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第1章……王国編
16話……ウルトの乗り心地
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『マスター、露払い完了しました』
「ありがとう、ご苦労さま」
『いえ、それでウルフの討伐証明部位はどこでしょうか? 知識に無かったので死体をそのまま積み込んでいますがどうしましょうか』
えっと、ウルフの証明部位は牙だったかな? 確か毛皮も売れるって聞いた気がする。
「リン、ウルフの証明部位は牙だよね? それと毛皮も売れるって聞いた記憶があるんだけどどうなの?」
「え? えぇ、それであってるわよ。でも今はちょっとそれどころじゃ……」
なんかリン慌ててるな。ゴブリンキングってそんなヤバいのか? ヤバいんだろうな……
「とりあえず俺は会話に入れそうに無いからウルトと討伐証明部位回収してくるよ。帰りに詳しく聞かせて欲しいかな」
「わかったわ、お願いね。あと出来れば死体は一箇所に集めておいて、あとでまとめて燃やすから」
「わかった」
燃やすんだ……
まぁリンから許可も出たので回収に向かおうか。
『マスター、一度全て積み込んでから右耳と魔石を回収、不要部位をまとめて降ろそうかと思いますがいかがでしょう』
「うん、ゴブリンに関してはそれが一番手っ取り早いな。ウルフはどうしようか」
毛皮の剥ぎ取りとか出来ないよ? ソフィアかアンナなら出来るかな?
『ウルフからは牙、魔石、毛皮を回収すればよろしいですか? その程度なら問題無く行えます』
「出来るのか……助かる、頼むよ」
『かしこまりました』
まずは積み込み、ウルフは積み込んでいるらしいのでゴブリンの死体を片っ端から異空間に積み込んでいく。
全て積み込んだら異空間内で右耳と魔石を仕分け、それから一箇所にまとめて降ろす。
続けてウルフの仕分け、これもすぐに完了してゴブリンの死体同じ場所に降ろしておく。
作業終了、かかった時間は驚きの3分だ。
「終わったよ、話はまだ終わってないかな?」
「もう終わったの!? と、とりあえず冒険者ギルドに戻って報告しないといけないから王都に戻らないと……」
リンはそう言って空を見上げる。
気が付けば結構な時間になっておりすでに空は茜色に染まっていた。
「今から燃やしてたら夜になるわね……夜間に移動は危なすぎるし、かと言って死体を放置する訳にはいかないし……」
「夜間が危ないのは見えないから?」
「それもあるけど夜行性の魔物も多いからね。王都近くの草原と言えど危険は多いから」
なるほど、当然街灯なんてものは無いんだから月明かりしかないよね。
けどそれはウルトがいれば解決できるよね?
「最悪ウルトに全員乗って移動すればいいんじゃない? あまり目立つのは不本意だけど緊急事態っぽいし、街から少し離れた場所で降りて走れば危険は少ないと思う」
「なるほど……音にさえ気を付ければ目立たないかしら?」
結構うるさいからね。
『エンジン音でしたら無音にすることは可能です』
「は?」
ウルトがまたなにか変なことを言い出した。音消せる?
『可能です。エンジン音はマスターがお好きかなと思い鳴らしております。魔力を動力にしていますのでディーゼルエンジンは必要ありません』
「え?」
趣味だったの? てか俺が好き?
『よく無料動画投稿サイトでエンジン音のうるさい車の動画を見てらっしゃいましたよね? なのでエンジン音がお好きなのかと』
確かに見てたけど……あれはエンジン音が好きなわけじゃなくて車が……いや、ロータリーエンジンの音とか好きだけど……
「エンジン音が好きで見てたわけじゃないよ……」
『そうなのですか? ならば無音にしておきます』
次の瞬間には響いていたエンジン音が消失、無音となった。
「とりあえずリンはアレ燃やしてくれる?」
「わかったわ、移動はお願いね」
リンは小走りで死体の山に向け走って行った。
護衛なのかアンナも続いている。
「さて……音は解決したけどヘッドライトも目立つよな……街の近くになったら消して走るか……走れるかな?」
『マスター、自動運転で私が操作すればマスターに見えなくても安全に移動可能です』
「あぁ……勝手に移動できるもんな……」
本当にウルトが万能過ぎる件……
「あとはどうやって乗り込むかだな。箱の中に乗せることは可能か?」
『可能です。現在箱の中には何もありません。ただ私のスキルでの乗り降りは不可能ですので観音扉を開いての乗り降りとなります』
「それは構わない。庫内灯点けておけば明るいだろうし……あとは閉塞感? 外が見えないのは不安かな」
『一部を透過して窓のようにする案といっそのこと運転席と箱を繋げる案がありますがどちらにしますか?』
「んん!?」
こいつまた意味のわからないことを……
え? 改造するの? てか出来るの?
『そのためのスキル【形状変化】です』
「絶対にそれはおかしいと思う」
スキルだからってなんでもあり過ぎるだろう……
「どんな風になるんだ?」
『スマートフォンをご覧下さい。このようになります』
ポケットからスマホを取り出すと画面に運転席と荷台が繋がった場合のイメージ画像が表示されている。
へぇ……ベッドが無くなってそこが階段みたいになるのか……
広々としていい感じ……
『さらに人を乗せての移動の場合床に座って頂くのは忍びないので荷台両サイドにベンチシートを設けます』
画像が変化して今度はベンチシート設置のイメージ画像が表示、さらに何を思ったのか壁が透過して電車内にしか見えないような姿になった。
『外から見た場合今と変わりありません。中からのみ外が見える仕様です』
「それなんてマジッ〇ミラー号?」
ほんとにウルトってなんなの……
結構受け入れて諦めてきてるけどここからさらに斜め上なんですけど……
「まぁいいや、これで頼むよ」
『かしこまりました。少々お時間頂きます。作業完了までおよそ5分です』
5分かよ……すぐじゃん……
自分の改造を始めたウルトを放置してサーシャとソフィアと一緒にリンたちの下へ移動、死体を燃やす作業を見学する。
「なぁサーシャ、なんで燃やす必要があるの? ウルフが魔物が集まってくるから?」
「そうですね、それもありますし数多くの死体を放置してしまうと悪い気が溜まってアンデット化する可能性もあるんですよ」
アンデットか、そりゃ放置する訳にはいかないよな。
「それに魔物は魔物を食らうことで魔力を取り込んで進化する場合もあります。これだけの死体を放置してしまうとその危険性も大きいので燃やすのが一番ですね」
「なるほど……」
死体をそのまま残すのは百害あって一利なしってことか。
「終わったわよ。すぐに移動出来るのかしら?」
サーシャから色々と聞いているうちに焼却が完了したようで額の汗を拭いながらリンとアンナが歩いてきた。
既に5分以上経っているしいつの間にか近くに来ていたので改造も完了しているだろう。
『いつでも出発可能です』
「だそうだよ。じゃあみんな乗ってくれ」
ウルトの後ろに周り観音扉を開く。
「おぉ……」
俺含め全員から感嘆の声が漏れた。
両サイドにはベンチシートが据え付けられており、庫内灯も改造したのかとても明るい。
ベンチシートに腰掛けて前方を見ると丁度フロントガラスから向こうが見える高さになっている。
もちろんベンチシートに座って正面を見れば壁が透過され窓のようになっているので外の景色がよく見える。
これトラックって言うより完全に電車かバスだな……
「ク、クリード様、乗ってもよろしいのですか?」
「いいから乗って、早く出発した方がいいんだろ?」
「そうですけど……」
サーシャはオドオドしながら乗り込む。
ソフィアたちも続いて全員乗り込みベンチシートに座ったのを確認して扉を閉めた。
急いで運転席に周って乗り込みさぁ出発だ!
『マスター、私が操作しますのでマスターも後部席で大丈夫ですよ?』
「あ……でもほら、観音閉めないといけないし」
『その程度なら私が操作出来ます』
「そうなんだ……まぁいいじゃん、運転席座ってないと落ち着かないんだよ」
『そうですか、かしこまりました。では出発します』
すーっと音もなく走り始めるウルト、全く揺れないので逆に違和感だ。
とにかく急ごう。
「ありがとう、ご苦労さま」
『いえ、それでウルフの討伐証明部位はどこでしょうか? 知識に無かったので死体をそのまま積み込んでいますがどうしましょうか』
えっと、ウルフの証明部位は牙だったかな? 確か毛皮も売れるって聞いた気がする。
「リン、ウルフの証明部位は牙だよね? それと毛皮も売れるって聞いた記憶があるんだけどどうなの?」
「え? えぇ、それであってるわよ。でも今はちょっとそれどころじゃ……」
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「とりあえず俺は会話に入れそうに無いからウルトと討伐証明部位回収してくるよ。帰りに詳しく聞かせて欲しいかな」
「わかったわ、お願いね。あと出来れば死体は一箇所に集めておいて、あとでまとめて燃やすから」
「わかった」
燃やすんだ……
まぁリンから許可も出たので回収に向かおうか。
『マスター、一度全て積み込んでから右耳と魔石を回収、不要部位をまとめて降ろそうかと思いますがいかがでしょう』
「うん、ゴブリンに関してはそれが一番手っ取り早いな。ウルフはどうしようか」
毛皮の剥ぎ取りとか出来ないよ? ソフィアかアンナなら出来るかな?
『ウルフからは牙、魔石、毛皮を回収すればよろしいですか? その程度なら問題無く行えます』
「出来るのか……助かる、頼むよ」
『かしこまりました』
まずは積み込み、ウルフは積み込んでいるらしいのでゴブリンの死体を片っ端から異空間に積み込んでいく。
全て積み込んだら異空間内で右耳と魔石を仕分け、それから一箇所にまとめて降ろす。
続けてウルフの仕分け、これもすぐに完了してゴブリンの死体同じ場所に降ろしておく。
作業終了、かかった時間は驚きの3分だ。
「終わったよ、話はまだ終わってないかな?」
「もう終わったの!? と、とりあえず冒険者ギルドに戻って報告しないといけないから王都に戻らないと……」
リンはそう言って空を見上げる。
気が付けば結構な時間になっておりすでに空は茜色に染まっていた。
「今から燃やしてたら夜になるわね……夜間に移動は危なすぎるし、かと言って死体を放置する訳にはいかないし……」
「夜間が危ないのは見えないから?」
「それもあるけど夜行性の魔物も多いからね。王都近くの草原と言えど危険は多いから」
なるほど、当然街灯なんてものは無いんだから月明かりしかないよね。
けどそれはウルトがいれば解決できるよね?
「最悪ウルトに全員乗って移動すればいいんじゃない? あまり目立つのは不本意だけど緊急事態っぽいし、街から少し離れた場所で降りて走れば危険は少ないと思う」
「なるほど……音にさえ気を付ければ目立たないかしら?」
結構うるさいからね。
『エンジン音でしたら無音にすることは可能です』
「は?」
ウルトがまたなにか変なことを言い出した。音消せる?
『可能です。エンジン音はマスターがお好きかなと思い鳴らしております。魔力を動力にしていますのでディーゼルエンジンは必要ありません』
「え?」
趣味だったの? てか俺が好き?
『よく無料動画投稿サイトでエンジン音のうるさい車の動画を見てらっしゃいましたよね? なのでエンジン音がお好きなのかと』
確かに見てたけど……あれはエンジン音が好きなわけじゃなくて車が……いや、ロータリーエンジンの音とか好きだけど……
「エンジン音が好きで見てたわけじゃないよ……」
『そうなのですか? ならば無音にしておきます』
次の瞬間には響いていたエンジン音が消失、無音となった。
「とりあえずリンはアレ燃やしてくれる?」
「わかったわ、移動はお願いね」
リンは小走りで死体の山に向け走って行った。
護衛なのかアンナも続いている。
「さて……音は解決したけどヘッドライトも目立つよな……街の近くになったら消して走るか……走れるかな?」
『マスター、自動運転で私が操作すればマスターに見えなくても安全に移動可能です』
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本当にウルトが万能過ぎる件……
「あとはどうやって乗り込むかだな。箱の中に乗せることは可能か?」
『可能です。現在箱の中には何もありません。ただ私のスキルでの乗り降りは不可能ですので観音扉を開いての乗り降りとなります』
「それは構わない。庫内灯点けておけば明るいだろうし……あとは閉塞感? 外が見えないのは不安かな」
『一部を透過して窓のようにする案といっそのこと運転席と箱を繋げる案がありますがどちらにしますか?』
「んん!?」
こいつまた意味のわからないことを……
え? 改造するの? てか出来るの?
『そのためのスキル【形状変化】です』
「絶対にそれはおかしいと思う」
スキルだからってなんでもあり過ぎるだろう……
「どんな風になるんだ?」
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ポケットからスマホを取り出すと画面に運転席と荷台が繋がった場合のイメージ画像が表示されている。
へぇ……ベッドが無くなってそこが階段みたいになるのか……
広々としていい感じ……
『さらに人を乗せての移動の場合床に座って頂くのは忍びないので荷台両サイドにベンチシートを設けます』
画像が変化して今度はベンチシート設置のイメージ画像が表示、さらに何を思ったのか壁が透過して電車内にしか見えないような姿になった。
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「それなんてマジッ〇ミラー号?」
ほんとにウルトってなんなの……
結構受け入れて諦めてきてるけどここからさらに斜め上なんですけど……
「まぁいいや、これで頼むよ」
『かしこまりました。少々お時間頂きます。作業完了までおよそ5分です』
5分かよ……すぐじゃん……
自分の改造を始めたウルトを放置してサーシャとソフィアと一緒にリンたちの下へ移動、死体を燃やす作業を見学する。
「なぁサーシャ、なんで燃やす必要があるの? ウルフが魔物が集まってくるから?」
「そうですね、それもありますし数多くの死体を放置してしまうと悪い気が溜まってアンデット化する可能性もあるんですよ」
アンデットか、そりゃ放置する訳にはいかないよな。
「それに魔物は魔物を食らうことで魔力を取り込んで進化する場合もあります。これだけの死体を放置してしまうとその危険性も大きいので燃やすのが一番ですね」
「なるほど……」
死体をそのまま残すのは百害あって一利なしってことか。
「終わったわよ。すぐに移動出来るのかしら?」
サーシャから色々と聞いているうちに焼却が完了したようで額の汗を拭いながらリンとアンナが歩いてきた。
既に5分以上経っているしいつの間にか近くに来ていたので改造も完了しているだろう。
『いつでも出発可能です』
「だそうだよ。じゃあみんな乗ってくれ」
ウルトの後ろに周り観音扉を開く。
「おぉ……」
俺含め全員から感嘆の声が漏れた。
両サイドにはベンチシートが据え付けられており、庫内灯も改造したのかとても明るい。
ベンチシートに腰掛けて前方を見ると丁度フロントガラスから向こうが見える高さになっている。
もちろんベンチシートに座って正面を見れば壁が透過され窓のようになっているので外の景色がよく見える。
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「そうですけど……」
サーシャはオドオドしながら乗り込む。
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