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森の中のとみぃ
1話。死亡、からの転生
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「富井千里《とみいせんり》様、この度は……この度は誠に申し訳ございません!」
気が付くと俺は真っ白な空間に立っており、神々しく光り輝く女性に深く頭を下げられていた。
え、待って? 何この状況?
「とりあえず頭をあげてください」
それしか言えない。俺は謝罪よりも説明が欲しいよ。
「富井様……」
「あの、状況説明をお願いしてもよろしいでしょうか?」
見た感じまともな状況ではないことくらいは分かる。
こんな真っ白い部屋が現実にあるとは思えないし、そもそも目の前の女の人光ってるし……
死んだかな?
「わかりました。富井様、誠に申しわけありませんが、貴方は死にました」
ですよね。
それはそれでまぁ仕方ないけど、なんで俺は謝罪を受けているのだろう?
「実は……富井様がお亡くなりになってしまったのは私のミスでして……」
女性は女神と名乗り、俺がなぜ死んでしまったのかを説明してくれた。
どうやらこの女神様の管理する世界はいくつもあり、その中の一つの世界に魔王が出現、その魔王を倒すために地球から勇者を召喚しようとして、誤って俺が死ぬことになってしまったらしい。
「どうしてそんなことに?」
「実は勇者として別の世界に送るためには一度死んでもらう必要がありまして……なので富井様の運転するトラックの前に勇者となるべき人を誘導して飛び出させたのですが……」
思い出した。
そういえばバイパスを走行中に学生が飛び出して来た。
それに気が付いて、慌ててブレーキを踏みながらハンドルを操作して……
「富井様の運転していたトラックは横転、その後ガードレールに衝突、炎上しました」
それで死んだのね。それより……
「その子は?」
「富井様が回避したので無事です」
良かった……のか?
「生き残っちゃってその別の世界は大丈夫なのですか?」
「大丈夫です。目の前でそのような光景を見たことによるショックで心臓を止めておきました」
それは……惨い……
「あれ? なら俺って」
無駄に死んだの?
「申し訳ございませんでした!」
再び女神様は腰を直角に折り、頭を下げてきた。
「またですか!? まぁ……未練とかあまり無いですし、歳も歳なんで別に気にしなくていいですよ」
幸いと言ってはなんだが、親は既に亡くなっているし、妻子ある身でもないし。
30も半ばを過ぎて特に大層な夢も無い。
死んだなら死んだでそれは仕方ない。
わざわざ謝罪なんてせずにそのまま成仏させてもらって良かったんだけどなぁ。
それをそのまま伝えると、女神様は慌てたように口を開いた。
「いけません! 私のミスでこうなってしまったのですし、このまま成仏なんて……」
「はぁ……」
「富井様には新しい肉体をご用意しますので、地球とは別の世界でやり直してみませんか?」
ラノベとかアニメとかで最近よく見る異世界転生ってやつか。
ああいうの見ていると、転生のきっかけはトラックに撥ねられてと言うのが多いが、まさか運転手である俺が転生する側になるとは……
てっきり転生させる側かと……って元々その予定だったのか。
「いや、別に……」
「いいえ、富井様には転生して頂きます! 転生して頂けないと冥界部からクレームが……」
クレーム? 冥界部?
「いえ、決して冥界部の部長が怖いとか、我々管理部の課長にミスがバレて怒られるのが嫌とかでは無いですよ?」
……ん?
「今ここで富井様が転生してくださるのならば、私はミスで余計な死者を出したことをバレずに済みますし、富井様は若くて強い体を手に入れて新しい人生を再スタート、ウィンウィンです!」
え? 隠蔽?
「ということで転生しちゃいましょう! もちろん今なら不便のないように人として最高の才能をお付けしますので!」
テレビショッピングかな?
てか、力そのものじゃなくて才能なのか。若干ケチ臭いと思わなくもないけど、考えてみればいきなり力を与えられても使いこなせるわけが無いしその方がいいのかな?
「外見は……魂は富井様のもののままですので、あまり弄れませんが……」
オーマイゴット!
俺はイケメンにはなれないのか!?
「何歳がいいですか?」
「マナーも常識もルールも知らないので赤ん坊からがいいです……」
せめて学びながら……ね?
「残念ながらそれは出来かねます。死んだ魂が冥界部に回収されるのと同じように、産まれてくる赤ん坊の魂も冥界部の管轄になりますので……バレちゃいます」
「え、なら幼児くらいで……」
孤児院とかに引き取って貰えたら大丈夫かな?
「リスクが高すぎます。富井様に行ってもらう世界は日本程安全な世界ではありませんので……力を与えますのでそれなりの年齢の方が安心ですよ?」
「なるほど……」
確かに子供だと簡単に死にかねないし、生き延びても攫われて売られてしまう可能性があるんだな。
ならそれなりの年齢……かつ常識を知らなくてもまだ許される可能性のある年齢か。
「15歳くらいかな?」
「わかりました。ではそれで」
思わず口に出てしまった……
まぁ15歳ならまだ子供として……いや、異世界ファンタジー物の作品って大体15で成人だったような?
やらかしたかもしれん。
「では富井様の新たなる人生に幸あらんことを」
「ちょ……」
年齢設定を変更しようと声をかけたが、遅かったようだ。
こうして俺の意識はだんだんと薄れていった。
気が付くと俺は真っ白な空間に立っており、神々しく光り輝く女性に深く頭を下げられていた。
え、待って? 何この状況?
「とりあえず頭をあげてください」
それしか言えない。俺は謝罪よりも説明が欲しいよ。
「富井様……」
「あの、状況説明をお願いしてもよろしいでしょうか?」
見た感じまともな状況ではないことくらいは分かる。
こんな真っ白い部屋が現実にあるとは思えないし、そもそも目の前の女の人光ってるし……
死んだかな?
「わかりました。富井様、誠に申しわけありませんが、貴方は死にました」
ですよね。
それはそれでまぁ仕方ないけど、なんで俺は謝罪を受けているのだろう?
「実は……富井様がお亡くなりになってしまったのは私のミスでして……」
女性は女神と名乗り、俺がなぜ死んでしまったのかを説明してくれた。
どうやらこの女神様の管理する世界はいくつもあり、その中の一つの世界に魔王が出現、その魔王を倒すために地球から勇者を召喚しようとして、誤って俺が死ぬことになってしまったらしい。
「どうしてそんなことに?」
「実は勇者として別の世界に送るためには一度死んでもらう必要がありまして……なので富井様の運転するトラックの前に勇者となるべき人を誘導して飛び出させたのですが……」
思い出した。
そういえばバイパスを走行中に学生が飛び出して来た。
それに気が付いて、慌ててブレーキを踏みながらハンドルを操作して……
「富井様の運転していたトラックは横転、その後ガードレールに衝突、炎上しました」
それで死んだのね。それより……
「その子は?」
「富井様が回避したので無事です」
良かった……のか?
「生き残っちゃってその別の世界は大丈夫なのですか?」
「大丈夫です。目の前でそのような光景を見たことによるショックで心臓を止めておきました」
それは……惨い……
「あれ? なら俺って」
無駄に死んだの?
「申し訳ございませんでした!」
再び女神様は腰を直角に折り、頭を下げてきた。
「またですか!? まぁ……未練とかあまり無いですし、歳も歳なんで別に気にしなくていいですよ」
幸いと言ってはなんだが、親は既に亡くなっているし、妻子ある身でもないし。
30も半ばを過ぎて特に大層な夢も無い。
死んだなら死んだでそれは仕方ない。
わざわざ謝罪なんてせずにそのまま成仏させてもらって良かったんだけどなぁ。
それをそのまま伝えると、女神様は慌てたように口を開いた。
「いけません! 私のミスでこうなってしまったのですし、このまま成仏なんて……」
「はぁ……」
「富井様には新しい肉体をご用意しますので、地球とは別の世界でやり直してみませんか?」
ラノベとかアニメとかで最近よく見る異世界転生ってやつか。
ああいうの見ていると、転生のきっかけはトラックに撥ねられてと言うのが多いが、まさか運転手である俺が転生する側になるとは……
てっきり転生させる側かと……って元々その予定だったのか。
「いや、別に……」
「いいえ、富井様には転生して頂きます! 転生して頂けないと冥界部からクレームが……」
クレーム? 冥界部?
「いえ、決して冥界部の部長が怖いとか、我々管理部の課長にミスがバレて怒られるのが嫌とかでは無いですよ?」
……ん?
「今ここで富井様が転生してくださるのならば、私はミスで余計な死者を出したことをバレずに済みますし、富井様は若くて強い体を手に入れて新しい人生を再スタート、ウィンウィンです!」
え? 隠蔽?
「ということで転生しちゃいましょう! もちろん今なら不便のないように人として最高の才能をお付けしますので!」
テレビショッピングかな?
てか、力そのものじゃなくて才能なのか。若干ケチ臭いと思わなくもないけど、考えてみればいきなり力を与えられても使いこなせるわけが無いしその方がいいのかな?
「外見は……魂は富井様のもののままですので、あまり弄れませんが……」
オーマイゴット!
俺はイケメンにはなれないのか!?
「何歳がいいですか?」
「マナーも常識もルールも知らないので赤ん坊からがいいです……」
せめて学びながら……ね?
「残念ながらそれは出来かねます。死んだ魂が冥界部に回収されるのと同じように、産まれてくる赤ん坊の魂も冥界部の管轄になりますので……バレちゃいます」
「え、なら幼児くらいで……」
孤児院とかに引き取って貰えたら大丈夫かな?
「リスクが高すぎます。富井様に行ってもらう世界は日本程安全な世界ではありませんので……力を与えますのでそれなりの年齢の方が安心ですよ?」
「なるほど……」
確かに子供だと簡単に死にかねないし、生き延びても攫われて売られてしまう可能性があるんだな。
ならそれなりの年齢……かつ常識を知らなくてもまだ許される可能性のある年齢か。
「15歳くらいかな?」
「わかりました。ではそれで」
思わず口に出てしまった……
まぁ15歳ならまだ子供として……いや、異世界ファンタジー物の作品って大体15で成人だったような?
やらかしたかもしれん。
「では富井様の新たなる人生に幸あらんことを」
「ちょ……」
年齢設定を変更しようと声をかけたが、遅かったようだ。
こうして俺の意識はだんだんと薄れていった。
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