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勝つために。

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「攻略対象恐るるに足りぬ。」
(ええ、王子ルートは叩き折ったし、後のキラキラはあのていたらく。)
ロロリイが声を出せば彼女が応えた。オスカル王子のグラフを折り(折ったつもり)、ルイージは背中に蹴りを入れ地に沈め、フェルゼンは罠に掛り木に釣り上げ、アンドレは既に学園にいない(只今入院中)。

「(攻略対象は、私の敵ではないわ。後は、ライバル(悪役令嬢)の攻略のみ。)」
ロロリイと彼女の心が一つと成った。攻略対象は敵ではないし、悪役令嬢は攻略対象ではない。

「悪役令嬢を叩き潰す為に、眼鏡君から情報を。」
ロロリイは実力(腕力)行使に出た。眼鏡君を机ごと壁際に追い詰め、圧力を持って今朝方作っていた弁当を食べさせる。喉に詰まらせながらも眼鏡君は、お弁当のおにぎりを食べた。

(何だこの白い固まりは、けっこううまい。口の中で、ほろりと崩れ。噛みしめると弾力があり、微かに甘みを感じる。そして、口の中に広がる塩の味。)
おーーい、眼鏡君。

「等価交換よ、悪役令嬢の情報をよこしなさい。ふふふふっ。」
等価交換とは、○の錬金術か!! とりあえず突っ込んでおこう。

「と、等価交換? 悪役令嬢? 」
等価交換で悪役令嬢、眼鏡君には何を言ってるのかわからないであろう。特に悪役令嬢とは、ロロリイの前世彼女の世界のゲーム用語。この場合、悪女の情報をよこしなさいの方が彼には分かるだろう。だが、その悪女もロロリイ達が分かっていても彼には分からない。当然だ。

「キラキラ達の悪女、婚約者よ。」
「キラキラ達の悪女? 婚約者? 」
婚約者は分かっても、キラキラ達の悪女が眼鏡君には分からない。当然だ。

遠巻きで見ていた子女達も、ロロリイの言葉に首を傾げていた。

「さあ、早く応えなさい。私のライバル、攻略対象の悪役令嬢を。」 
悪役令嬢は攻略対象ではない。そして攻略の意味も違う。

眼鏡君は机で壁に押し付けられて壁ドンならず、机ドン。

「婚約者て、誰の? 」
「キラキラ王子達のよ。」
ロロリイのピンクの瞳が赤く染まる、その可愛い笑顔が恐ろしい。

目覚めろ!! ロロリイの中の彼女よ、このままでは酷インまっしぐらだぞ!! 悪役令嬢の最後のクビちょんぱを思い出せ!! 画面を染めたあの赤を、ロロリイに転生して記憶が戻った意味がない!! 目覚めよ、彼女!! 目覚めてくれ!!

こほん、取り乱してしまったようだ。失礼した。

「キラキラ王子? 婚約者の悪役令嬢? 」 
まさかと、ラスカルの眼鏡の下の青い目が光った。

「王子殿下や公爵令息の婚約者を聞き出してどうするつもりだ? 」
眼鏡君は真剣な眼差しで(眼鏡を掛けてるから見えないが)ロロリイに問いただした。ロロリイは不敵に笑ったそして、

「もちろん、完膚なきまでに叩き潰すのみ。」

かのじよーー!! カンバック!!
乙女ゲームでもなくなった!! 

彼女との統合で乙女ゲームではなく、バトルゲームと成り下がった世界。
君は、勝ち抜けるか? て、違うって!! 

ロロリイの中の前世の彼女が目覚めることを切に願う。


その日の生徒会室。

「それで、ロロリイ・エボックの身辺調査は。」
髪をキラキラ輝かせながら、目の前の部下達を見る。

「はい。ロロリイ・エボック子爵令嬢、北の山岳地に領民のいない領地をもらい住んでいます。いえ、元々その地の豪族です。」
 
「三代前のエボック当主が当時の国王を野獣から助け、その地を貰い受けたようです。」

「父は、バルサック。武道家として名だたる者です。母は、リリアン子爵。その名だたる武道家のバルサックを武道会で倒し入婿として向かいれたようです。後、姉が二人。長女キャサリンは武闘が強く、次女のヴァネッサは槍を扱い、ロロリイ・エボックは弓の名手です。」 

「彼等は元々狩りを生業にしていたようで、今も主に狩りと野獣討伐の任でお金を稼いでいます。」
キラキラ王子の部下達は、調べてきたロロリイの素性を報告する。










    
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