学園七不思議。

❄️冬は つとめて

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モノが落ちてくる、校舎外。

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てく、てく、てく。

ひらひらと、落ち葉が舞い落ちる校舎の外を迦具夜かぐやと鈴音と鈴香の三人は歩いていた。

次の場所に案内するように、鈴音と鈴香が先を歩き迦具夜を誘導する。その後を迦具夜は歩いていた。舞い落ちる銀杏の落ち葉が、迦具夜の目を楽しませている。

てく、てく、てく。

「落ち葉が、綺麗ね。」
迦具夜達は黄色に輝く銀杏並木と校舎の間を歩いていた。時折、ひらひらと数枚の黄色い可愛らしい三角の葉っぱが蝶のように舞い散る。

てく、てく、てく。

校舎の外壁を横に三人は歩く。乾いた秋風が、落ち葉を散らかしていく。

「風も、冷たくなってきたわ。紅葉も、もっと進むでしょう。」
迦具夜は風で乱れた黒髪を耳にかける。

てく、てく、てく。

黄色く色づいた銀杏並木から、きらきらとこぼれ日が迦具夜を照らす。

「「ほぉ…… 」」
まるで優しい光の海を漂っているように、迦具夜の黒髪が揺れる。その美しさに、鈴音と鈴香はため息をついて見惚れていた。

てく、てく、てく。

「鈴音、鈴香。」
迦具夜は立ち止まった、首を傾げて前を歩く二人に声をかける。

「なにか、感じましたか? 迦具夜かぐや様。」 
「此処らが、次の事件の場所なのです。迦具夜かぐや様。」
直ぐに鈴香が振り向き声をかけると、鈴音が既に次の事件場所についていると迦具夜に話した。先程から、校舎の外壁をつたって歩いているだった。それも、同じ校舎の外を既に2周目である。

「まあ、そうなのですね。先程から、鈴音と鈴香が同じ場所を周っているから迷子になってしまったと思いましたわ。」
くすくすと、迦具夜は可憐に笑う。

迦具夜は闇の瞳で周りを見回す。こぼれ日が瞳に映り、きらきらと白く輝く。銀杏並木を後ろにたたずむ迦具夜は、まるで一枚の絵画のようで鈴音と鈴香は息を止めて見ていた。

「でも、そうね。なにも感じませんわ。」
「左様で、ごさいますか。迦具夜かぐや様。」
「此処らは、ある特定の女生徒が通りかかると上から物が落ちてくるのです。」
「まあ、危ない。被害に合われた方は、無事なの? 」
どのような事件が起こるかを鈴香は迦具夜に説明をする。その説明に迦具夜は被害者のことを心配して声にあげた。

「なんと、お優しい。迦具夜かぐや様。」
「はい。物がおちてくる時は、必ず近くにいる男子生徒に助けられているようです。」
「まあ、勇ましい殿方がいてくださってよろしかったわ。」
迦具夜は女生徒の無事を知り、安心したように微笑んだ。その美しさに、やはり鈴音と鈴香は言葉を失う。

「今回も制服を引き裂かれた女生徒と同じ方なの? 」
「はい。迦具夜かぐや様。」
「やはりなのでは? 」
教科書を噴水に捨てられ制服を引き裂かれた女生徒と同一人物に、迦具夜はやはり虐めを考えた。
それも上から物を落とすなど、当たったら怪我ではすまない可能性もある。

「見過ごすことは、できませんわ。」
迦具夜かぐや様。この5年間、やはり同じ事件が起こっております。」
「落下物事件? 」
「はい。」
「それは面妖なこと、やはりの仕業かしら。」
迦具夜は暫し考えた。

「でも物が落ちてくるとは、危ないわ。生徒会として、何か策を考えないといけないかしら? 」
「網を貼るとかでしょうか? 迦具夜かぐや様。」
「でもそれでは学園の外見が損なわれてしまいます。」
迦具夜の言葉に鈴音・鈴香は意見を出す。

昔の古い洋館ぽい『まほろば』学園は、白い壁と赤い屋根の美しい外見だ。窓の下に網を付ければその外見は見事に損なわれる。

「それに、この事件以外は上から物が落ちてくることはないのです。」
「一件も? 」
「はい、その事件以外は一件もです。迦具夜かぐや様。」
「それは素晴らしいですわ。流石は、紳士淑女の通う学園ですわ。」
迦具夜は可憐に手を合わせて、学園生徒を称賛する。

「そうね。すべて『転ばぬ先の杖』では、人として成長はありませんわ。自らの意思と、危機意識は何時ももっていないとなりませんわ。」
迦具夜は静かに闇の瞳を閉じる。

「平和に見えても、いつ何時何かが起こるか分かりませんわ。危機意識を研ぎ澄ましませんと。」
「左様でごさいます、迦具夜かぐや様。」
「ある程度の体験と、教養を得ることで人は成長をするのですわ。それをわたくしが奪ってしまっては、みなを赤子と同じにしてしまいますわ。それは許されない事ですわ。」
「あ゙あ゙、なんと素晴らしいお考えでしょう迦具夜かぐや様。」
「その通りでございます、迦具夜かぐや様。」
迦具夜の言葉に酔いしれるように称賛する鈴音と鈴香。

「さあ、次へ参りましょう。案内あないを、鈴音、鈴香。」
「「はい。迦具夜かぐや様。」」

次の現場へと案内をする為に先を歩く鈴音と鈴香の後を追って、迦具夜は歩く。

てく、てく、てく、と。

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