記憶の中の伝説

❄️冬は つとめて

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伝説の猫型ロボット。

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既に、もう何階か感覚的に分からなくなって来たシンとレストの二人である。探している黒髪の夢の中の少女は見当たらない。


そんな中、ある部屋から声が聞こえてきた。

「ちょっと、やめなさい!! 、食べられないから!! 」
女の子の声に、シンとレストの二人の耳はピクンと動いた。

夢の中の少女に違いないと、二人はその部屋めがけて走る。 

薄っすらと暗い部屋の棚の上に逃れているモノがいる。間からねこの耳と、しっぽがたらりと垂れ下がっている。妖魔ゴブリン五匹の一匹がしっぽを掴んで、下ろそうとしている。

「猫か!? 」
「いや!! ラブリーな、ねこ耳ちゃん!! 」
レストは走った、目の前で振り向くゴブリン一匹を槍で打ち払う。

「ナンダ お前タチ? おれタチのメシ 奪うキだな。」
残りの四匹のゴブリンが、シン達を敵対視する。
が、あっという間にレストがなぎ倒していく。カン、カン、カン、カン、と音が聞こえて来そうなほどにゴブリンを跳ね飛ばしている。シンの出る幕はない。

「お前ラ、ヒドい。覚えて、イろ!! 」
ゴブリンは飛ばされ打ち付けられた壁から立ち上がると、捨て台詞を残して逃げていった。 
シンは何もしてないが、一蓮托生である。

「ラブリーなねこ耳ちゃん。脅威は去ったよ、降りといで。」
レストはゴブリンを追うこともなく、暗い棚の間に逃げ込んでいるねこ耳に夢中だ。

手を広げて、降りておいでと話しかける。その声に棚の隙間からそ~っと、片足が出てきた。

後ろ向きでゆっくりと降りてくる。足が付かないので、一瞬ぶらりとぶら下がってぴょんと飛び降りた。レストは手持ち豚差で、手をワキワキさせている。

紫がかったサラリとしたおかっぱの頭の上にねこ耳がピクピク、短い手足の間取り付いているしっぽの先もピクピク。どう見ても、

「子供が? 」
どう見ても、十二歳位の子供である。子供がダンジョンに、しかも此処はかなり上の階である。

「助けてくれてありがとう。あたし、マリリン。」
「マリリンちゃんが、ラブリーな名前だ『ゴキ!! 』」
シンは手揉みしているレストの頭を抑え込んだ。

「何故、子供がこんな所にいる。」
シンは警戒心あらわでマリリンに話しかける。手は短剣にかかっている。

それは仕方のないことだ、妖魔は強くなると知性を持ち人形になり騙し、罠に嵌める存在になる時があるからだ。こんな所に、の女の子が一人でいること自体が怪しいのだ。

マリリンはくすっと笑った。

レストこっちは阿呆だけと、あなたは慎重派なのね。」
「応えろ。」
冷たい声が部屋に響く。

「シン!! ラブリーな、ねこ耳ちゃんを脅すな!! 」
「お前は黙ってろ!! 」
顔をあげたレストを再び、押さえつけるシン。

「ラブリーに見えても、あたし。高性能なアンドロイドなの。」
「アンドロイド? つまり、喋るロボットか。」
「ちょっと、アンドロイドて言ってよ!! 響きが違うでしょ!! 」
「つまり、高く売れると? 」
「ちょっと、あたしを売るキ!! 」
シンが思案していると、マリリンは怒って近づいてくる。しっかりと顔が見えてくると、

「ジン!! 」
「は? 俺はシンだ。」
シンを見て、驚いてマリリンは声をあげる。それに眉間に皺を寄せてシンは応えた。

「ごめんなさい。知り合いに、似ていたから…… 」

目を逸らしながらマリリンは謝った。しかし気になるのかチラチラとシンを見る。

「猫型ロボット…… 知っている。いにしえから伝わる猫型ロボット。ポケット言う無限に取り出されるアイテムを持つと言う、猫型ロボット。確か、名前は…… 」
「ドラ○もん、だ。」
昔の伝え聞く物語を思い出し呟くレスト、伝説の猫型ロボットの名前をシンはマリリンを見詰めながら応えた。

「違うから、それ!! それ本当に物語だから!! 漫画だから、アニメだから!! 」
マリリンは全否定するように叫んだ。



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