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リフィル・キャンベル伯爵令嬢。

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真っ白な大理石で作られた王城の舞踏会会場で、今一人の女性が断罪されていた。

「リフィル、この犯罪者め!! 」 

幼き頃から婚約していた第二王子であるアフォガードが叫んだ。白に金の刺繍の入った正装を着た黄色い髪の王子は、下卑た青い目をリフィルに向ける。

「お前が、アマージョ王女を毒殺しようとしたことはわかっている!! 」

アフォガードの口から言われもないことが紡ぎ出される。空色の地味なドレスを着た、黒い髪と黒い瞳が印象的なおとなしいリフィルは一人体を震わせていた。

「アマージョ王女は我が国の最大の同盟国。その王女を嫉妬のあまりに毒殺しようとするなんて!! 」

アフォガードは大袈裟に顔を押さえて、頭を振った。

「わたくしと、アフォガード様が親しくしているのがそれ程悔しかったのですのね。」 

アフォガードの横に縋り付くように派手赤いドレスを着た、金髪の王女アマージョが悲しそうにリフィルを見る。

「しかし将来王子妃になる者が、同盟国の王女であるわたくしを殺そうとするなどあってはならないことですわ。」
「アマージョ王女、この女は将来王子妃に成りはしない。王女を殺そうとする大罪人は、地位も名誉も取り上げ厳罰に処すのですから。」
「アフォガード様。」

アマージョはアフォガードに縋り付き。アフォガードは身振りを手振りを派手に動かし芝居のようにリフィル言い放った。

「国王陛下。」

アフォガードは、大きな柱に護られ赤いカーテンと赤いジュータンに飾られた場所にある王座に座る王と王妃に頭を下げた。

「まずは、私とこの女の婚約を破棄致します。」
「うむ、致し方あるまい。」 
「大罪人との婚姻など、わたくしは許しません。」

息子の言葉に王と王妃は頷いた。

「次に辺境伯の令嬢の地位を取り上げ、平民に処しましょう。」
「大罪人には名誉ある辺境伯の令嬢の地位は相応しくない。」
「キャンベル伯爵家の面汚しですわ。」

弟王子の言葉に、王太子とその王子妃が頷いた。王族の総てがリフィルを責める。

「ああ、なんてこと!! 御義兄様になんて言ったらいいの!! 」
「叔母様………。」
 
リフィルに距離をおき取り囲んでいた後ろから、派手な厚化粧の女性がわざとらしくもその場に崩れ落ちた。

「大丈夫ですわ、お母さま。伯父さまはリフィルお従姉さまの事などきっと排斥してくださるからキャンベル伯爵家は大丈夫よ!! 」

リフィルの同じ歳の従姉妹アクネラも叔母と同じように派手な装いをしていた。

「リフィル!! 王女の毒殺未遂の罪を認めろ!! 」
アフォガードが威圧的に、リフィルに叫んだ。リフィルはその声に縮こまり震えていた。

(私は何もしていない。だめ……ここで反論しないと、お父様に迷惑がかかるわ。勇気を出して……。)

「私…、……して…せん。」
「何!? 」
切れ切れの声を出す。

「私は、何もしていません!! 」
リフィルは勇気を出して、声を張り上げた。何もしていないと否定する。

「酷いですわ!! わたくしが嘘を言ってると言うのですか!? 」
よよよよっと、アマージョは床に崩れ落ちた。それを支えるようにアフォガードが肩を抱く。

「アマージョ王女が、なんのために嘘を付く!! 罪を逃れようとするな、リフィル!! 」
大声で怯えるリフィルを威嚇する。

「わ、私は……」
「そうか、分かったぞ。おかしいと思ったんだ、お前一人の考えではないのだな!? キャンベル伯爵の意向だと言うのだな!! 」
「そんな!? だとしたら、国家反逆罪ですわ!! 」
アフォガードは、リフィルの父親の考えだと言い出した。その言葉にアマージョもキャンベル伯爵の反逆罪を叫んだ。

「まあ!! なんて娘なの!! わたしのお姉さまを殺しただけでは飽き足らず、御義兄様まで殺そうとするなんて!! 」
叔母が、リフィルを産むために命を落としたと母親殺しと叫んだ。

「叔父さまに疎まれているからと、伯父さままで殺そうとするの!? 」
従姉妹アクネラも、リフィルと父親の不和を叫んだ。

「このままだとキャンベル伯爵の指示だと言うことになるぞ!! 父親を国家反逆罪で殺すのか!! 」

「なんて恐ろしい……」
「父親を殺そうと……」
「母親を殺して産まれてきたのに…」

ひそひそと、リフィルの耳に囁く声が聞こえてくる。この場所に、リフィルの味方はいない。

(ごめんなさいお母様。殺してしまって……。)

リフィルは手を組み祈るように手に頭を近づけた。

(ごめんなさいお父様。産まれてきてしまって……)

「さあ応えろ、リフィル!! お前一人がやったのか!? それとも 」
「私が!! 」
アフォガードの問にリフィルは声を張り上げた続きを止めた。

「私が、一人で……」







    
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