記憶の中の伝説

❄️冬は つとめて

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女の子を追いかけて。

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二人は足早にギルドを出る。なんてったって女っ気無いシンが夢見る女の子がレストには気になって仕方がなかった。

(きっと、に違いない!! )
興味津々なレストであった。

「大丈夫か? あの。」
すれ違いざまに聞こえてきた言葉にレストはピクンと耳を動かした。

「あんな奴らと組んで。」
「あんな奴らとは、なんだ!! 」
レストはすれ違う筈の冒険者の襟首を掴んだ。

「大丈夫かとは、なんだ!! あんな奴らとは、なんだ!! その女の子はカワイイか!! 」
「やめろ、レスト!! 」
矢継ぎ早に襟元掴んだ冒険者に質問するレストと、それを止めようと彼を羽交い締めにするシン。

突然絡まれた冒険者達は、呆然とするだけだった。


「簡単に説明すると、ヤバい奴らと女の子がパーティーを組んでいたのを見たと? 」
「ああ、奴等は新人を囮にしたり置き去りにするので有名だ。」
レストの問いに、続いて話す冒険者。レストは再び冒険者の襟元掴み上げた。

「何故、止めなかった!! そんな奴等にカワイイを生贄に捧げたのか、お前らは!! 」
「やめろ、レスト!! 」
再びシンもレストを後ろから羽交い締めにして止める。

「奴等、卑怯で執念深いんだよ。」
「下手に関わると、何されるか分からないんだ!! 」
後々の事を考えると、助けることは出来ないと目を逸しながら冒険者は呟く。

「それでも!! 」
「やめろ、レスト。その子もなんだ、情報収集はとして初歩的な事だろう。」
その手の情報はするのが冒険者としての初歩である。誰を責めることもできないことだ。

「分かった…… オレがその娘を助ける。特徴を言え!! 」
レストは自分が助けると、冒険者から手を離した。

「ああ…… 黒髪の、 」
「黒髪の!! 黒い瞳で、少し黄みがかった白い肌!! 目はくりっとつぶらで、顔立ちは凹凸が少なく子供のような女の子か!! 」
髪の色を聞いてシンはレストのように、冒険者の襟首を掴み上げ引き寄せた。

「あ、ああ…… し、知り合いか……? 」
鬼の形相のシンに冒険者は、顔を青ざめる。

「貴様らは、人として腐っている!! か弱い婦女子を見捨てるとは、人として終わっているぞ!! 」

((さっきと、言ってることが違うーー!! ))
先程とは打って変わっての言葉である、人格すらも否定する辛辣な言葉を冒険者達に投げかけるシン。冒険者達は心の中でシンに突っ込んでいた。

「シン…… お前…… 」
突然の豹変ぶりにレストは呆然とシンを見詰め、そしてピンとくる。

「その黒髪の子が、夢見る少女か!! 」
シンに叫んでレストはもう一人の冒険者の襟首を掴み上げる。

「どうなんだ!! その娘はカワイイのか!? 奮い立つような美人なのか!? 」
シン以外の目撃者に少女の姿を模索する。レストの頭の中には、シンの夢見る女の子の事でであった。

「か、可愛い……と、思う? 」
レストに掴まれていた冒険者が、頭を捻りながら応える。

とはなんだ!! 可愛いだろ!! つぶらな瞳と、子供っぽい顔立ち!! まるでお人形のように!! 」
シンは掴んでいた冒険者を突き放し、レストの掴んでいた冒険者を奪い取る。その冒険者の襟首を掴み揺する、夢の中の少女を否定されたと憤る。

「やっぱりカワイイのか!! カワイイんだな、シン!! 」
レストは目をキラキラさせて、シンに縋り付いた。

「いや、いい。俺一人で助けに行くぞ。お前はついてくるな!! 」
「なに言ってんだ!! オレ達、相棒じゃないか!! 」
掴んだ冒険者を放り投げてシンは、今度こそキルド内の外に出る。その後をレストが飛び跳ねながら追いかける。

放り出された冒険者達は、厄介な者から開放されてほっとした。

「あんな二人に助けられて大丈夫か? あの娘。」
「まあ、悪い奴らじゃないから、大丈夫じゃないか。」
シンとレストが出ていったギルドの出口を見つめながら、冒険者の二人は黒髪の女の子の事を心配していた。


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