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とみぃの日常
77話。散策
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指輪を購入し、ついでにボッター氏に支援物資の調達をお願いしてから俺たちはボッター商会を後にした。
「予定終わっちゃった。アイリスはこの後行きたいところとかある?」
「そうですわね……」
アイリスは少し考えてから口を開く。
「トレーニングは構いませんの?」
「うん。せっかくのデートだしね。夜にでもやるよ」
アイリスが動きやすい服装をしているのなら付き合って貰おうかとも考えていたが、綺麗なワンピースを来ている彼女と戦闘訓練なんて出来るわけが無い。
「そうですわね……デートですものね……」
「うん。今はトレーニングとかじゃなくてアイリスとの時間を大切にしたいかな」
悪魔さえ全て倒してしまえばこのような時間もゆっくり取れるだろうが、何時次の神託が下るかわからない状況では次何時のんびりデート出来るかもわからないからね。
「でしたら……その……ふ、二人でゆっくりできるところに……」
「二人でゆっくりできる場所か……」
脳内にうろ覚えなチューブのマップを思い浮かべるが、いい場所は思いつかない。
「地図……あるじゃん……」
そこではたと気がついた。スマホの地図アプリで確認すればいいのではないかと。
「アイリス、ちょっとこっち来て」
「な、なんですの!?」
アイリスの手を引き、人気のない路地へと入る。
何故かアイリスは身を強張らせていたが、いきなり手を引いたからびっくりさせちゃったかな?
俺もアイリスとのデート……指輪まで買っちゃったから舞い上がっているのかもしれない、気を付けないと。
何はともあれ、人目に付かない路地に入ったので、ポケットからスマホを取り出して地図アプリを開く。
かなり広域で表示されていたので、縮尺を調整してチューブの街にある店の位置と名前が表示されるまで操作する。
「地図なんて表示してどうしましたの?」
「これなら色んな店の場所がわかるから」
「ほぇー……悪魔の出現位置を教えてくれるだけではありませんのね」
おお……久しぶりにアイリスの「ほぇー」が出た……なんか感動……
「でもトミー、お店の名前は表示されているようですけど……」
アイリスは画面をよく見るために俺に身を寄せ、肩に体重を預けるように密着してきた。
ち……ちか……
「……やはり読めませんわね」
いい匂いがする! アイリスからとんでもなく甘くていい匂いがする!
あまりの不意打ちにドギマギして何も答えられずにいると、距離はそのままにアイリスは俺の方へと顔を向けてきた。
「どうしましたの?」
「いや……うん。なんでもないよ。よく考えたら店名と位置が分かっても、それが何の店かわからないから意味がなかったんだよね」
でき口から出任せの割にはそれっぽい理由が出てきたが、これは半分嘘で半分本当のことだ。
この女神様マップも日本にいた頃に使っていた地図アプリと同じ仕様で、店名の前になんの店かのマークが付いている。
なので、なんの店かくらいはわかるのだ。
さすがにクチコミとかレビュー機能は付いてないから評判までは分からないけどね。
今ちらっと見えたけど、このハートマークの付いたお店はなんだろう?
現在地から少し奥まった場所にあるけど……
無意識にそちらに視線をやると、タイミング良く腕を組んだ男女がマップ上にハートマークが表示されている建物から出てくる姿を目撃してしまった。
あーね。理解した。全てを理解してしまった。
ここからはなるべく早く離れなければならない。
「アイリス、あっちになんかいい感じに落ち着けそうな公園があるっぽいし、そっちに行ってみない?」
「わかりましたわ」
アイリスが頷いてくれて良かった。
知らなければなんとでもなるが、そこにアレが、目に入る場所にあると気持ちが揺らぎかねない。
バレないようにホッと一息つく。
「じゃあ行こうか」
「ええ」
今度はアイリスを驚かせたりしないようにそっと彼女の手を取り、連れ込み宿に背を向けて歩き出した。
その後は特にトラブルも無く、街を散策して公園でまったり。
その後少しお高めのレストランで食事をして帰宅した。
帰宅後、こっそりティファリーゼに確認したところ、俺が発見した宿こそがティファリーゼオススメの宿とのことであった。
ちなみに行ったことは無いそうだ。
知ってた。
「予定終わっちゃった。アイリスはこの後行きたいところとかある?」
「そうですわね……」
アイリスは少し考えてから口を開く。
「トレーニングは構いませんの?」
「うん。せっかくのデートだしね。夜にでもやるよ」
アイリスが動きやすい服装をしているのなら付き合って貰おうかとも考えていたが、綺麗なワンピースを来ている彼女と戦闘訓練なんて出来るわけが無い。
「そうですわね……デートですものね……」
「うん。今はトレーニングとかじゃなくてアイリスとの時間を大切にしたいかな」
悪魔さえ全て倒してしまえばこのような時間もゆっくり取れるだろうが、何時次の神託が下るかわからない状況では次何時のんびりデート出来るかもわからないからね。
「でしたら……その……ふ、二人でゆっくりできるところに……」
「二人でゆっくりできる場所か……」
脳内にうろ覚えなチューブのマップを思い浮かべるが、いい場所は思いつかない。
「地図……あるじゃん……」
そこではたと気がついた。スマホの地図アプリで確認すればいいのではないかと。
「アイリス、ちょっとこっち来て」
「な、なんですの!?」
アイリスの手を引き、人気のない路地へと入る。
何故かアイリスは身を強張らせていたが、いきなり手を引いたからびっくりさせちゃったかな?
俺もアイリスとのデート……指輪まで買っちゃったから舞い上がっているのかもしれない、気を付けないと。
何はともあれ、人目に付かない路地に入ったので、ポケットからスマホを取り出して地図アプリを開く。
かなり広域で表示されていたので、縮尺を調整してチューブの街にある店の位置と名前が表示されるまで操作する。
「地図なんて表示してどうしましたの?」
「これなら色んな店の場所がわかるから」
「ほぇー……悪魔の出現位置を教えてくれるだけではありませんのね」
おお……久しぶりにアイリスの「ほぇー」が出た……なんか感動……
「でもトミー、お店の名前は表示されているようですけど……」
アイリスは画面をよく見るために俺に身を寄せ、肩に体重を預けるように密着してきた。
ち……ちか……
「……やはり読めませんわね」
いい匂いがする! アイリスからとんでもなく甘くていい匂いがする!
あまりの不意打ちにドギマギして何も答えられずにいると、距離はそのままにアイリスは俺の方へと顔を向けてきた。
「どうしましたの?」
「いや……うん。なんでもないよ。よく考えたら店名と位置が分かっても、それが何の店かわからないから意味がなかったんだよね」
でき口から出任せの割にはそれっぽい理由が出てきたが、これは半分嘘で半分本当のことだ。
この女神様マップも日本にいた頃に使っていた地図アプリと同じ仕様で、店名の前になんの店かのマークが付いている。
なので、なんの店かくらいはわかるのだ。
さすがにクチコミとかレビュー機能は付いてないから評判までは分からないけどね。
今ちらっと見えたけど、このハートマークの付いたお店はなんだろう?
現在地から少し奥まった場所にあるけど……
無意識にそちらに視線をやると、タイミング良く腕を組んだ男女がマップ上にハートマークが表示されている建物から出てくる姿を目撃してしまった。
あーね。理解した。全てを理解してしまった。
ここからはなるべく早く離れなければならない。
「アイリス、あっちになんかいい感じに落ち着けそうな公園があるっぽいし、そっちに行ってみない?」
「わかりましたわ」
アイリスが頷いてくれて良かった。
知らなければなんとでもなるが、そこにアレが、目に入る場所にあると気持ちが揺らぎかねない。
バレないようにホッと一息つく。
「じゃあ行こうか」
「ええ」
今度はアイリスを驚かせたりしないようにそっと彼女の手を取り、連れ込み宿に背を向けて歩き出した。
その後は特にトラブルも無く、街を散策して公園でまったり。
その後少しお高めのレストランで食事をして帰宅した。
帰宅後、こっそりティファリーゼに確認したところ、俺が発見した宿こそがティファリーゼオススメの宿とのことであった。
ちなみに行ったことは無いそうだ。
知ってた。
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