異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

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第1章……王国編

25話……次の街を目指して

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 さていきなり出発、という訳にも行かず俺たちは買い出しをしながら進むことにした。

 今回は北へ向かうので北の大門へ移動、道中食料を中心に買い物をしながら進む。
 始めは収納魔法で仕舞っていても時間経過があると聞いたので保存食を中心に買おうとしていたが、ウルトの【無限積載】ならば時間経過はしないと言い出したので普通の食材を購入することにした。

 時間経過しないと聞いた時のサーシャたちの目を向いた顔は少し面白かった。

 買い物を済ませて王都の北側へ、この辺りには初めて来たけど住宅地のようで気になるものはほとんど無かった。

 北の大門で手続きを済ませて外へ出る。
 街道に沿って行けば馬車で1週間ほどらしい。
 しかし馬車に乗るわけでは無いので今は歩きである。

 王都を出て街道沿いでは無く草原の方へしばらく進み、門兵から見えなくなる位まで歩いてウルトを元のサイズに戻す。

「何日くらいで着きますかね?」
「どうだろ、馬車が1日どれくらい進むのかも分からないし」

 前になんかで見たのは馬車なら1日平均40~50キロ、徒歩なら25~35キロくらいだったけど、合ってるのかな?

 それで合ってるなら大体300キロ前後ってこと?  ずっと草原が続くなら夕方か夜には着きそうだけど……

「かなり短縮されるだろうけど、どのくらいになるか楽しみね」
「そうですね!」

 サーシャとリンは楽しそうに話している。
 ソフィアとアンナは声に出してはいないが早く乗りたいのかうずうずしていた。

「それじゃ行こうか、乗って乗って」

 後ろの観音扉を開けて4人が乗り込む。
 俺は運転席に回って乗り込む。

「クリード様、そのお隣の席に座ってもよろしいですか?」
「サーシャちゃんずるい!  あたしもその席座りたい!」
「聖女様、危険があるかもしれませんのでここは私が……」
「小柄な自分ならクリードさんの邪魔にもなりませんし、ここは自分が適任だと思うッス!」
「えぇ……」

 まさかの……とは言いきれないなんとなく予想はしていた助手席争奪戦が開始されてしまった。
 別に誰が乗ってもいいんだけど、これ俺が指名するのはなんか怖いな……

「あー……危険は無いと思うから誰でも大丈夫だよ?」
「クリード!  今からクリードがリーダーでいいから!  お願い!」
「ずるいですリンさん!  クリード様、クリード様に一番最初に声をかけたのは私ですから私ですよね!?」

 うーん……サーシャのはわかる気がしなくもないような気がするがリンの意見は分からない。
 それリーダー押し付けたいだけじゃね?
 そして俺は別にリーダーになりたいわけじゃないぞ?

「もうジャンケンでもなんでもいいから決めてよ……」
「「「「ジャンケン?」」」」

 適当にジャンケンで決めろと言うと4人は不思議そうに首を傾げだ。
 あー、ジャンケン無い感じね……

 軽くジャンケンの説明をすると、全員納得はしたがリンはブツブツなにか変な計算してるし、サーシャは手を組んで「神よ……」とかなんか祈り始めたしソフィアとアンナに至っては決死の戦いに望むかのような覚悟を決めた顔をしていた。
 んな大袈裟な……

「「「「じゃーんけーん……ぽん!」」」」

 声を揃えてジャンケン開始、何度かあいこを繰り返して勝負が着いた。

「じゃあよろしくね!  あ、今からリーダーはクリードでいいからね!」

 激戦を勝ち抜いたのはリン、まだリーダーがどうこう言っている。

「リーダーは別にいいよ。この世界のこと何も知らない俺がリーダーとか問題しかないだろ?」
「まぁ……でもパーティ唯一の男なのに気にならないの?」

 リンはハーレムパーティよ?  と可笑しそうに笑う。

「普通は気になるものなのかね?  まぁちゃんと1時間で交代しろよ?」
「わかってるわよ」

 ジャンケンにより順番は最初がリン、次にサーシャ、アンナ、ソフィアと続いていく。

 ソフィアとアンナは順番待ちでソワソワしているが、サーシャだけはぐぬぬしていた。
 余程助手席に座りたかったんだな……

「まぁ……出発しようか、俺はウルトと魔力認識の訓練するから方角だけ示してね」
「どうやって訓練するの?」

 昨日から行っている魔力認識の訓練のやり方を説明すると、リンは感心したように頷いていた。

「クリードにしか出来ない特殊なやり方ね、いいんじゃないかしら?  方向に関しては……多分大丈夫よ」

 リンも納得したので訓練に入る。
 方角については少し不安があるが俺が指示するよりははるかにマシだろう。

「ウルト、じゃあ頼む」
『かしこまりました』

 ハンドルに手を置いて出発、同時に魔力吸収も開始された。

 実は朝からずっと継続中、流石に朝食時は止めていたがギルドで手続き中も買い物中もずっと行っていたのだ。

 だからかかなり魔力を吸い出される感覚も掴めてきており、今ではウルトが吸い出そうとするのに対抗出来そうになってきている。

 それから1時間、リンはずっとダッシュボードに触れたり窓の開け閉めを楽しんだり、エアコンの吹き出し口に驚いたりと忙しく手を動かしていた。

 俺のセットしていたアラームが鳴ったので一度ウルトを停めて交代。
 次はサーシャが助手席に座った。

「早く!  早く出発しましょう!」
「わかったから……シートベルト締めて……」

 リンが座った時にシートベルトの説明をすると全員食い入るように見ていたのでサーシャもシートベルトの締め方は分かるはず。
 すぐにシートベルトを締めたので頷いて出発。
 サーシャもリンに負けず劣らずはしゃいでいるようだ。

『マスター、かなり抵抗が強くなっております』
「そう?  まだ全然吸い出されてるからこれを止めるくらいまではならないとね」
『目的が変わっていませんか?  魔力の流れは認識できたのでしょうか?』
「そうだった……」

 完全にウルトと魔力の綱引きを楽しんでしまっていたことに気付く。
 魔力の流れは……なんとなく分かるような気がしてきたところだ。

「なんとなくだけど、肩の当たりから魔力が引っ張られてるような気はする」
『そうですか。ならまだ続けますか?』
「うん、よろしく」

 ちなみにたまに魔物には遭遇している。
 進路上の魔物は撥ね飛ばして討伐、リンに教わって討伐証明部位と魔石を回収して死体も積み込んでいる。
 後でまとめて燃やすためだ。

 それからアンナ、ソフィアと助手席を交代しながら進み日が落ち始めた頃全身の魔力の流れを認識出来るようになってきた。

 どうも腹の底から湧き上がってきて全身を巡って腹の底に戻っていく流れを形成しているようだ。

 ソフィアの助手席時間が終了したので一旦停止する。

「あとどれくらいで着きそうかわかる?」
「そうね……このペースなら2時間もあれば着くと思うけど、このまま進む?」

 2時間か、別にどっちでもいいかな?

「ですが2時間後となると街の門も閉まるのでは?  開けてもらうのも忍びないですし、もう少し走ってから野営というのがいいと思います」
「ウルトさんの中なら安心ッスからね、自分もそれがいいと思うッス」

 ソフィアとアンナからの提案にサーシャとリンは頷いた。

「じゃああと1時間くらい走る?  それならまたあたしの順番よね!」
「リンさんずるいです……」
「でも明日はサーシャちゃんからよ?」
「!?  なら……」

 なにか納得したようなのでリンを横に乗せて出発する。
 魔力認識はかなり出来たと思うけど走るなら続けよう。

 それからキッチリ1時間走って本日は終了。
 朝得たゴブリンキングの大剣の売却費を分配、ウルトに警戒してもらいながら食事を終わらせてウルトの中で眠りについた。
 初めて全員で同じ場所で寝ることになったがウルトに頼んで俺だけ隔離して貰えたのでなんとか緊張せず眠ることが出来た……
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