5 / 16
遺跡へと。
しおりを挟む
トイレより狭い部屋に入り、一瞬部屋の明かりが消えてついたら外から扉が開く。
「またのご利用、お待ちいたします。」
ガイドの男は頭を下げてシンとレストを見送った。シン達も、足早に部屋を出て建物外への出入り口に向かった。
外に出ると少し先に威圧を感じるほどの円錐台の塔がそそり立っている。その昔空から飛来した塔だと言われているが、定かではない。
「しかし、ロマンチックだよな。夢の中の少女を思い続ける。それ、女の子にモテそうだな。」
「……… 」
「シンは女の子に興味ない、と。オレ、身の危険を感じてたけど安心したぜ。」
遺跡に急ぐシンに向かって、レストは話しかける。とにかくレストは女の子大好き、男子である。
シンはレストを無視して、遺跡の出入り口へと急ぐ。他の冒険者とすれ違いながらも、シンに話しかけながら後を追うレスト。
遺跡の出入り口の近くで、心配そうにしている男の商人が立っていた。
「黒髪の少女を見なかったか? 」
「ああ…… 素行の悪い奴と組んだあの娘かい? 彼奴等、危なくなったら仲間を囮にして逃げるんだよ。」
シンの問いかけに、商人の男は応えた。
「やはり、此処か。」
「急ぐそ、シン!! 女の子を囮にするとは、男として許せん!! 」
シンより、レストは先に遺跡に入って行く。シンも後を追って中に足を踏み込んだ。
中は遺跡と石畳のまさに、遺跡と呼ぶに相応しい風貌である。いくつもの部屋があり、奥に階段も見える。上に行くほど、妖魔が強くなると言われている。
慎重に中に進んでいく二人、一階と言っても何処から妖魔が出てくるか分からない。弱いからと油断すれば、不意打ちを受け怪我をするかも知れない。
所々で出会った冒険者達に少女の行方を聞きながら、奥に進んでいく二人。
簡単にスライムや巨大化したコウモリを倒しながら前に進む。霧散し落とした鉱石や金貨、魔石は冒険者としては拾って行く。
「シン、右だ!! 」
右側から襲い来る50センチ程の巨大ネズミを避け、短剣で切る。武闘派のシンは長剣より、短剣の方が性に合っていた。親から譲られた剣は、いざという時の為に腰にさしてはいるが。
レストは親から、餞別として盗んで来た槍を巨大ネズミに刺している。マナが霧散して、魔石とネズミの亡骸が転がる。
二人は魔石だけを取り、亡骸は放おっておく。巨大ネズミは食べられない、食べようと思えば食べられるがあまり美味しくない。亡骸はそのうちスライムが吸収して無くなるだろう。
二人は上へ上へと、階段を登る。未だ制覇されていない、遺跡は何階有るかは分からない。時々、宝箱に擬態したミミックと言う物に合うが、此れは倒しておいた方がいい。何故か、レア物を抱え込む性質を持つ不思議な妖魔である。
目の前に宝箱がある。
「いや、ミミックだろ!! 」
「ミミックだな。」
シンは構え、レストは槍で宝箱を開ける。
確かにミミックを倒して、そのまま宝箱として固定化する物もいる。そして何故か、近くにある剣や雑貨等を引き寄せてしまい込みその物をバージョンアップさせる、不思議な宝箱もあるが。
案の定ミミックであった。
ミミックは、ピンキリである。弱いものから、強いもの。
「げっ!! 巨大スライムか!! 」
レストは唸った。小さなスライムと違って、此れは中々骨が折れる。スライムは核を壊さない限り倒せない。大きいと得物が核に届かない、周りを削って小さくするしかないのだ。削るというのは、スライムの消化ネバネバを被るかも知れないから服とか溶かされる場合がある。
「くそっ、女の子と一緒だったら!! シンの裸体なんかみたくないぞ!! 」
「俺だってお前の裸なんか、みたくないわ!! 」
二人は毒づきながら巨大スライムを削って、やっとの思いで核を壊した。
「なんとか、裸体を見なくてすんだな。」
「中はなんだ? 」
額に汗をかきながら、二人は宝箱の中を見る。
「帰還の札だ。」
「レアじゃん!! 」
※帰還札とはダンジョン内で危なくなった時、外に強制送還されるものである。ただし、危なくならないと発動しない。ただの札である。
「よし、先に進むぞ。」
シンは顔をあげた。
「カワイ娘ちゃんの為なら、えんやこらだ。」
レストも顔をあげる。
そして二人は奥の部屋へと、足を進める。
「またのご利用、お待ちいたします。」
ガイドの男は頭を下げてシンとレストを見送った。シン達も、足早に部屋を出て建物外への出入り口に向かった。
外に出ると少し先に威圧を感じるほどの円錐台の塔がそそり立っている。その昔空から飛来した塔だと言われているが、定かではない。
「しかし、ロマンチックだよな。夢の中の少女を思い続ける。それ、女の子にモテそうだな。」
「……… 」
「シンは女の子に興味ない、と。オレ、身の危険を感じてたけど安心したぜ。」
遺跡に急ぐシンに向かって、レストは話しかける。とにかくレストは女の子大好き、男子である。
シンはレストを無視して、遺跡の出入り口へと急ぐ。他の冒険者とすれ違いながらも、シンに話しかけながら後を追うレスト。
遺跡の出入り口の近くで、心配そうにしている男の商人が立っていた。
「黒髪の少女を見なかったか? 」
「ああ…… 素行の悪い奴と組んだあの娘かい? 彼奴等、危なくなったら仲間を囮にして逃げるんだよ。」
シンの問いかけに、商人の男は応えた。
「やはり、此処か。」
「急ぐそ、シン!! 女の子を囮にするとは、男として許せん!! 」
シンより、レストは先に遺跡に入って行く。シンも後を追って中に足を踏み込んだ。
中は遺跡と石畳のまさに、遺跡と呼ぶに相応しい風貌である。いくつもの部屋があり、奥に階段も見える。上に行くほど、妖魔が強くなると言われている。
慎重に中に進んでいく二人、一階と言っても何処から妖魔が出てくるか分からない。弱いからと油断すれば、不意打ちを受け怪我をするかも知れない。
所々で出会った冒険者達に少女の行方を聞きながら、奥に進んでいく二人。
簡単にスライムや巨大化したコウモリを倒しながら前に進む。霧散し落とした鉱石や金貨、魔石は冒険者としては拾って行く。
「シン、右だ!! 」
右側から襲い来る50センチ程の巨大ネズミを避け、短剣で切る。武闘派のシンは長剣より、短剣の方が性に合っていた。親から譲られた剣は、いざという時の為に腰にさしてはいるが。
レストは親から、餞別として盗んで来た槍を巨大ネズミに刺している。マナが霧散して、魔石とネズミの亡骸が転がる。
二人は魔石だけを取り、亡骸は放おっておく。巨大ネズミは食べられない、食べようと思えば食べられるがあまり美味しくない。亡骸はそのうちスライムが吸収して無くなるだろう。
二人は上へ上へと、階段を登る。未だ制覇されていない、遺跡は何階有るかは分からない。時々、宝箱に擬態したミミックと言う物に合うが、此れは倒しておいた方がいい。何故か、レア物を抱え込む性質を持つ不思議な妖魔である。
目の前に宝箱がある。
「いや、ミミックだろ!! 」
「ミミックだな。」
シンは構え、レストは槍で宝箱を開ける。
確かにミミックを倒して、そのまま宝箱として固定化する物もいる。そして何故か、近くにある剣や雑貨等を引き寄せてしまい込みその物をバージョンアップさせる、不思議な宝箱もあるが。
案の定ミミックであった。
ミミックは、ピンキリである。弱いものから、強いもの。
「げっ!! 巨大スライムか!! 」
レストは唸った。小さなスライムと違って、此れは中々骨が折れる。スライムは核を壊さない限り倒せない。大きいと得物が核に届かない、周りを削って小さくするしかないのだ。削るというのは、スライムの消化ネバネバを被るかも知れないから服とか溶かされる場合がある。
「くそっ、女の子と一緒だったら!! シンの裸体なんかみたくないぞ!! 」
「俺だってお前の裸なんか、みたくないわ!! 」
二人は毒づきながら巨大スライムを削って、やっとの思いで核を壊した。
「なんとか、裸体を見なくてすんだな。」
「中はなんだ? 」
額に汗をかきながら、二人は宝箱の中を見る。
「帰還の札だ。」
「レアじゃん!! 」
※帰還札とはダンジョン内で危なくなった時、外に強制送還されるものである。ただし、危なくならないと発動しない。ただの札である。
「よし、先に進むぞ。」
シンは顔をあげた。
「カワイ娘ちゃんの為なら、えんやこらだ。」
レストも顔をあげる。
そして二人は奥の部屋へと、足を進める。
11
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

スローライフとは何なのか? のんびり建国記
久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。
ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。
だけどまあ、そんな事は夢の夢。
現実は、そんな考えを許してくれなかった。
三日と置かず、騒動は降ってくる。
基本は、いちゃこらファンタジーの予定。
そんな感じで、進みます。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる