私の婚約者は、今日も楽しい。

❄️冬は つとめて

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三度目の出逢いは、お茶会で。

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「落ち着け、落ち着くのよ。」
リリースは馬車の中で、自分に叱咤する。

「相手はただの十三歳、中坊よ。私は十七歳の記憶がある、高校生よ。リリースの歳を足したら、アラサーよ!! 中坊なんて、恐るるに足りないわ。」
産まれた時から記憶があるなら別だが、前世と現在の歳を足しても十七以上の知識は無いからアラサーにはなりえない。リリースはそのことが分かってなかった、あまり賢い高校生ではなかったようだ。

今日は王城で王太子との週一回のお茶会(顔見せ)である。だが、あの日(御見舞で合った日)から仮病や仮病を使ってお茶会をスルーして登城をしてなかった。あれから半年、いい加減登城しなければ侯爵家が危ない。

「怖くないわ、怖くない。」
城の王太子との茶会の間に通されて、ソファに座って待っている。少し遅くなるという連絡が、覚悟を決めてやって来た出鼻を挫かれる。刻々と時間が過ぎる、ドキドキと鼓動が高鳴る。

リリースは、息苦しくなり目眩がしそうだった。

(相手は中坊よ。余裕よ、余裕。怖くなんかないわ、私は乙女ゲームのプロなんだから。)
自分の方が年上と言う事しか、リリースには拠り所がなかった。気を紛らわそうと、キョロキョロと周りを見る。キラキラとこぼれ日が、レースのカーテンから部屋の中の光を揺らす。その光に導かれるようにリリースは立ち上がった。

テラスへの扉を開けると爽やかな春風かリリースの金の髪を揺らす。庭の木々の若葉が、風に揺れている。

「うわ~、綺麗。」
リリースは思いっきり、深呼吸をした。少し、鼓動がおさまったように感じる。

「そうよ。はっきり婚約を解消をお願いするのよ、その為に来たんだから。」
何時までも逃げている訳にはいかなかった、婚約者である王太子と合わないなど王家への侮辱と捉えられても仕方がない。

「お互いの為にも、ここはすっぱり別れたほうがいいのよ。」
(どうせ、数年後には運命のヒロインが現れてふらふらと浮気をするんだから。)
リリースはレースのカーテンを握りしめた。

(挙げ句、私を絞首刑でぶら下げるのよ!! 浮気男のくせに、最低ーー!! )


コンコン。

「リリー、僕だけど開けるよ。」
王太子はお茶会の部屋の扉を叩いた。返事が無いことを不思議に思いながら、扉を開く。

「あれ? リリー。」
部屋には誰もいなかった。

「リリーは、どこに? 」
王太子は後に控える従者に聞いた。

「おられませんか? 部屋から出てはおられませんが。」
部屋の扉の前に立っていた従者が、リリースは扉から出てはいないと王太子に応えた。

「テラスの扉が開いている。外に出たのかな? 」
テラスの扉が開いていて、そこから風が入りレースのカーテンを揺らしていた。

「探しますか。」
後に控える護衛騎士達が王太子に問いかける。王太子は首を振った。
「リリーは、僕と隠れんぼをしたいんだ。僕に見つけて欲しいんだと思う。」

(うんな訳ないわよ!! )
リリースは王太子の声を聞いて、恐怖のあまり咄嗟に分厚いカーテンの裾に隠れてしまった。

「でも、城内以外に行かれたら探すのに時間がかかるから出入り口は封鎖するよう連絡を。」
「「はっ。」」

(ちょっと待って、今出るから。大事にしないで。)
しかし、王太子が怖いあまりに体が言う事を聞かない。

(立て、立つのよリリース。)
リリースは、体に激励を飛ばす。

パタン。
扉の閉まる音が聞こえた。

(待って、行かないで!! )
だが声は出ない。体は正直だった、王太子がいなくなったと思った途端立ち上がる。

分厚いカーテンから出て来て、部屋の扉へと顔を向ける。

「みーつけた。」
リリースの後ろから。

ドキッ!!
ツッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 完
御清覧ありがとうございました。
       (嘘です。) 










リリースは気を失って、その場に倒れた。

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