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魔王たちの封印。
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アテムは身体強化魔法を使って現場に向かった。ついでにブーストも素早さにかける。
あっ、と言う間にアテムはマーナが魔法を連発している場所にたどり着く。
「いやーーー!! イモムシ、イモムシ!! 」
ドッカン、ドッカン!!
「がははは!! もっと、もっと、こい!! 」
カッ!! ドチューン!! ドカーン!! ガラガラ!!
「キャーー!! 」
「うわあぁ!! 」
「痛いよ、痛いよ!! 」
「ママ~!! パパ~!! 」
「た、助けて、くれ!! 」
「オーホホホホッ、アンコにお任せ!! エリアヒール!! 」
キラキラキラ~~!!
地獄絵図だった。
嫌いな虫(羽イモムシ)を退治しようとマーナは火炎魔法を連発している。しかも見たくないのか目を瞑って、そのために魔物に当たらない。よしんば当たりかけると、マイが盾を使ってその魔法を弾き飛ばしている。そして弾かれた魔法がそこら変に当たり、外壁や門を壊している。その破片に当たった冒険者たちや街の住人が血を流して倒れている所に、アンコが女王様のように歓喜の笑い声と共に回復魔法をかけていた。
「……セトは? 」
愛しのセトが辺りに見当たらない。直ぐさまアンコに近寄り、セトの行方を聞いた。
「『虫けら如き、俺の相手ではない!! 』て言って、猫に乗ってどっかに行っちゃったわよ。」
(いや、猫じゃなくて白虎だから。)
アテムは、索敵魔法を広げてセトを探す。1キロ程先で、猫(白虎)を枕にして眠っている。さわさわとセトの髪が揺れて、周りに小石などが爆風に飛ばされ其処まで届いていた。
(セトの絹のような肌に、小石でも当たったら!! )
呆然としながらアテムは、マーナを見た。
(マーナを止めないと!! )
目を瞑り、魔法の杖を振りまくり魔法を連発しているマーナ。アテムは飛んでいる羽イモムシを両手剣を使いさっさと倒していく。遠くにいるものには、手元に魔法で火炎玉を数個作りだし羽イモムシに飛ばして燃やしていった。それこそ、あっと言う間に羽イモムシはこの場にいなくなった。
目を瞑り魔法を撃ちまくるマーナの後ろを取って、虫がいなくなった事を囁いた。
「いや、いや、イモムシ!! 」
「マーナ。もう虫はいないよ。」
「ほ、ほんと……? 」
薄っすらと目を開けて周りを見る。周りに飛んでいる羽イモムシはいなかった。
「よ、よかっ~た~。」
へなへなと、その場に崩れ落ちた。
「チッ、打ち止めか。」
マイは、盾を掲げて残念そうにマーナを見る。
「セトが、ドラゴンを呼んでくれればよかったのに。受けたかったぜ、ドラゴンの息吹。」
背中に盾を担ぎ、ガシガシと頭をかく。
「えっ、もう終わっちゃったの。まだ、死者蘇生、やってないのに~~!! 」
さらりと、アンコは怖いことをいった。
「みんな疲れただろう。セトの所に行って、お茶でも飲もう。」
「クッキー、クッキー!! 」
「ワタシはガッンとしたものが食べたいね。」
「ケーキ、ケーキが食べたいわ、アテム。」
「うん。ぜんぶあるからセトの所に行って食べよう。」
リクエストする幼馴染たち、先程パーティーをアテム一人を置いて出た三人とは思えない。
「みんな、支援魔法かけるから。いいかい。」
「「いいわよ。」」
「ああ。」
「支援魔法、身体強化、素早さ、ブースト。」
呆然と立ち竦む冒険者たちと街の住人たちを後目にアテムたちはセトの元に向かう。だが、誰も止めるものはいなかった。
「どうやら、勇者アテムは魔王たちをおさえてくれたようですね。」
「はい。」
イシーズは静かになった状態に、胸を撫で下ろす。
「でも……街は……半壊しました。」
死人は出ておらず、怪我人は総てアンコが回復させた。しかしマーナの暴走により街は半壊となっていた。
「全壊ではなかった事で、よしとしましょう。」
セトがドラゴンを呼んでいたら全壊でもすまなかったとギルド内にいる者たちは感じていたが 、誰も何も言わなかった。
暴走する魔王たちから護ってくれたアテム。彼はストーカーだが、やはり勇者だった。
あっ、と言う間にアテムはマーナが魔法を連発している場所にたどり着く。
「いやーーー!! イモムシ、イモムシ!! 」
ドッカン、ドッカン!!
「がははは!! もっと、もっと、こい!! 」
カッ!! ドチューン!! ドカーン!! ガラガラ!!
「キャーー!! 」
「うわあぁ!! 」
「痛いよ、痛いよ!! 」
「ママ~!! パパ~!! 」
「た、助けて、くれ!! 」
「オーホホホホッ、アンコにお任せ!! エリアヒール!! 」
キラキラキラ~~!!
地獄絵図だった。
嫌いな虫(羽イモムシ)を退治しようとマーナは火炎魔法を連発している。しかも見たくないのか目を瞑って、そのために魔物に当たらない。よしんば当たりかけると、マイが盾を使ってその魔法を弾き飛ばしている。そして弾かれた魔法がそこら変に当たり、外壁や門を壊している。その破片に当たった冒険者たちや街の住人が血を流して倒れている所に、アンコが女王様のように歓喜の笑い声と共に回復魔法をかけていた。
「……セトは? 」
愛しのセトが辺りに見当たらない。直ぐさまアンコに近寄り、セトの行方を聞いた。
「『虫けら如き、俺の相手ではない!! 』て言って、猫に乗ってどっかに行っちゃったわよ。」
(いや、猫じゃなくて白虎だから。)
アテムは、索敵魔法を広げてセトを探す。1キロ程先で、猫(白虎)を枕にして眠っている。さわさわとセトの髪が揺れて、周りに小石などが爆風に飛ばされ其処まで届いていた。
(セトの絹のような肌に、小石でも当たったら!! )
呆然としながらアテムは、マーナを見た。
(マーナを止めないと!! )
目を瞑り、魔法の杖を振りまくり魔法を連発しているマーナ。アテムは飛んでいる羽イモムシを両手剣を使いさっさと倒していく。遠くにいるものには、手元に魔法で火炎玉を数個作りだし羽イモムシに飛ばして燃やしていった。それこそ、あっと言う間に羽イモムシはこの場にいなくなった。
目を瞑り魔法を撃ちまくるマーナの後ろを取って、虫がいなくなった事を囁いた。
「いや、いや、イモムシ!! 」
「マーナ。もう虫はいないよ。」
「ほ、ほんと……? 」
薄っすらと目を開けて周りを見る。周りに飛んでいる羽イモムシはいなかった。
「よ、よかっ~た~。」
へなへなと、その場に崩れ落ちた。
「チッ、打ち止めか。」
マイは、盾を掲げて残念そうにマーナを見る。
「セトが、ドラゴンを呼んでくれればよかったのに。受けたかったぜ、ドラゴンの息吹。」
背中に盾を担ぎ、ガシガシと頭をかく。
「えっ、もう終わっちゃったの。まだ、死者蘇生、やってないのに~~!! 」
さらりと、アンコは怖いことをいった。
「みんな疲れただろう。セトの所に行って、お茶でも飲もう。」
「クッキー、クッキー!! 」
「ワタシはガッンとしたものが食べたいね。」
「ケーキ、ケーキが食べたいわ、アテム。」
「うん。ぜんぶあるからセトの所に行って食べよう。」
リクエストする幼馴染たち、先程パーティーをアテム一人を置いて出た三人とは思えない。
「みんな、支援魔法かけるから。いいかい。」
「「いいわよ。」」
「ああ。」
「支援魔法、身体強化、素早さ、ブースト。」
呆然と立ち竦む冒険者たちと街の住人たちを後目にアテムたちはセトの元に向かう。だが、誰も止めるものはいなかった。
「どうやら、勇者アテムは魔王たちをおさえてくれたようですね。」
「はい。」
イシーズは静かになった状態に、胸を撫で下ろす。
「でも……街は……半壊しました。」
死人は出ておらず、怪我人は総てアンコが回復させた。しかしマーナの暴走により街は半壊となっていた。
「全壊ではなかった事で、よしとしましょう。」
セトがドラゴンを呼んでいたら全壊でもすまなかったとギルド内にいる者たちは感じていたが 、誰も何も言わなかった。
暴走する魔王たちから護ってくれたアテム。彼はストーカーだが、やはり勇者だった。
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