記憶の中の伝説

❄️冬は つとめて

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システム、起動。

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シンは薄暗い中、階段を警戒しながら駆け登る。その後をマリリンを小脇に抱えたレストが続く。

あの場所に、ましてやあの男達がいる場所にマリリンを置いていくなど考えられない。お姫様抱っこは両手がふさがる、咄嗟にレストはマリリンを小脇に抱えた。

階段を登り切った所で目を凝らす。薄暗い中でも其処が広い空間だとシンにも感覚的に分かる。

ウイーーン、ウイーーン、音が聞こえてくる。暗がりの中赤い光が複数見え、此方へと近づいてくる。

何かが飛んできたモノをシンは短剣で弾いた。弾かれたモノは、飛び出してきた方へと引き込まれて消えた。

「なんで、どうして…… 」
レストに小脇に抱えられながら、薄暗闇に赤い光りにマリリンは呟く。

(どうして、アレが起動しているの!! )

「何か飛んでくるぞ!! 」
「おうよ!! 」
同じようにレストに向かって赤く光る方から何かが飛んでくる。レストも右手に持つ槍でそれを弾いた。

「降ろして!! 」
「ラブリーちゃん!? 」
マリリンはレストから逃れるように藻掻き、抱えられている脇から抜け出す。

(アレが起動してると言うことは…… )

体を起こし、マリリンは暗闇の部屋へと目を凝らす。マリリンの目の色が赤く染まる。

マリリンの目には、薄暗闇の中がと見える。

カーン、カーンと、弾き飛ばす音がする中マリリンはお目当てのモノを見つけた。

マリリンの目に見える攻撃をして来るモノは、自分よりシンとレストを狙っている。薄暗闇の中、飛んでくるモノが見えず弾き返すだけのシンとレストの二人は劣勢である。

マリリンは見つけたモノの前に走った。机のような物に手を当てる。

「システム起動。」
マリリンの手を当てた所が青く光る。

「パスワード? 煩いわね。」
マリリンの赤く光って瞳が青に変わった。体も仄かに青く輝いている。

「開きなさい!! システム、シヤイン!! 」
マリリンが青く光る机の上に手を滑らす。次々とマリリンの周りのモノに小さな明かりが灯る。

「取り敢えず、明かりよ!! 」
指を机の上の小さな明かりを叩く、その瞬間暗がりだった部屋がまるで昼間のように明るくなった。

「これは!? 」
「シン、あれ!! 」
明るくなって自分達に攻撃をしてくる敵があらわになる。

五十センチほどの大きさの逆さ円柱形のモノが、浮かんでいる。先程から赤く光っているものが上の方に見える。そして本体の横についている二本の細い紐のような先が尖ったモノが、シン目掛けて飛んでくる。それをシンは弾き飛ばすと、それは縮むように本体に戻っていく。

「ゴーレム、これが!? 」
それは光沢のある石のように見えなくはない。だが石ではない。

「ゴーレムじゃないわ。働き蜂と呼ばれる、マナ収集装置よ。」
「働き蜂? 」
マリリンは二人に話す。

「簡単に言うと、よ。」
「アンドロイドか。」
マリリンの説明に、静かにシンが対応する。

「ロボットよ!! アンドロイドは、あたし見たいな人型を言うのよ!! 一緒にしないで!! 」
「そうだ、シン。ラブリーちゃんとあんなゴテっとしたモノを一緒にするな!! 」
マリリンの抗議に、レストも同意見だ。

「手、ついてるし。」
「目、おかしんじゃないの!! アレが人型に見えるなんて!! 」
「そうだ、おかしいぞ!! ラブリーちゃんと同じに見えるなんて、ねこ耳がついてないだろ!! しっぽもない!! 第一、女の子じゃない!! 」
さっきから攻撃してくる紐みたいのが手だと言い張るシンに、変だとマリリンは抗議する。 
何より女の子じゃないと、レストはそこが一番肝心だと主張する。

「働き蜂なら、メスだろ。」
「確かに、働き蜂はメスだな。」
納得するようにシンの言葉に頷くレスト。

「あんたたち、ちょっとおかしい!! ちょっとじゃない、すっごくっおかしい!! 」

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