちも降りてきたので立ち上がって席へ招いた。
 リンの顔色も良くなっているようだ。

「お疲れ様です。クリード様、どうでしたか?」
「今日はトラブルは何も起こらなかったよ。氷魔法を中心に練習してきたからかなり氷魔法にも慣れたかな」
「子供たちはどうでした?」
「相変わらずかな?  とりあえず5人ずつくらい連れて行ってそれなりに小遣い渡してきたよ」

 今日の迷宮での出来事を話すとサーシャは興味深そうに聞いてくれた。

「やはりクリード様はお優しいですね」

 話を聞き終えクスクスと笑いをこぼすサーシャ。

「そうかな?  まぁこの世界基準じゃ甘いのかもしれないとは思うけど」

 日本とは違うからな。
 この1週間程である程度はこの世界の常識も分かってきたしね。

「子供を助けることはいいことです。クリード様のような人が増えることを期待したいですね」
「増えるといいね。ところでサーシャたちはなにか面白そうなものは見つかった?」

 俺の話は終わり、次は街を散策していたサーシャたちの話を聞こう。

「色々有りましたよ。ここは迷宮があるからか色んなお店があって楽しかったです!  あ、それと公衆浴場も見つけましたよ」
「公衆浴場?  風呂あったの?  どこら辺?」
「この宿からも近いですよ、歩いて15分ほどでしょうか?」

 へぇ、風呂あるなら行きたいな……
 浄化魔法で清潔な状態は維持できるけどやっぱり湯船に浸かりたい。

「みんなで一緒に行く予定でしたしクリード様もご一緒にいかがですか?」
「いいね、行こうか……一応聞いておくけど、男女別だよね?」
「もちろんですよ!」

 怒られてしまった……変なこと聞いちゃったな。
 でもこれは聞くべきことだよな?
 日本なら男女別は当たり前だけどここは日本じゃない、常識が違って当たり前だからな!

「なにか持っていくものは?  着替えとタオルだけでいいのかな?」
「それで十分だと思いますよ。石鹸も浴場で売ってるそうですし」
「分かった、準備出来たら呼びに来てね」

 食事を終え部屋に戻るが俺の準備は必要無い。
 全部ウルトに積み込んでるから常に手ぶらでいいのだ。楽でいい。

「ってウルトまだ迷宮だわ……ウルト、聞こえるか?」

 呼び戻していないことを思い出してウルトにイヤホンを通して話しかける。
 いつもポケットに入れているから完全にポケットに入っているものだと思い込んでたわ。

『はい、聞こえます。何かありましたか?』
「あぁ、これから風呂入りに行くから荷物出したいんだ、今召喚して大丈夫か?」
『問題ありませんが、マスターのレベルが上がって【無限積載】をマスターも使えるようになっております。中に入っているものはマスターと私共通ですのでマスターも取り出すことが可能です』
「は?  え?  マジ?  ステータスオープン」

 ウルトに俺にも【無限積載】が使えるようになったと言われたので慌ててステータスを開いて確認する。


 ◇◆

 名前……レオ・クリイド  レベル47
 職業……トラック運転手
 年齢……21
 生命力……B  魔力……B  筋力………A  素早さ……B
 耐久力……A  魔攻……D  魔防……C

 スキル
【トラック召喚】【トラック完全支配】【魔法適性(雷、氷、水、風、光、音)】【瞬間加速】【瞬間停止】【自己再生】【魔力吸収】【気配察知】【剣術】【直感強化】【知覚強化】【剛腕】【魔力視】【魔力壁】【無限積載】【弱点看破】

 ◇◆

「なんじゃこりゃあ……」

 確か前回確認したのが……オークキング倒した後か。
 その時はレベル40だったかな?  ステータスも魔力と筋力が上がってるな……2つ目のAだ。

 増えてるスキルは【無限積載】だけか、まぁそんなポンポン覚えるものでも無いか。

『マスターも【無限積載】を使用可能になりましたので私が戻る必要は無いかと思われますが』
「そうだな、引き続き頼む。あ、それとミスリルあったら10キロほど確保しといて」
『かしこまりました』

 ウルトに追加の指示を与えて通話を切る。
 しかしこの時間でレベルが7も上がるとかどういうこと?
 いや、その前にグレートウルフ倒した時にも上がってたのか?
 しまったな、確認するのを忘れていた。

 失敗したなぁと考えていると扉が叩かれた。
 もう準備終わったのか?  いやサーシャも収納魔法が使えるんだから俺と同じで準備の必要は無かったか。

「お待たせしました、行きましょうか」
「うん、楽しみだ」

 ワイワイと無駄話をしながらサーシャたちの案内で公衆浴場に到着、人数分石鹸を購入して先に出た方は先に帰ると約束してサーシャたちと別れて男湯に足を向ける。

 脱衣場の中には棚がたくさんあり日本の銭湯によく似ていた。
 違いは棚に扉が無いくらいかな。

 貴重品は番頭に預けるシステムのようだが俺には関係無いな。
 脱いだ服に浄化を掛けて【無限積載】に放り込み浴場へ。

「おぉ……」

 浴場には大きな湯船があり洗い場も用意されていた。
 早速洗い場で購入した石鹸を使い頭と体を洗う。

 浄化しているので必要は無いのだがマナーだし体を洗うのも久しぶりだったのでなるべく丁寧に洗ってから湯船に身を沈めた。

「ふぉぉ」

 久しぶりなせいか変な声が出た。やはり風呂は気持ちいい。

 風呂には数人の客が居たが各々風呂を愉しんでいるようで会話は無い。
 この静かな時間とお湯をしばらく愉しんで風呂から上がる。

 タオルと着替えを取りだして体を拭いてから着替える。
 この風呂上がりの感覚も久しぶりだな……

 流石にコーヒー牛乳なんてものは売ってないようなので果実水を購入して一気に飲む。
 火照った体に冷たい果実水が染み渡るようだ。

 酒好きならこのタイミングでの冷えたビールは最高なのだろうが残念ながら好きでは無いので仕方ない。

 公衆浴場を出て夜風に当たりながら宿へ戻りそのままベッドに潜り込む。
 今日はいい夢が見られそうだ。
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...