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戦うとみぃ
66話。悪魔討伐RTA
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俺の持つ聖竜印のマジックバックに入っていてすぐに食べられるものをありったけ取り出して住民に配る。
ティファリーゼとの話し合いも終わったようなので、代表者の男とも話をして、手持ちの食材や塩、香辛料なども戦闘が終わり次第提供するということで話をつけた。
一度は遠慮されたのだが、「いいから」の一言で受け取って貰えることになった。
ものすごく喜ばれたので、余程切羽詰まっていたのだと思われる。
それから悪魔出現の時間が来るまでの間に光属性魔法を使って住民たちの怪我や病気を治療した。
アイリスやティファリーゼは俺のやっていることを呆れたように見ていたが、出来ることをやれた俺は満足である。
悪魔出現の間が空いたらまた色々持ってこよう。
「トミーくん、そろそろ……」
最後の怪我人を治療し終えたタイミングで、ティファリーゼがそろそろ悪魔出現の時間だと告げてきた。
「わかった、すぐ行くよ」
時間を確認すると、悪魔出現まであと10分、準備をするにはちょうどいい。
「トミー、おかえりなさい」
「ただいまアイリス。ヒビはまだ入ってないみたいだね」
レトフでの戦いの時には残り15秒ほどになって空間にヒビが入った。
今回もそのくらいだろうか?
「技の余波だけで崩れそうですわね」
周りに被害を出さないようにするためにアイリスの【ホーリーブレイク】で悪魔出現と同時に撃破する作戦なのだが、技の余波だけで集落が壊滅しそうである。
「それなんだけど、出現の直前に【物質創造】で鉄の壁を創って囲おうかと思うんだけど、広さはどれくらい必要?」
余波で集落が壊滅してしまうのならその余波を防いでしまえばいい。
戦闘区域を鉄の壁で囲ってしまえばなんとか防げるだろう。
「そうですわね……半径3メートルは欲しいですわ」
「3メートルね、了解」
再度地図アプリを開いて出現地点を確認、限界までズームにして細かい位置まで確認する。
「ここだね」
「分かりましたわ」
悪魔出現まであと5分、多少早くなったとしても対応できるように俺とアイリスは魔力を高める。
「空間にヒビ!」
「了解!」
予定時間の15秒前、空間にヒビが入ったのを確認したアイリスが声を上げた。
俺からも見えていたので対応は早い、脳内でイメージしていた鉄の壁を創造するために地面に手を付き、一気に魔力を放出した。
ドドドとけたたましい音を鳴らしながら、空間に入ったヒビを中心に半径3メートル、高さ5メートルの鉄の壁が出現した。
これで集落に被害は出ないだろう。
それよりも俺が中に残る意味あったのかな?
外で待っていたら良かったかもしれない。
「【ホーリーレイン】!」
空間に入ったヒビが大きくなるよりも早く、アイリスが光の粒を大量に生み出す。
前回は全ての粒が空へと舞い上がっていたが、今回はその辺を漂っている。
おそらく空へと舞い上がり降り注ぐ行程をキャンセルしたのだろう。
キーワードを唱えておいてキャンセルするとはとても器用に魔法を使うなと感心してしまう。
【ホーリーブレイク】に必要な外付け聖属性魔法も唱えたので、あとは悪魔が現れた瞬間にぶちかますだけだ。
ピシリと音がなり、ヒビが大きくなっていく。
あと数秒もしないうちに割れた空間から悪魔が顔を出すだろう。
「【ホーリーブレイク】! ですわ!」
アイリスが剣を掲げ、キーワードを口にする。
剣が白く輝き始め、周囲の光の粒がゆっくりと剣へと吸い寄せられていく。
次の瞬間、パリンとかわいた音が鳴り、悪魔がこの世界へと出現した。
「КОДИЕОШК……」
「悪・即・断! ですわ!」
レトフでの戦いの時と全く同じ色、同じ形の悪魔が現れ咆哮をあげるが……
アイリスは咆哮が終わる前に悪魔の首を刎ねてしまった。
産声をあげている途中に首を落とされ殺されてしまうとは……少しだけ悪魔に同情してしまいそうだ。
しかし……鉄の壁で囲っておいてよかった。
悪魔が出現した地点、アイリスが剣を振るった先の壁が剣圧でかなり凹んでいるのだ。
一体どんな力と速度で剣を振ったらああなるのだろうか?
最早剣圧だけで悪魔を倒せそうな気がしてきた。
「トミー、勝ちましたわ!」
「え? あ、うん。見てたよ。さすがだね」
「ちゃんと作戦通りやりましたわ! ですのでご褒美を!」
アイリスは頭の先を俺に向けて差し出してくる。
これは……撫でろということで間違いないよね?
右手をアイリスの頭に乗せ、ゆっくりと撫でる。
「凄かったよ。さすがアイリスだね、頼りになる」
「これは……癖になりそうですわ……」
どうやら正解だったようで、アイリスの嬉しそうな声が聞こえてきた。
俺からは見えないが、多分きっとおそらく嬉しそうに頬が緩んでるんだろうなぁ……
「トミーくん! アイリスちゃん! 終わったの?」
しばらくの間なでなでタイムを堪能していると、壁の外からティファリーゼの心配そうな声が掛けられた。少し長くやり過ぎたようだ。
「こっちは終わったよ! 外に被害は?」
「大丈夫!」
集落にも被害は出ていないらしい。よかったよかった。
鉄の壁を維持するための魔力の供給を切り、魔力へと還元。
鉄の壁を消すと、その周囲には心配そうな顔をした住民とティファリーゼが立っていた。
「終わったならさっさとでてきなさいよ。どうせ壁の中でイチャイチャしてたんでしょ?」
「してないよ」
「アイリスちゃんの顔を見てみなさい。真っ赤じゃない」
ティファリーゼの追求を真顔で否定したのだが、アイリスの顔が赤いのですぐにバレてしまった。
バレたことが恥ずかしいのか、アイリスは顔をさらに赤くしてそっぽを向いてしまった。とても可愛い。
「さて……うん、まぁ……帰ろうか」
「ラトイに?」
「ラトイには行きたくない」
【クリエイトオフロード車】で帰れば今日中にエフリまで戻れるだろう。
それを伝えると二人も賛成してくれたので、住民に約束の品を渡してからエフリに向けて出発した。
ティファリーゼとの話し合いも終わったようなので、代表者の男とも話をして、手持ちの食材や塩、香辛料なども戦闘が終わり次第提供するということで話をつけた。
一度は遠慮されたのだが、「いいから」の一言で受け取って貰えることになった。
ものすごく喜ばれたので、余程切羽詰まっていたのだと思われる。
それから悪魔出現の時間が来るまでの間に光属性魔法を使って住民たちの怪我や病気を治療した。
アイリスやティファリーゼは俺のやっていることを呆れたように見ていたが、出来ることをやれた俺は満足である。
悪魔出現の間が空いたらまた色々持ってこよう。
「トミーくん、そろそろ……」
最後の怪我人を治療し終えたタイミングで、ティファリーゼがそろそろ悪魔出現の時間だと告げてきた。
「わかった、すぐ行くよ」
時間を確認すると、悪魔出現まであと10分、準備をするにはちょうどいい。
「トミー、おかえりなさい」
「ただいまアイリス。ヒビはまだ入ってないみたいだね」
レトフでの戦いの時には残り15秒ほどになって空間にヒビが入った。
今回もそのくらいだろうか?
「技の余波だけで崩れそうですわね」
周りに被害を出さないようにするためにアイリスの【ホーリーブレイク】で悪魔出現と同時に撃破する作戦なのだが、技の余波だけで集落が壊滅しそうである。
「それなんだけど、出現の直前に【物質創造】で鉄の壁を創って囲おうかと思うんだけど、広さはどれくらい必要?」
余波で集落が壊滅してしまうのならその余波を防いでしまえばいい。
戦闘区域を鉄の壁で囲ってしまえばなんとか防げるだろう。
「そうですわね……半径3メートルは欲しいですわ」
「3メートルね、了解」
再度地図アプリを開いて出現地点を確認、限界までズームにして細かい位置まで確認する。
「ここだね」
「分かりましたわ」
悪魔出現まであと5分、多少早くなったとしても対応できるように俺とアイリスは魔力を高める。
「空間にヒビ!」
「了解!」
予定時間の15秒前、空間にヒビが入ったのを確認したアイリスが声を上げた。
俺からも見えていたので対応は早い、脳内でイメージしていた鉄の壁を創造するために地面に手を付き、一気に魔力を放出した。
ドドドとけたたましい音を鳴らしながら、空間に入ったヒビを中心に半径3メートル、高さ5メートルの鉄の壁が出現した。
これで集落に被害は出ないだろう。
それよりも俺が中に残る意味あったのかな?
外で待っていたら良かったかもしれない。
「【ホーリーレイン】!」
空間に入ったヒビが大きくなるよりも早く、アイリスが光の粒を大量に生み出す。
前回は全ての粒が空へと舞い上がっていたが、今回はその辺を漂っている。
おそらく空へと舞い上がり降り注ぐ行程をキャンセルしたのだろう。
キーワードを唱えておいてキャンセルするとはとても器用に魔法を使うなと感心してしまう。
【ホーリーブレイク】に必要な外付け聖属性魔法も唱えたので、あとは悪魔が現れた瞬間にぶちかますだけだ。
ピシリと音がなり、ヒビが大きくなっていく。
あと数秒もしないうちに割れた空間から悪魔が顔を出すだろう。
「【ホーリーブレイク】! ですわ!」
アイリスが剣を掲げ、キーワードを口にする。
剣が白く輝き始め、周囲の光の粒がゆっくりと剣へと吸い寄せられていく。
次の瞬間、パリンとかわいた音が鳴り、悪魔がこの世界へと出現した。
「КОДИЕОШК……」
「悪・即・断! ですわ!」
レトフでの戦いの時と全く同じ色、同じ形の悪魔が現れ咆哮をあげるが……
アイリスは咆哮が終わる前に悪魔の首を刎ねてしまった。
産声をあげている途中に首を落とされ殺されてしまうとは……少しだけ悪魔に同情してしまいそうだ。
しかし……鉄の壁で囲っておいてよかった。
悪魔が出現した地点、アイリスが剣を振るった先の壁が剣圧でかなり凹んでいるのだ。
一体どんな力と速度で剣を振ったらああなるのだろうか?
最早剣圧だけで悪魔を倒せそうな気がしてきた。
「トミー、勝ちましたわ!」
「え? あ、うん。見てたよ。さすがだね」
「ちゃんと作戦通りやりましたわ! ですのでご褒美を!」
アイリスは頭の先を俺に向けて差し出してくる。
これは……撫でろということで間違いないよね?
右手をアイリスの頭に乗せ、ゆっくりと撫でる。
「凄かったよ。さすがアイリスだね、頼りになる」
「これは……癖になりそうですわ……」
どうやら正解だったようで、アイリスの嬉しそうな声が聞こえてきた。
俺からは見えないが、多分きっとおそらく嬉しそうに頬が緩んでるんだろうなぁ……
「トミーくん! アイリスちゃん! 終わったの?」
しばらくの間なでなでタイムを堪能していると、壁の外からティファリーゼの心配そうな声が掛けられた。少し長くやり過ぎたようだ。
「こっちは終わったよ! 外に被害は?」
「大丈夫!」
集落にも被害は出ていないらしい。よかったよかった。
鉄の壁を維持するための魔力の供給を切り、魔力へと還元。
鉄の壁を消すと、その周囲には心配そうな顔をした住民とティファリーゼが立っていた。
「終わったならさっさとでてきなさいよ。どうせ壁の中でイチャイチャしてたんでしょ?」
「してないよ」
「アイリスちゃんの顔を見てみなさい。真っ赤じゃない」
ティファリーゼの追求を真顔で否定したのだが、アイリスの顔が赤いのですぐにバレてしまった。
バレたことが恥ずかしいのか、アイリスは顔をさらに赤くしてそっぽを向いてしまった。とても可愛い。
「さて……うん、まぁ……帰ろうか」
「ラトイに?」
「ラトイには行きたくない」
【クリエイトオフロード車】で帰れば今日中にエフリまで戻れるだろう。
それを伝えると二人も賛成してくれたので、住民に約束の品を渡してからエフリに向けて出発した。
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