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免許皆伝。
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リリースは王太子ダミアンの黒い瞳を見て、美しいカーテシーを取った。
「お久しぶりでございますダミアン王太子殿下。ロジック侯爵の娘、リリースでございます。」
ゆっくりと顔をあげて、再び王太子の瞳を見つめる。にっこりと笑って見せた。
「見事ですわ!! リリー。」
「「「素晴らしいです、リリースお嬢様!! 」」」
等身大のダミアン王太子の絵姿の前で、リリースは見事に挨拶をして見せた。気を失うこともなく悲鳴さえあげず、余裕のヨッちゃんににっこり微笑みさえ浮かべてみせる。
(どう、これぞ特訓成果!! )
「これで、これで、王太子殿下とお話ができますね、お母様。」
「ええ、もちろんですとも。」
「「「宜しゅうございました、お嬢様。」」」
リリースの弾けるような笑顔に、母もメイド達も笑顔で応えた。
「免許皆伝よリリー。早速、来週の顔見せに伺うと城に連絡を入れましょう。」
「はい、お母様。」
母ナタリアは早速手紙を用意し、従者を城に走らせた。
(これで勝ったも同然、話さえ出来れば中防なんて敵ではないわ。)
リリースは嬉しくて、その場でドレスの裾を持ってくるくると回る。体全身で喜びが迸る。
「まあ、まあ、まあ、それほど嬉しいのですね。リリー。」
「はい、お母様。リリーは、早く王太子殿下とお会いしたいです。」
(婚約解消よ!! )
「「「まあ、お嬢様。直にお会い出来ますわ。」」」
母もメイドも、リリースのはしゃぎように感涙する。そして目を交わし頷きあった。
(リリー、その思い母が必ずダミアン殿下に届けて見せますわ。)
(((可愛いお嬢様、私達メイドも力の限り応援してみせます。)))
婚姻の外堀が、健気なリリースの姿に燃え上がる。リリースは自分の事で頭がいっぱいで気がつかない。
「早く、来週にならないかしら~。」
(アラサーの頭脳で、ころころ転がして婚約解消をもぎ取って見せるわ。大人の魅力に、メロメロになるがいいわ、死神王太子。)
高校生迄の頭脳しかないのと、メロメロにしてはいけないことにリリースは気がつかない。やはり彼女は頭のよい高校生ではなかったようだ。
「お久しぶりでございます、ダミアン王太子殿下。」
リリースは等身大の王太子殿下の絵姿の前で、美しい挨拶をしてみせる。
「もう、完璧ですわ。」
「「「さすがですわ、お嬢様!! 」」」
父と兄のいる居間にお茶を飲みに来て、扉を開けたところに等身大の絵姿があった。目の前に急に現れた王太子にも、リリースは気を失うこともなく悲鳴を上げることもなく微笑んで挨拶をして見せた。
「「リリー…… 」」
父と兄は、悲しそうにリリースを見つめた。リリースLOVEの二人は、最近リリースにかまってもらえないことに寂しい思いをしていた。
「リリーが、リリーが、遠くへ行ってしまう…… 」
「父上…… 」
二人は手を取り合って慰めあった。
「リリー、王太子殿下からドレスが届いたのよ。誕生日会の。」
母ナタリアは、嬉しそうに声を弾ませた。メイド達もにこにこ笑顔でリリースを見ている。
(えっ、ドレス? ドレスって自分の色を送るのよね。黒、黒のドレスなの!? )
リリースは王太子殿下の黒髪に黒目を想像して、黒以外の色は考えられなかった。
(葬式か!! )
一人突っ込みをするリリース。
トルソーに飾られたドレスが運び込まれてくる。黒いドレスである。
(なにこれ、なにこれ、か、か、 )
「かわいい~~!! 」
ふりふりのぶりぶりのレースのついた可愛らしいドレスであった。黒を貴重にしていたが、所々白いレースが可愛いらしさを醸し出している。
「かわいい、かわいい~~!! 」
(いわゆるゴスロリ? 黒ロリ? いゃ~ぁん、かわいい~~い!! )
大興奮のリリースであった。
王太子殿下からの贈り物に興奮していると思える姿に、父と兄は消沈し母とメイド達は笑顔でリリースを見守っていた。
「嬉しいな、リリー。」
可愛い黒ロリドレスの後ろから、声と共に黒髮に黒い瞳の王太子殿下の絵姿が。
「気に入ってくれて、凄く嬉しい。」
はにかみながら微笑む。
(絵姿が喋っている。)
リリースの動きが止まった。
(否、生の本物。略して、生本。)
きゅう~(失神)
リリースは意識を手放した。
「お久しぶりでございますダミアン王太子殿下。ロジック侯爵の娘、リリースでございます。」
ゆっくりと顔をあげて、再び王太子の瞳を見つめる。にっこりと笑って見せた。
「見事ですわ!! リリー。」
「「「素晴らしいです、リリースお嬢様!! 」」」
等身大のダミアン王太子の絵姿の前で、リリースは見事に挨拶をして見せた。気を失うこともなく悲鳴さえあげず、余裕のヨッちゃんににっこり微笑みさえ浮かべてみせる。
(どう、これぞ特訓成果!! )
「これで、これで、王太子殿下とお話ができますね、お母様。」
「ええ、もちろんですとも。」
「「「宜しゅうございました、お嬢様。」」」
リリースの弾けるような笑顔に、母もメイド達も笑顔で応えた。
「免許皆伝よリリー。早速、来週の顔見せに伺うと城に連絡を入れましょう。」
「はい、お母様。」
母ナタリアは早速手紙を用意し、従者を城に走らせた。
(これで勝ったも同然、話さえ出来れば中防なんて敵ではないわ。)
リリースは嬉しくて、その場でドレスの裾を持ってくるくると回る。体全身で喜びが迸る。
「まあ、まあ、まあ、それほど嬉しいのですね。リリー。」
「はい、お母様。リリーは、早く王太子殿下とお会いしたいです。」
(婚約解消よ!! )
「「「まあ、お嬢様。直にお会い出来ますわ。」」」
母もメイドも、リリースのはしゃぎように感涙する。そして目を交わし頷きあった。
(リリー、その思い母が必ずダミアン殿下に届けて見せますわ。)
(((可愛いお嬢様、私達メイドも力の限り応援してみせます。)))
婚姻の外堀が、健気なリリースの姿に燃え上がる。リリースは自分の事で頭がいっぱいで気がつかない。
「早く、来週にならないかしら~。」
(アラサーの頭脳で、ころころ転がして婚約解消をもぎ取って見せるわ。大人の魅力に、メロメロになるがいいわ、死神王太子。)
高校生迄の頭脳しかないのと、メロメロにしてはいけないことにリリースは気がつかない。やはり彼女は頭のよい高校生ではなかったようだ。
「お久しぶりでございます、ダミアン王太子殿下。」
リリースは等身大の王太子殿下の絵姿の前で、美しい挨拶をしてみせる。
「もう、完璧ですわ。」
「「「さすがですわ、お嬢様!! 」」」
父と兄のいる居間にお茶を飲みに来て、扉を開けたところに等身大の絵姿があった。目の前に急に現れた王太子にも、リリースは気を失うこともなく悲鳴を上げることもなく微笑んで挨拶をして見せた。
「「リリー…… 」」
父と兄は、悲しそうにリリースを見つめた。リリースLOVEの二人は、最近リリースにかまってもらえないことに寂しい思いをしていた。
「リリーが、リリーが、遠くへ行ってしまう…… 」
「父上…… 」
二人は手を取り合って慰めあった。
「リリー、王太子殿下からドレスが届いたのよ。誕生日会の。」
母ナタリアは、嬉しそうに声を弾ませた。メイド達もにこにこ笑顔でリリースを見ている。
(えっ、ドレス? ドレスって自分の色を送るのよね。黒、黒のドレスなの!? )
リリースは王太子殿下の黒髪に黒目を想像して、黒以外の色は考えられなかった。
(葬式か!! )
一人突っ込みをするリリース。
トルソーに飾られたドレスが運び込まれてくる。黒いドレスである。
(なにこれ、なにこれ、か、か、 )
「かわいい~~!! 」
ふりふりのぶりぶりのレースのついた可愛らしいドレスであった。黒を貴重にしていたが、所々白いレースが可愛いらしさを醸し出している。
「かわいい、かわいい~~!! 」
(いわゆるゴスロリ? 黒ロリ? いゃ~ぁん、かわいい~~い!! )
大興奮のリリースであった。
王太子殿下からの贈り物に興奮していると思える姿に、父と兄は消沈し母とメイド達は笑顔でリリースを見守っていた。
「嬉しいな、リリー。」
可愛い黒ロリドレスの後ろから、声と共に黒髮に黒い瞳の王太子殿下の絵姿が。
「気に入ってくれて、凄く嬉しい。」
はにかみながら微笑む。
(絵姿が喋っている。)
リリースの動きが止まった。
(否、生の本物。略して、生本。)
きゅう~(失神)
リリースは意識を手放した。
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