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「誰よりも、何よりも。」
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「理不尽だ……理不尽だぞ、キャンベル辺境伯!! 何故こんなことを!? わしらが、何をしたというのだ!! 」
王は周りの残虐に憤りを感じた、此処までされる何を自分はしたのか分からなかった。
「理不尽……。」
リフターの冷たい目が王を見て、アフォガードとアマージョに向いた。
「なぜ、リフィルを殺した。」
感情のない琥珀色の瞳が二人を見る。
「それは誤解だといったはずだ!! 」
「そうですわ、誤解ですわ!! 」
二人は誤解だと、リフターに訴えた。
「二人もこう言っている、誤解で此処までやっるのか!! 」
王は苛立ち混じりに叫んだ。
「リフィルは、娘は絞首刑に処せられた。」
リフターの地を這うような声。
「な、何だと!? 」
驚き、王はアフォガードと娘のアマージョを見た。
「なっにを、リフィルは断崖から渓谷に飛び込んて……。」
「そうよ、辺境伯に申し訳ないと……。」
ガガガガ……ピシャリ、ピシャリと、足音をたてて二人に近づいて行くリフター。
「そうだ、母親を殺した呪われた血を嫌って。」
(何故知っている? あのババアが話したのか? )
アフォガードはギリギリと奥歯を噛み締めた。ぎゅっと手を握りしめる。
「ええ、お母様を殺してしまったと嘆いていたわ。」
(あの小娘の死の真相を知ってるの? あの馬鹿女が喋ったの? )
アマージョはリフィルの従姉妹のアクネラの顔を思い出した。
王都にはリフター以外入る事を王は許さなかった。リフターの王都の屋敷も西のハズレにあり西門から近かった。余程の事がない限り、リフターは王都の街には出ず直ぐに屋敷を後にして西門から王都を出て行く。そう、リフターが王都の中で何が有っても知る余地はなかった、興味もなかった。リフターは、自分に会いたくないという娘のリフィルをそっと見つめて、いつも王都を後にしていた。
(奴らが喋らない限り、リフターに知られるはずない。)
(口の軽い女たちだわ、あの小娘と一緒に消して於けばよかった。)
アフォガードとアマージョは、憤りながら目線を合わせた。
「門番が教えてくれたそうだ。リフィルの俺の娘の最後を。」
「「「 !! 」」」
リフターの冷たい琥珀色の瞳が、二人を捉える。リフターが真相を知った理由が二人にわかった。
「本当なのか……? 」
王が二人を見た。
(くそっ門番め、いらぬ事を!! 死罪にしてくれる!! )
(口の軽い者など、消えればいいのですわ。)
アフォガードとアマージョは、心の中で門番を死罪にすると決めた。
「なぜ、そんなに気にする!! お前はリフィルを疎んじていたはずだ!! 」
「そうよ、愛する人を殺したと恨んでいたのでしょう。」
剃り繕うように言う二人、アマージョはアフォガードの後ろに隠れながら言った。
「そ、そうか。そうだな、確かにいくらでも疎んじていても娘は娘。キャンベルの名を持つ者が罰せられたとは体裁が悪るいという事だな。うんうん。」
王は自己完結をして、納得した。
「ソルトルアー国で、住みにくいなら我が国に来るといい。」
王は笑いながら言った。
「侯爵の地位をそなたにあたよう、ゆくゆくは王家の血を引くものを娶れば公爵に。」
「まあ、お父様。素晴らしいですわ。」
「王自らの言葉に、頭を垂れよ!! 辺境伯!! 」
二人も王の言葉に納得し、寛大な提案にリフターに喜べと促した。
「どうだ、キャンベル。このへんで、矛を収めてくれぬか。」
「そうですわ、此処までしてもお父様はお許しになると言ってますのよ。」
「ありがたく思え、辺境伯。」
上から目線で、言い放つ。王として、王族として、自分たちは高貴な者と疑うことなく傲慢な態度を崩さない。
「我が国の高貴な血を引く娘子を可愛がるとよい。」
「陰気で、見窄らしい娘ではなく。高貴な血を引く娘を愛すればいいわ。」
「そうだ、疎んじていた娘などいなくなって清々しただろう。」
こともあろうか、リフターの前でリフィルを蔑む。
「感謝して貰っても宜しくてよ。」
「不用なものを、消してやったんだ。」
「最後に、少しは役にたったかのう。」
三人はリフィルのことを蔑んで、笑う。
ガッと、大剣を床にリフターは刺した。その音に三人は息を呑む。
「俺は、リフィルを愛している。」
冷たい目で三人を見ながらリフターは言った。
「誰よりも、何よりも。」
王は周りの残虐に憤りを感じた、此処までされる何を自分はしたのか分からなかった。
「理不尽……。」
リフターの冷たい目が王を見て、アフォガードとアマージョに向いた。
「なぜ、リフィルを殺した。」
感情のない琥珀色の瞳が二人を見る。
「それは誤解だといったはずだ!! 」
「そうですわ、誤解ですわ!! 」
二人は誤解だと、リフターに訴えた。
「二人もこう言っている、誤解で此処までやっるのか!! 」
王は苛立ち混じりに叫んだ。
「リフィルは、娘は絞首刑に処せられた。」
リフターの地を這うような声。
「な、何だと!? 」
驚き、王はアフォガードと娘のアマージョを見た。
「なっにを、リフィルは断崖から渓谷に飛び込んて……。」
「そうよ、辺境伯に申し訳ないと……。」
ガガガガ……ピシャリ、ピシャリと、足音をたてて二人に近づいて行くリフター。
「そうだ、母親を殺した呪われた血を嫌って。」
(何故知っている? あのババアが話したのか? )
アフォガードはギリギリと奥歯を噛み締めた。ぎゅっと手を握りしめる。
「ええ、お母様を殺してしまったと嘆いていたわ。」
(あの小娘の死の真相を知ってるの? あの馬鹿女が喋ったの? )
アマージョはリフィルの従姉妹のアクネラの顔を思い出した。
王都にはリフター以外入る事を王は許さなかった。リフターの王都の屋敷も西のハズレにあり西門から近かった。余程の事がない限り、リフターは王都の街には出ず直ぐに屋敷を後にして西門から王都を出て行く。そう、リフターが王都の中で何が有っても知る余地はなかった、興味もなかった。リフターは、自分に会いたくないという娘のリフィルをそっと見つめて、いつも王都を後にしていた。
(奴らが喋らない限り、リフターに知られるはずない。)
(口の軽い女たちだわ、あの小娘と一緒に消して於けばよかった。)
アフォガードとアマージョは、憤りながら目線を合わせた。
「門番が教えてくれたそうだ。リフィルの俺の娘の最後を。」
「「「 !! 」」」
リフターの冷たい琥珀色の瞳が、二人を捉える。リフターが真相を知った理由が二人にわかった。
「本当なのか……? 」
王が二人を見た。
(くそっ門番め、いらぬ事を!! 死罪にしてくれる!! )
(口の軽い者など、消えればいいのですわ。)
アフォガードとアマージョは、心の中で門番を死罪にすると決めた。
「なぜ、そんなに気にする!! お前はリフィルを疎んじていたはずだ!! 」
「そうよ、愛する人を殺したと恨んでいたのでしょう。」
剃り繕うように言う二人、アマージョはアフォガードの後ろに隠れながら言った。
「そ、そうか。そうだな、確かにいくらでも疎んじていても娘は娘。キャンベルの名を持つ者が罰せられたとは体裁が悪るいという事だな。うんうん。」
王は自己完結をして、納得した。
「ソルトルアー国で、住みにくいなら我が国に来るといい。」
王は笑いながら言った。
「侯爵の地位をそなたにあたよう、ゆくゆくは王家の血を引くものを娶れば公爵に。」
「まあ、お父様。素晴らしいですわ。」
「王自らの言葉に、頭を垂れよ!! 辺境伯!! 」
二人も王の言葉に納得し、寛大な提案にリフターに喜べと促した。
「どうだ、キャンベル。このへんで、矛を収めてくれぬか。」
「そうですわ、此処までしてもお父様はお許しになると言ってますのよ。」
「ありがたく思え、辺境伯。」
上から目線で、言い放つ。王として、王族として、自分たちは高貴な者と疑うことなく傲慢な態度を崩さない。
「我が国の高貴な血を引く娘子を可愛がるとよい。」
「陰気で、見窄らしい娘ではなく。高貴な血を引く娘を愛すればいいわ。」
「そうだ、疎んじていた娘などいなくなって清々しただろう。」
こともあろうか、リフターの前でリフィルを蔑む。
「感謝して貰っても宜しくてよ。」
「不用なものを、消してやったんだ。」
「最後に、少しは役にたったかのう。」
三人はリフィルのことを蔑んで、笑う。
ガッと、大剣を床にリフターは刺した。その音に三人は息を呑む。
「俺は、リフィルを愛している。」
冷たい目で三人を見ながらリフターは言った。
「誰よりも、何よりも。」
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