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お茶の席は、ママンズと。
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「ダミアン様、あの。」
「うん、なに。」
リリースの問いかけにダミアンは微笑みながら聞いてくる。
「「何かしら? 」」
ダミアンとリリースの間には、ママンズが陣取っている。まだ二人きりで話すのはリリースにとって、恐怖であって大きな課題でもあった。
「えっと、あの…… 」
「うん。」
もじもじとリリースが問いかけると、悪魔とは思えぬ(悪魔ではないが)優しい笑顔で応えてくれるダミアン。2メートル先だが。
(笑顔が眩し過ぎる。)
「「何かしら? 」」
キラキラとした瞳をリリースに向ける、ママンズ。
(お母様、王妃様、圧が凄すぎる!! )
三人に見られる圧力に、リリースは俯いてしまう。
「えっと、その…… 」
「うん。」
「「何かしら、何かしら? 」」
(王太子殿下と話をしたいの、お母様達入って来ないで!! )
愛する子供の『恋バナ』に、興味津々のママンズであった。
(二人きりにさせて!! いや、ダメ二人きりはまだ怖い!! )
婚約解除の話をするにはママンズが邪魔、かと言って二人きりはまだまだ怖い。心の中で反するものが葛藤する。
「ダミアン様………こ、婚約のことなの…… 」
ダミアンに対する怖さがママンズの興味津々の瞳に勝った。ママンズが居なければ、失神は避けられてもその場から疾走していただろう。
「うん。大丈夫だよ、僕はリリーしか選ばないから。」
ダミアンが微笑みながら応える。
(選んで欲しくないんですけど。)
「あら、あら、あら、リリーちゃんは婚約の事が心配なのね。」
「そうよね。まだ内定で、はっきりと決まってないもの。」
ママンズが後に続く。
(えっ、まだ決まってないの。よかった。)
リリースは唇を噛み締め、ぐっと手を組んで俯いた。
(今よ。今言うのよ、婚約を無かったことにしてくれと。まだ決まってないのなら簡単よ。)
意を決して顔を上げる。
「僕には、リリーしかいないよ。」
(うっ、眩し過ぎる!! )
屈託のない笑顔をダミアンはリリースに向ける。まだあどけない十三歳の子供の顔で。(もうすぐ、十四になるが。)
「まあ、まあ、まあ、聞いたリリー。ダミアン様のお言葉。」
「あら、あら、あら、漢ねダミアン。それでこそ、我が子ですわ。」
ママンズが、嬉しそうに二人の話に入ってくる。ダミアンを真ん中に、両端からリリースを見る瞳はキラキラと輝いている。
(うっ、お母様達の圧が強すぎる!! 入って来ないで、今話中なの。)
「大丈夫よ、リリーちゃん。わたくしの中でもリリーちゃんしか、いないから。」
「そうよ、リリー。ダイアナを味方に着けて百万の味方を得たんだから。安心して。」
ママンズが笑顔を向けて、圧力をかけてくる。二人の中では既に婚約は決まっていた。
「リリーが体調を崩してダミアン様と会えないので、貴族達が文句を言っていたけど。」
「大丈夫ですわ。リリーちゃんの健康は、王家の医師団のお墨付きですわ。」
初めてダミアンとの茶会で失神した時に、王家の女性医師団に『健康優良児です』のお墨付きを貰っていた。
「リリーの健康は母である私が、保証しますわ。」
「うるさい貴族達はわたくしが、押さえておきましたわ。後は、婚約をお披露目するだけですわ。」
興奮気味に、盛り上がるママンズ。
(えっ、ええーー!! ちょ、ちょっと待って、お母様達!! )
「邪魔する者は、排除するだけです。お祖母様のように。」
ダミアンがボソリと呟いた。
(さらりと、怖いこと言ってる。死神王太子!! お祖母様て、なに!? )
「今度のダミアンの誕生日の時に、婚約の発表とリリーちゃんのお披露目をするのよ。うふふっ。」
「そうよ、リリー。後一週間の間に、ダミアン様に触れられるようになるために特訓あるのみよ。」
ママンズは燃えていた。
「リリーが僕の贈ったドレスを着て、お披露目できるよう頑張ろうね。」
にっこりと、ダミアンが微笑む。
「お披露目? 誕生日? 特訓? お祖母様? 」
(お祖母様のようにて、なに!? )
溢れる程の情報量にパニックを起こすリリース、中でもダミアンの呟きが頭の中を埋め尽くす。
「うっ、うえぇえぇ~~ん!! 」
リリースは涙をボロボロ流して、泣き出した。心の安定の為に。
「あら、あら、あら、 」
「まあ、まあ、まあ、 」
「「嬉し涙かしら? 」」
とのママンズ。
泣きじゃくるリリースを、優しく見詰めるダミアンがいた。
「うん、なに。」
リリースの問いかけにダミアンは微笑みながら聞いてくる。
「「何かしら? 」」
ダミアンとリリースの間には、ママンズが陣取っている。まだ二人きりで話すのはリリースにとって、恐怖であって大きな課題でもあった。
「えっと、あの…… 」
「うん。」
もじもじとリリースが問いかけると、悪魔とは思えぬ(悪魔ではないが)優しい笑顔で応えてくれるダミアン。2メートル先だが。
(笑顔が眩し過ぎる。)
「「何かしら? 」」
キラキラとした瞳をリリースに向ける、ママンズ。
(お母様、王妃様、圧が凄すぎる!! )
三人に見られる圧力に、リリースは俯いてしまう。
「えっと、その…… 」
「うん。」
「「何かしら、何かしら? 」」
(王太子殿下と話をしたいの、お母様達入って来ないで!! )
愛する子供の『恋バナ』に、興味津々のママンズであった。
(二人きりにさせて!! いや、ダメ二人きりはまだ怖い!! )
婚約解除の話をするにはママンズが邪魔、かと言って二人きりはまだまだ怖い。心の中で反するものが葛藤する。
「ダミアン様………こ、婚約のことなの…… 」
ダミアンに対する怖さがママンズの興味津々の瞳に勝った。ママンズが居なければ、失神は避けられてもその場から疾走していただろう。
「うん。大丈夫だよ、僕はリリーしか選ばないから。」
ダミアンが微笑みながら応える。
(選んで欲しくないんですけど。)
「あら、あら、あら、リリーちゃんは婚約の事が心配なのね。」
「そうよね。まだ内定で、はっきりと決まってないもの。」
ママンズが後に続く。
(えっ、まだ決まってないの。よかった。)
リリースは唇を噛み締め、ぐっと手を組んで俯いた。
(今よ。今言うのよ、婚約を無かったことにしてくれと。まだ決まってないのなら簡単よ。)
意を決して顔を上げる。
「僕には、リリーしかいないよ。」
(うっ、眩し過ぎる!! )
屈託のない笑顔をダミアンはリリースに向ける。まだあどけない十三歳の子供の顔で。(もうすぐ、十四になるが。)
「まあ、まあ、まあ、聞いたリリー。ダミアン様のお言葉。」
「あら、あら、あら、漢ねダミアン。それでこそ、我が子ですわ。」
ママンズが、嬉しそうに二人の話に入ってくる。ダミアンを真ん中に、両端からリリースを見る瞳はキラキラと輝いている。
(うっ、お母様達の圧が強すぎる!! 入って来ないで、今話中なの。)
「大丈夫よ、リリーちゃん。わたくしの中でもリリーちゃんしか、いないから。」
「そうよ、リリー。ダイアナを味方に着けて百万の味方を得たんだから。安心して。」
ママンズが笑顔を向けて、圧力をかけてくる。二人の中では既に婚約は決まっていた。
「リリーが体調を崩してダミアン様と会えないので、貴族達が文句を言っていたけど。」
「大丈夫ですわ。リリーちゃんの健康は、王家の医師団のお墨付きですわ。」
初めてダミアンとの茶会で失神した時に、王家の女性医師団に『健康優良児です』のお墨付きを貰っていた。
「リリーの健康は母である私が、保証しますわ。」
「うるさい貴族達はわたくしが、押さえておきましたわ。後は、婚約をお披露目するだけですわ。」
興奮気味に、盛り上がるママンズ。
(えっ、ええーー!! ちょ、ちょっと待って、お母様達!! )
「邪魔する者は、排除するだけです。お祖母様のように。」
ダミアンがボソリと呟いた。
(さらりと、怖いこと言ってる。死神王太子!! お祖母様て、なに!? )
「今度のダミアンの誕生日の時に、婚約の発表とリリーちゃんのお披露目をするのよ。うふふっ。」
「そうよ、リリー。後一週間の間に、ダミアン様に触れられるようになるために特訓あるのみよ。」
ママンズは燃えていた。
「リリーが僕の贈ったドレスを着て、お披露目できるよう頑張ろうね。」
にっこりと、ダミアンが微笑む。
「お披露目? 誕生日? 特訓? お祖母様? 」
(お祖母様のようにて、なに!? )
溢れる程の情報量にパニックを起こすリリース、中でもダミアンの呟きが頭の中を埋め尽くす。
「うっ、うえぇえぇ~~ん!! 」
リリースは涙をボロボロ流して、泣き出した。心の安定の為に。
「あら、あら、あら、 」
「まあ、まあ、まあ、 」
「「嬉し涙かしら? 」」
とのママンズ。
泣きじゃくるリリースを、優しく見詰めるダミアンがいた。
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