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彼女、目覚める。
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凛とした佇まいでマリィアン公爵令嬢はオスカルを庇うために身を呈した。
流れる金髪、きりりとした青色の瞳は恐れることなくロロリイを見つめた。
足を振り下ろそうとするロロリイのピンクの瞳が見開かれる。
(首ちょんぱ令嬢!! )
首ちょんぱ!? 彼女か、彼女が戻ってきたか!!
ロロリイの動きが遅くなった、しかし振り上げた足は止まらない。
「マリィ!! 」
ガシッとロロリイの足が肩に食い込んだ。だらりと右肩が力なく揺れる。
「オスカル様!! 」
「マリィ、大丈夫か? 怪我はないか? 」
身を呈して庇うマリィアンをオスカルもまた身を呈して庇った。ロロリイの足はマリィアンを庇うために抱き締めたオスカルの右肩に食い込んでいた。
折れたか? いや、すんでんの処で脚の力を消したので脱臼ですんだか。でもどうするんだ彼女? 王太子やっちゃったぞ。
(まずい、やっちゃった。これって、私が首ちょんぱ!? )
彼女は腕を組んで二人を見下ろしていた。何故か彼女には恐怖感がない。
(おかしいわ、恐怖感が無い。)
彼女は高揚していた。前世の常識を持つ彼女なら、国家を恐れ王太子を傷つけた事で罪を問われることを恐れただろう。
(むしろ、わくわくしている。)
わくわくて、戦闘民族サ○ヤ人か!!
「ああ、私はロロリイ・エボックなんだわ。」
彼女は自分がロロリイだと確信を持った。目を瞑り、頬を高揚と赤らめる。
(王太子を傷つけて、きっと多くの者が私を追ってくる。)
ロロリイはうっとりと両手で頬を押さえた。
(沢山の者と戦える。)
サ○ヤ人か!!
(お母様、お父様、お姉様には悪いけどロロリイは頑張ったわ。)
何を頑張ったんですか!?
(それにこんなシーンは(乙女ゲームで)見たことないわ。)
ロロリイは目の前でイチャつくバカップルを目にする。
「オスカル様、オスカル様!! 死なないで、貴方が亡くなられたらマリィはマリィは生きていけません!! 」
「大丈夫だ、マリィ。私が君を置いて死ぬわけはない。絶対に死なない!! 」
「ああ、オスカル様!! 」
「マリィ、私は君を愛している!! 」
「わたくしも愛しておりますわオスカル様!! 」
たかが脱臼で命の生き死にで盛り上がっている。
「ああ、宜しゅうございましたわマリィアン様。」
「お気持ちが通じ合えたのですね。」
「私達は嬉しく、ございます。」
マリィアンの取り巻き令嬢(他の悪役令嬢)達は涙を流しながら二人を祝福している。
「やっと言ったか、オスカル。」
「お前が言うか? 」
「お前こそ。」
フェルゼンはオスカルの告白をやっと言ったかと言えば、ルイージがフェルゼンにお前もまだ言ってないだろうと突っ込んた。それをアンドレはお前こそ、婚約者に何も言って言ってないだろうとたしなめた。しかしアンドレもまた令嬢に愛の告白はしていなかった。つまりはキラキラ令息達はみんなヘタレであった。
政略結婚の婚約者を本当は思いながら、ヘタレ故に何も言えず。その隙きをロロリイと言うヒロインが突き、ひっちゃかめちゃかにして落としていく乙女ゲームであった。
そう前世の彼女の記憶が戻った為戦闘心を隠してキラキラ令息に近づく筈だったロロリイは、前世の彼女の『攻略対象』『悪役令嬢』と言う戦闘心をくすぐる言葉で開花した。
今ここにいる、ロロリイ・エボックは乙女ゲームの『愛と希望と青春と、私の愛しの王子様♡』(ダサいネーミング)のヒロインではなく。
戦闘をこよなく愛する、戦闘民族エボック家の真の姿の令嬢であった。
「オスカル様。」
「マリィ。」
バカップルの抱擁は続く。
「「「宜しゅうございましたわ、マリィアン様。」」」
取り巻き令嬢(他の悪役令嬢)達は感涙している。
「ロゼリィ。」
「ナタリア。」
「フレデリカ。」
「「「愛している!! 」」」
この雰囲気に便乗してヘタレのキラキラ令息は、婚約者に告白をする。
「「「私も、愛してますわ。」」」
令嬢達は涙を溢れ出しながら、告白に応えた。それぞれ二人、手を取り合い見つめ合う。
バカップルが増えたな。
「よかった、これで首ちょんぱ令嬢は首ちょんぱにならないわね。」
せめて悪役令嬢て言ってやれ。
愛を確かめ合うバカップルに向け何処からか拍手が聞こえた、それに合わせて会場内の令息令嬢は拍手喝采を贈る。会場内が幸せに包まれた。
いいのか!? これで!!
流れる金髪、きりりとした青色の瞳は恐れることなくロロリイを見つめた。
足を振り下ろそうとするロロリイのピンクの瞳が見開かれる。
(首ちょんぱ令嬢!! )
首ちょんぱ!? 彼女か、彼女が戻ってきたか!!
ロロリイの動きが遅くなった、しかし振り上げた足は止まらない。
「マリィ!! 」
ガシッとロロリイの足が肩に食い込んだ。だらりと右肩が力なく揺れる。
「オスカル様!! 」
「マリィ、大丈夫か? 怪我はないか? 」
身を呈して庇うマリィアンをオスカルもまた身を呈して庇った。ロロリイの足はマリィアンを庇うために抱き締めたオスカルの右肩に食い込んでいた。
折れたか? いや、すんでんの処で脚の力を消したので脱臼ですんだか。でもどうするんだ彼女? 王太子やっちゃったぞ。
(まずい、やっちゃった。これって、私が首ちょんぱ!? )
彼女は腕を組んで二人を見下ろしていた。何故か彼女には恐怖感がない。
(おかしいわ、恐怖感が無い。)
彼女は高揚していた。前世の常識を持つ彼女なら、国家を恐れ王太子を傷つけた事で罪を問われることを恐れただろう。
(むしろ、わくわくしている。)
わくわくて、戦闘民族サ○ヤ人か!!
「ああ、私はロロリイ・エボックなんだわ。」
彼女は自分がロロリイだと確信を持った。目を瞑り、頬を高揚と赤らめる。
(王太子を傷つけて、きっと多くの者が私を追ってくる。)
ロロリイはうっとりと両手で頬を押さえた。
(沢山の者と戦える。)
サ○ヤ人か!!
(お母様、お父様、お姉様には悪いけどロロリイは頑張ったわ。)
何を頑張ったんですか!?
(それにこんなシーンは(乙女ゲームで)見たことないわ。)
ロロリイは目の前でイチャつくバカップルを目にする。
「オスカル様、オスカル様!! 死なないで、貴方が亡くなられたらマリィはマリィは生きていけません!! 」
「大丈夫だ、マリィ。私が君を置いて死ぬわけはない。絶対に死なない!! 」
「ああ、オスカル様!! 」
「マリィ、私は君を愛している!! 」
「わたくしも愛しておりますわオスカル様!! 」
たかが脱臼で命の生き死にで盛り上がっている。
「ああ、宜しゅうございましたわマリィアン様。」
「お気持ちが通じ合えたのですね。」
「私達は嬉しく、ございます。」
マリィアンの取り巻き令嬢(他の悪役令嬢)達は涙を流しながら二人を祝福している。
「やっと言ったか、オスカル。」
「お前が言うか? 」
「お前こそ。」
フェルゼンはオスカルの告白をやっと言ったかと言えば、ルイージがフェルゼンにお前もまだ言ってないだろうと突っ込んた。それをアンドレはお前こそ、婚約者に何も言って言ってないだろうとたしなめた。しかしアンドレもまた令嬢に愛の告白はしていなかった。つまりはキラキラ令息達はみんなヘタレであった。
政略結婚の婚約者を本当は思いながら、ヘタレ故に何も言えず。その隙きをロロリイと言うヒロインが突き、ひっちゃかめちゃかにして落としていく乙女ゲームであった。
そう前世の彼女の記憶が戻った為戦闘心を隠してキラキラ令息に近づく筈だったロロリイは、前世の彼女の『攻略対象』『悪役令嬢』と言う戦闘心をくすぐる言葉で開花した。
今ここにいる、ロロリイ・エボックは乙女ゲームの『愛と希望と青春と、私の愛しの王子様♡』(ダサいネーミング)のヒロインではなく。
戦闘をこよなく愛する、戦闘民族エボック家の真の姿の令嬢であった。
「オスカル様。」
「マリィ。」
バカップルの抱擁は続く。
「「「宜しゅうございましたわ、マリィアン様。」」」
取り巻き令嬢(他の悪役令嬢)達は感涙している。
「ロゼリィ。」
「ナタリア。」
「フレデリカ。」
「「「愛している!! 」」」
この雰囲気に便乗してヘタレのキラキラ令息は、婚約者に告白をする。
「「「私も、愛してますわ。」」」
令嬢達は涙を溢れ出しながら、告白に応えた。それぞれ二人、手を取り合い見つめ合う。
バカップルが増えたな。
「よかった、これで首ちょんぱ令嬢は首ちょんぱにならないわね。」
せめて悪役令嬢て言ってやれ。
愛を確かめ合うバカップルに向け何処からか拍手が聞こえた、それに合わせて会場内の令息令嬢は拍手喝采を贈る。会場内が幸せに包まれた。
いいのか!? これで!!
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