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戦うとみぃ
67話。情報
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【クリエイトオフロード車】を使用して悪魔討伐を終えてからエフリに戻ってきた俺たちは、自宅へと帰ってきた。
夕食の時間は過ぎてしまっているのだが、この時間ならまだシルフィエッタも起きているだろう。
「ただいまー」
「お兄ちゃん! お姉ちゃん! おかえりなさい!」
玄関を開き、中に入るとシルフィエッタが駆け付けてきてアイリスに抱き着いた。
「シルフィちゃん、あたしには?」
「ティファ姉もおかえりなさい!」
アイリスの腕の中から顔だけティファリーゼに向けて挨拶をしている。
うむ。眼福眼福。
「シルフィ、夕飯は食べましたの?」
「うん、メアリさんに教えて貰って私が作ったの!」
「そうですのね。なにを作りましたの?」
「シチューだよ!」
そのシルフィエッタが作ったというシチューはまだ残っているそうなので、夕飯を食べていない俺たちは残っているシチューを頂くことにした。
「トミー様、アイリス様、ティファリーゼ様、おかえりなさいませ」
「ただいまメアリさん。俺たちの留守中に問題は無かった?」
「あの……ひとつご報告しなければならないことがあります」
報告? なんだろう。
「何かありましたの?」
「こちらでは何も……しかしファミマト王国から不穏な噂が流れてきています」
「噂?」
なんの噂だろう? アイリスのことかな?
「なんでも、ファミマト王国に聖女が現れたらしいです」
「聖女?」
「本当ですの?」
聖女といえばファトスに居たティリアは元気だろうか?
聖女は教会に入るってことだったから色々と教わっている最中かな?
「はい。ファミマト王国国王と……その……」
「どうしましたの?」
「……ファミマト王国国王とイルドラース公爵の連名で発表されたそうです。その聖女の名前は……」
何かを感じたのか、アイリスは眉をひそめてメアリさんの言葉の続きを待っている。
「メルティ・フォン・トラハニ男爵令嬢だそうです」
「有り得ませんわ!」
その名前を聞いた途端、アイリスが大きな声を出した。
横にいたシルフィエッタがビクッとしているので声は抑えてもらいたい。
しかしメルティ・フォン・トラハニ……聞き覚えは無いな。アイリスの知り合いだろうか?
「あのピンクが聖女だなんて絶対に有り得ませんわ! あのピンクの魔法属性は闇属性ですのよ!?」
ああ、アイリスの元婚約者である王太子を寝取った女の名前なのか。
アイリスは頑なにその女の名前を言わなかったから聞き覚えがなくて当然か。
しかし……
「闇属性? 聖女って光属性持ちの人のことだよね?」
「もちろんそうですわ。ですので闇属性であるピンクが聖女なわけがありませんの」
ふむ……それはおかしいよね?
「メアリ、それは本当に陛下とお父様の連名での発表ですの?」
「は、はい。そう聞いています」
「そうですのね……」
アイリスは顎に手を当てて何かを考え始めた。
闇属性なのに聖女……そういえば前に闇属性でどんなことが出来るのか聞いたけど、その中に洗脳とかあったと思うのだけど……
まさかね?
「トミー……」
「一度ファミマトに戻るかい?」
おそらく父親が心配なのだろう。
闇属性の女を聖女だと発表するなんて、普通じゃ有り得ない。
ならば国王と連名となっているアイリスの父親にもなんらかのなにかしらがどうにかされている可能性がある。
「いえ、次の悪魔の出現がファミマトでない限り戻るつもりはありませんわ」
「そうなの?」
てっきり心配だから戻りたいのかと……
「心配は心配ですわ。けれど、助けたいかと言われるとまた話しは別ですわね」
「親なのに?」
「この前話しましたが、家族ではありますがそこまで仲が良かったわけでもありませんし……」
それは聞いた。
だから愛情に飢えていたんだよね。
「これはこれで……」
「ん?」
なんだろう、気のせいじゃなければアイリスが悪い顔をしたような気がする。
何か企んでいるのかな?
「メアリ、確定情報はいつ入りますの?」
「そうですね……明日か明後日にはファミマトに行っていたボッター商会の商隊が戻って来るはずですので、戻り次第わかるかと」
「わかりましたわ」
アイリスはそれで納得したようだ。
何に対して納得したのだろうか? なにかを企んでいるようだし、なにを企んでいるのか非常に気になる。
「アイリス――」
「今はまだ。情報が確定したらお話しますわ」
「わかった」
後で話してくれると言うのなら、それまでは大人しく待っていよう。
話も一段落ついたので、シルフィエッタが作ったシチューをみんなで食べる。
「美味いね」
「シルフィ、腕を上げましたわね」
「シルフィちゃん美味しいよー! おかわり!」
「えへへ」
和やかな雰囲気での夕食を終え、風呂に入ってその日はのんびりと過した。
翌日、帰還報告と情報収集のためにボッター商会へと訪れる。
そこで昨日メアリさんから聞いたファミマト王国に聖女が現れたという話が事実であるということをボッター氏の口から聞くことになった。
夕食の時間は過ぎてしまっているのだが、この時間ならまだシルフィエッタも起きているだろう。
「ただいまー」
「お兄ちゃん! お姉ちゃん! おかえりなさい!」
玄関を開き、中に入るとシルフィエッタが駆け付けてきてアイリスに抱き着いた。
「シルフィちゃん、あたしには?」
「ティファ姉もおかえりなさい!」
アイリスの腕の中から顔だけティファリーゼに向けて挨拶をしている。
うむ。眼福眼福。
「シルフィ、夕飯は食べましたの?」
「うん、メアリさんに教えて貰って私が作ったの!」
「そうですのね。なにを作りましたの?」
「シチューだよ!」
そのシルフィエッタが作ったというシチューはまだ残っているそうなので、夕飯を食べていない俺たちは残っているシチューを頂くことにした。
「トミー様、アイリス様、ティファリーゼ様、おかえりなさいませ」
「ただいまメアリさん。俺たちの留守中に問題は無かった?」
「あの……ひとつご報告しなければならないことがあります」
報告? なんだろう。
「何かありましたの?」
「こちらでは何も……しかしファミマト王国から不穏な噂が流れてきています」
「噂?」
なんの噂だろう? アイリスのことかな?
「なんでも、ファミマト王国に聖女が現れたらしいです」
「聖女?」
「本当ですの?」
聖女といえばファトスに居たティリアは元気だろうか?
聖女は教会に入るってことだったから色々と教わっている最中かな?
「はい。ファミマト王国国王と……その……」
「どうしましたの?」
「……ファミマト王国国王とイルドラース公爵の連名で発表されたそうです。その聖女の名前は……」
何かを感じたのか、アイリスは眉をひそめてメアリさんの言葉の続きを待っている。
「メルティ・フォン・トラハニ男爵令嬢だそうです」
「有り得ませんわ!」
その名前を聞いた途端、アイリスが大きな声を出した。
横にいたシルフィエッタがビクッとしているので声は抑えてもらいたい。
しかしメルティ・フォン・トラハニ……聞き覚えは無いな。アイリスの知り合いだろうか?
「あのピンクが聖女だなんて絶対に有り得ませんわ! あのピンクの魔法属性は闇属性ですのよ!?」
ああ、アイリスの元婚約者である王太子を寝取った女の名前なのか。
アイリスは頑なにその女の名前を言わなかったから聞き覚えがなくて当然か。
しかし……
「闇属性? 聖女って光属性持ちの人のことだよね?」
「もちろんそうですわ。ですので闇属性であるピンクが聖女なわけがありませんの」
ふむ……それはおかしいよね?
「メアリ、それは本当に陛下とお父様の連名での発表ですの?」
「は、はい。そう聞いています」
「そうですのね……」
アイリスは顎に手を当てて何かを考え始めた。
闇属性なのに聖女……そういえば前に闇属性でどんなことが出来るのか聞いたけど、その中に洗脳とかあったと思うのだけど……
まさかね?
「トミー……」
「一度ファミマトに戻るかい?」
おそらく父親が心配なのだろう。
闇属性の女を聖女だと発表するなんて、普通じゃ有り得ない。
ならば国王と連名となっているアイリスの父親にもなんらかのなにかしらがどうにかされている可能性がある。
「いえ、次の悪魔の出現がファミマトでない限り戻るつもりはありませんわ」
「そうなの?」
てっきり心配だから戻りたいのかと……
「心配は心配ですわ。けれど、助けたいかと言われるとまた話しは別ですわね」
「親なのに?」
「この前話しましたが、家族ではありますがそこまで仲が良かったわけでもありませんし……」
それは聞いた。
だから愛情に飢えていたんだよね。
「これはこれで……」
「ん?」
なんだろう、気のせいじゃなければアイリスが悪い顔をしたような気がする。
何か企んでいるのかな?
「メアリ、確定情報はいつ入りますの?」
「そうですね……明日か明後日にはファミマトに行っていたボッター商会の商隊が戻って来るはずですので、戻り次第わかるかと」
「わかりましたわ」
アイリスはそれで納得したようだ。
何に対して納得したのだろうか? なにかを企んでいるようだし、なにを企んでいるのか非常に気になる。
「アイリス――」
「今はまだ。情報が確定したらお話しますわ」
「わかった」
後で話してくれると言うのなら、それまでは大人しく待っていよう。
話も一段落ついたので、シルフィエッタが作ったシチューをみんなで食べる。
「美味いね」
「シルフィ、腕を上げましたわね」
「シルフィちゃん美味しいよー! おかわり!」
「えへへ」
和やかな雰囲気での夕食を終え、風呂に入ってその日はのんびりと過した。
翌日、帰還報告と情報収集のためにボッター商会へと訪れる。
そこで昨日メアリさんから聞いたファミマト王国に聖女が現れたという話が事実であるということをボッター氏の口から聞くことになった。
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