【完結】私の婚約者は、妹を選ぶ。

❄️冬は つとめて

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楽しい旅行。

満天の星空の下で。

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エリシアの肩を抱き、身構えるエドワード。彼らの後ろには、木々の間から満天の星空が見える。星降る丘の入口に二人は立っていた。

「シエリア嬢、君なのか!! 」
エドワードは暗い中後からついてくる人影に、声をあげた。

付いてきた人影は、突然走り出した。エドワードは咄嗟にエリシアを庇い抱きしめる、二人の横を走り抜け人影は星降る丘の上へ。

脇を抜ける時、キラリと光る雫が人影の目の辺りから舞い散った。

「爆発しろ!! リア充ーーー!! 」
「お前かーー!! 」
丘の上で満天の星空へ向かって、人影だった者は叫んだ。


その頃、シエリアは。
エリシアの泊まる部屋で爆睡していた。彼女は9時頃になると睡魔に襲われ、快眠へと誘われるのだった。



ぜろ、リア充!! ついでに禿げろ!! 」
彼は主張する、満天の星空の下で目に涙を溜めて。その場にいるカップル達が驚いて彼を見ていた。

「おい!! やめろ!! 」
「うるさいイケメン!! 爆ぜろイケメン!! 禿げろイケメン!! 」
丘の上で主張する男をエドワードは止めにかかった。だが、彼は言葉の反撃に出る。

「なんでお前が此処にいるんだ!! 」
「嫌がらせに決まってるだろ!! 一人だけリア充になりやがって!! 」
エドワードが疑問を問いかけると、彼は直に応えた。

「……あの、エドワード様。お知り合いですか? 」
言い争っている二人に、おずおずとエリシアは問いかける。

「エリシア。コイツは、」
「はじめまして、お嬢さん。僕は、おなじりょうといいます。僚が名前です。リョウと呼んで下さい、美しい人。」
短いさらさらの黒髪と茶色いつぶらな瞳。彫りの深くない顔、背もエリシアより少し高いくらいで小柄な少年。

「リョウ様。東洋の方ですね。」
「はい、よくおわかりで 」
リョウは優しく微笑むエリシアの手を取ろうとして、エドワードに弾かれる。

「寄るな触るな、話しかけるな。エリシアは俺の婚約者だ。」
鬼の形相で、エドワードはリョウを睨みつける。

「エドワードとは、同じ部署で働いています。」
「えっ、エドワード様と。」
彼女に近づこうとするリョウを鉄壁のガードで防ぐエドワード。

「あの、ごめんなさい。お若く見えるから…… 」
「うっ!! 」
東洋系のリョウはエドワードと同じ歳であっても若く見られ、女性から子供扱いをされ恋が花開かないのであった。

多くの女性にアプローチしたが、男性として見られなかった恋多きリョウであった。

「くそっ!! 爆ぜろイケメン、禿げろイケメン!! 」
エドワードを罵倒すると、リョウは再び星降る丘に立ち叫んだ。

「僕も、彼女が欲しーーいぞ!! リア充になりたーーいぞ!! 」
「やめろ!! リョウ!! 」
エドワードは周りの迷惑を考えて、リョウを抑え込む。

「いい加減にしろ、リョウ。」
「うるさい、イケメンのリア充のお前に僕の気持ちが分かるかーー!! 男扱いされない僕の気持ちが分かってたまるか!! 」
「分かったから叫ぶな!! 」

(お前が子供っぽいそんなんだから男と見られないんだろうが!! )
エドワードは心の中で思ったが、火に油を注ぐ事になるので言えなかった。

よしよしと、押さえ込んで落ち着かせる。

「エドワード様…… 」
「すまない、エリシア。」
二人は顔を見合わせて困ったように微笑んだ。

どうやら、エリシアとエドワードの恋にはお邪魔虫障害が多そうだ。

空には満点に輝く星たちがいた。


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