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楽しい旅行。
エリシアの決意。
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エドワードが右の拳を突き出すと、カシラはそれをかわして左側から顔を殴ろうとする。
エドワードは体制を低くして、それを逃れる。
「今のは右ストレートだろ!! おじさん!! 」
「お兄さ~ま!! 膝蹴りよ、膝蹴り!! 頭を捕まえて、こう、こうよ!! 」
「早くやってしまえ!! 瞬殺しろ!! 」
何故かカシラを応援する子供ぶりっ子のリョウと、身振り手振りでエドワードに攻撃パターンを教えているシエリア。ヨナンは早く終わらせろと急かす。
今度は右ストレートをエドワードに出すと、エドワードはそれをかわして横から足蹴りをカシラに食らわせる。
「お~い。それくらい、かわせよ!! おじさん!! 」
「きゃ~~!! お兄さま、格好いい!! やっぱ、蹴りよ、蹴り!! 蹴りはいいわよね~~!! 」
「なにをしている、早くやってしまえ!! 」
ダメ出しするリョウと、蹴り大好きシエリアはエドワードの蹴りを褒め称える。ヨナンは相変わらず早く終わらせろと叫んでいる。
「あいつ等、先に黙らせていいか!! 」
「……… 」
エドワードもカシラと気持ちは同じであった。こうもちゃちゃを入れられては、闘争心も萎えると言うものだ。
(静かに観覧しててくれ!! )
と、思えど脇で見ている二人と一人は黙りそうにない。
「エドワード様…… 」
丘の上から、下の状況を見るエリシア。傍には助けてくれた父母がいる。
(私は何時も誰かしらに、助けられてばかり…… )
エリシアは手を組んで祈るようにエドワード達を見つめていた。
「私も、シエリアのように強かったら…… 」
呟いた言葉に父が反応した。
「エリシア、頼む!! エリシアだけでも普通の女の子でいてくれ!! 」
彼の周りの女性は、鉄の意思の妻と鋼の精神力のシエリア普通の可憐な女性はエリシアだけである。涙ながらにエリシアの肩を掴み訴える父。
「それに、な。腕力だけが、相手を倒す力とは限らないんだぞ。ふふふっ。」
悪い顔で、エリシアに微笑む父。
「出たわね、この腹黒男。お腹の膨らみは、黒い物でいっぱいかしら? 」
母は、父を後ろから見下ろしていた。振り向く父は母に微笑む。
「こう言う私も、好きだろ? 」
「勿論よ、旦那様。」
母も父に微笑み返す。
「おほほほほっ…… 」
「あははっ…… 」
二人は悪い顔で、悪役のように笑い合う。
「素敵…… 」
仲睦まじい両親を羨ましそうに見るエリシア。悪役のように笑い合っている両親なのに。
(私もエドワード様と、お父様お母様のように仲睦まじくなりたい。)
エリシアはエドワードの方を垣間見る。
(せめて傍にいたい。側で、応援したい。)
エリシアは意を決したように顔をあげる。
「お父様、お母様。私、行きます。」
怖くて手は少し震えながらも、強い目を両親に向ける。
「エドワード様の側に、少しでも近くにいたいの。」
「無理することはないんだぞ、エリシア。」
おろおろと、手を差し出す父。その父の肩を、母はガッチリと掴んだ。
「行きなさい、エリシア。」
「はい、お母様。」
優しく微笑む母に勇気づけられエリシアも、微笑んで応える。
足は震えながらもエリシアは歩きだす。少しずつ速さがます。
「エリシア、エリシア!! カンぶぁーーック!! 」
カッチリ肩を掴まれて動けない父は、手をエリシアに向けてのばしながら叫んでいた。
「あなた、いい加減に娘離れしなさい!! 」
「イヤだ、イヤだ!! エリシア、男はオオカミなんだぞ!! 危ないんだぞ!! 」
駄々をこねる子供のように地団駄を踏む父。
しかしエリシアは振り返ることなくエドワードの元へと歩んで行く。
「ふえ~~ん、エリシア!! 」
がっくりと項垂れる父。
「本当に…… あなたには私がいるから、いいでしょう。」
後ろから力強く、旦那を抱きしめる妻がいた。
エドワードは体制を低くして、それを逃れる。
「今のは右ストレートだろ!! おじさん!! 」
「お兄さ~ま!! 膝蹴りよ、膝蹴り!! 頭を捕まえて、こう、こうよ!! 」
「早くやってしまえ!! 瞬殺しろ!! 」
何故かカシラを応援する子供ぶりっ子のリョウと、身振り手振りでエドワードに攻撃パターンを教えているシエリア。ヨナンは早く終わらせろと急かす。
今度は右ストレートをエドワードに出すと、エドワードはそれをかわして横から足蹴りをカシラに食らわせる。
「お~い。それくらい、かわせよ!! おじさん!! 」
「きゃ~~!! お兄さま、格好いい!! やっぱ、蹴りよ、蹴り!! 蹴りはいいわよね~~!! 」
「なにをしている、早くやってしまえ!! 」
ダメ出しするリョウと、蹴り大好きシエリアはエドワードの蹴りを褒め称える。ヨナンは相変わらず早く終わらせろと叫んでいる。
「あいつ等、先に黙らせていいか!! 」
「……… 」
エドワードもカシラと気持ちは同じであった。こうもちゃちゃを入れられては、闘争心も萎えると言うものだ。
(静かに観覧しててくれ!! )
と、思えど脇で見ている二人と一人は黙りそうにない。
「エドワード様…… 」
丘の上から、下の状況を見るエリシア。傍には助けてくれた父母がいる。
(私は何時も誰かしらに、助けられてばかり…… )
エリシアは手を組んで祈るようにエドワード達を見つめていた。
「私も、シエリアのように強かったら…… 」
呟いた言葉に父が反応した。
「エリシア、頼む!! エリシアだけでも普通の女の子でいてくれ!! 」
彼の周りの女性は、鉄の意思の妻と鋼の精神力のシエリア普通の可憐な女性はエリシアだけである。涙ながらにエリシアの肩を掴み訴える父。
「それに、な。腕力だけが、相手を倒す力とは限らないんだぞ。ふふふっ。」
悪い顔で、エリシアに微笑む父。
「出たわね、この腹黒男。お腹の膨らみは、黒い物でいっぱいかしら? 」
母は、父を後ろから見下ろしていた。振り向く父は母に微笑む。
「こう言う私も、好きだろ? 」
「勿論よ、旦那様。」
母も父に微笑み返す。
「おほほほほっ…… 」
「あははっ…… 」
二人は悪い顔で、悪役のように笑い合う。
「素敵…… 」
仲睦まじい両親を羨ましそうに見るエリシア。悪役のように笑い合っている両親なのに。
(私もエドワード様と、お父様お母様のように仲睦まじくなりたい。)
エリシアはエドワードの方を垣間見る。
(せめて傍にいたい。側で、応援したい。)
エリシアは意を決したように顔をあげる。
「お父様、お母様。私、行きます。」
怖くて手は少し震えながらも、強い目を両親に向ける。
「エドワード様の側に、少しでも近くにいたいの。」
「無理することはないんだぞ、エリシア。」
おろおろと、手を差し出す父。その父の肩を、母はガッチリと掴んだ。
「行きなさい、エリシア。」
「はい、お母様。」
優しく微笑む母に勇気づけられエリシアも、微笑んで応える。
足は震えながらもエリシアは歩きだす。少しずつ速さがます。
「エリシア、エリシア!! カンぶぁーーック!! 」
カッチリ肩を掴まれて動けない父は、手をエリシアに向けてのばしながら叫んでいた。
「あなた、いい加減に娘離れしなさい!! 」
「イヤだ、イヤだ!! エリシア、男はオオカミなんだぞ!! 危ないんだぞ!! 」
駄々をこねる子供のように地団駄を踏む父。
しかしエリシアは振り返ることなくエドワードの元へと歩んで行く。
「ふえ~~ん、エリシア!! 」
がっくりと項垂れる父。
「本当に…… あなたには私がいるから、いいでしょう。」
後ろから力強く、旦那を抱きしめる妻がいた。
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