異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

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第2章……迷宮都市編

50話……パワーレベリング

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 小走りで戻ってきた為5時過ぎには宿に戻ることが出来た。
 まだ明るいし夕食には少し早そうなので宿には入らず裏庭に回って素振りをすることにした。

 裏庭に回ると、そこではソフィアとアンナも稽古しており2人で武器をぶつけ合っていた。

「あ、クリードさん、おかえりッス」
「おかえりなさい」
「ただいま、2人も稽古してたんだね」

 迷宮では使うことのなかった剣を鞘から引き抜く。
 うん、やっぱり綺麗な剣だな。

「綺麗な剣ですね」
「だよな、こんな剣まで貰っちゃって少し心苦しいかな」

 苦笑いしながら剣を構えて素振り。
 ケイトに教わったことを思い出しながら一振一振丁寧に振っていく。

 俺が素振りを開始したのを見てか2人も稽古を再開、金属同士がぶつかり合う音が聞こえてきた。

「498……499……500!」

 500本の素振りを終え一息吐く。
 2人は既に稽古を終えたようで俺を待っていてくれた。

「終わりッスか?」
「見事な素振りでした。お疲れ様です」
「2人もお疲れ様」

 全員に浄化魔法を掛けて身綺麗にしてから宿に戻る。

「聖女様とリン殿を呼んできます」
「自分たちは席取っておくッスね」

 ソフィアは階段を上がりサーシャたちを呼びに、俺とアンナは食堂に向かい席を取っておくことにした。

 食堂は結構人が居て空き席を探すため視線を動かしていると、ケイトたちを発見した。

 和気あいあいと言った感じではなくなにやら深刻そうな顔で話し合っている。
 トラブルかな?

「クリードさん、空いてる席あったッスよ」
「え?  あぁ、行こうか」

 ケイトたちからは結構離れた席に座り5人分の夕食を注文しておく。

 料理が届く前にサーシャたちも降りてきたので立ち上がって席へ招いた。
 リンの顔色も良くなっているようだ。

「お疲れ様です。クリード様、どうでしたか?」
「今日はトラブルは何も起こらなかったよ。氷魔法を中心に練習してきたからかなり氷魔法にも慣れたかな」
「子供たちはどうでした?」
「相変わらずかな?  とりあえず5人ずつくらい連れて行ってそれなりに小遣い渡してきたよ」

 今日の迷宮での出来事を話すとサーシャは興味深そうに聞いてくれた。

「やはりクリード様はお優しいですね」

 話を聞き終えクスクスと笑いをこぼすサーシャ。

「そうかな?  まぁこの世界基準じゃ甘いのかもしれないとは思うけど」

 日本とは違うからな。
 この1週間程である程度はこの世界の常識も分かってきたしね。

「子供を助けることはいいことです。クリード様のような人が増えることを期待したいですね」
「増えるといいね。ところでサーシャたちはなにか面白そうなものは見つかった?」

 俺の話は終わり、次は街を散策していたサーシャたちの話を聞こう。

「色々有りましたよ。ここは迷宮があるからか色んなお店があって楽しかったです!  あ、それと公衆浴場も見つけましたよ」
「公衆浴場?  風呂あったの?  どこら辺?」
「この宿からも近いですよ、歩いて15分ほどでしょうか?」

 へぇ、風呂あるなら行きたいな……
 浄化魔法で清潔な状態は維持できるけどやっぱり湯船に浸かりたい。

「みんなで一緒に行く予定でしたしクリード様もご一緒にいかがですか?」
「いいね、行こうか……一応聞いておくけど、男女別だよね?」
「もちろんですよ!」

 怒られてしまった……変なこと聞いちゃったな。
 でもこれは聞くべきことだよな?
 日本なら男女別は当たり前だけどここは日本じゃない、常識が違って当たり前だからな!

「なにか持っていくものは?  着替えとタオルだけでいいのかな?」
「それで十分だと思いますよ。石鹸も浴場で売ってるそうですし」
「分かった、準備出来たら呼びに来てね」

 食事を終え部屋に戻るが俺の準備は必要無い。
 全部ウルトに積み込んでるから常に手ぶらでいいのだ。楽でいい。

「ってウルトまだ迷宮だわ……ウルト、聞こえるか?」

 呼び戻していないことを思い出してウルトにイヤホンを通して話しかける。
 いつもポケットに入れているから完全にポケットに入っているものだと思い込んでたわ。

『はい、聞こえます。何かありましたか?』
「あぁ、これから風呂入りに行くから荷物出したいんだ、今召喚して大丈夫か?」
『問題ありませんが、マスターのレベルが上がって【無限積載】をマスターも使えるようになっております。中に入っているものはマスターと私共通ですのでマスターも取り出すことが可能です』
「は?  え?  マジ?  ステータスオープン」

 ウルトに俺にも【無限積載】が使えるようになったと言われたので慌ててステータスを開いて確認する。


 ◇◆

 名前……レオ・クリイド  レベル47
 職業……トラック運転手
 年齢……21
 生命力……B  魔力……B  筋力………A  素早さ……B
 耐久力……A  魔攻……D  魔防……C

 スキル
【トラック召喚】【トラック完全支配】【魔法適性(雷、氷、水、風、光、音)】【瞬間加速】【瞬間停止】【自己再生】【魔力吸収】【気配察知】【剣術】【直感強化】【知覚強化】【剛腕】【魔力視】【魔力壁】【無限積載】【弱点看破】

 ◇◆

「なんじゃこりゃあ……」

 確か前回確認したのが……オークキング倒した後か。
 その時はレベル40だったかな?  ステータスも魔力と筋力が上がってるな……2つ目のAだ。

 増えてるスキルは【無限積載】だけか、まぁそんなポンポン覚えるものでも無いか。

『マスターも【無限積載】を使用可能になりましたので私が戻る必要は無いかと思われますが』
「そうだな、引き続き頼む。あ、それとミスリルあったら10キロほど確保しといて」
『かしこまりました』

 ウルトに追加の指示を与えて通話を切る。
 しかしこの時間でレベルが7も上がるとかどういうこと?
 いや、その前にグレートウルフ倒した時にも上がってたのか?
 しまったな、確認するのを忘れていた。

 失敗したなぁと考えていると扉が叩かれた。
 もう準備終わったのか?  いやサーシャも収納魔法が使えるんだから俺と同じで準備の必要は無かったか。

「お待たせしました、行きましょうか」
「うん、楽しみだ」

 ワイワイと無駄話をしながらサーシャたちの案内で公衆浴場に到着、人数分石鹸を購入して先に出た方は先に帰ると約束してサーシャたちと別れて男湯に足を向ける。

 脱衣場の中には棚がたくさんあり日本の銭湯によく似ていた。
 違いは棚に扉が無いくらいかな。

 貴重品は番頭に預けるシステムのようだが俺には関係無いな。
 脱いだ服に浄化を掛けて【無限積載】に放り込み浴場へ。

「おぉ……」

 浴場には大きな湯船があり洗い場も用意されていた。
 早速洗い場で購入した石鹸を使い頭と体を洗う。

 浄化しているので必要は無いのだがマナーだし体を洗うのも久しぶりだったのでなるべく丁寧に洗ってから湯船に身を沈めた。

「ふぉぉ」

 久しぶりなせいか変な声が出た。やはり風呂は気持ちいい。

 風呂には数人の客が居たが各々風呂を愉しんでいるようで会話は無い。
 この静かな時間とお湯をしばらく愉しんで風呂から上がる。

 タオルと着替えを取りだして体を拭いてから着替える。
 この風呂上がりの感覚も久しぶりだな……

 流石にコーヒー牛乳なんてものは売ってないようなので果実水を購入して一気に飲む。
 火照った体に冷たい果実水が染み渡るようだ。

 酒好きならこのタイミングでの冷えたビールは最高なのだろうが残念ながら好きでは無いので仕方ない。

 公衆浴場を出て夜風に当たりながら宿へ戻りそのままベッドに潜り込む。
 今日はいい夢が見られそうだ。
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