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第一幕、二幕の幕が上がる。 ※詳しくは初回の方をお読み下さい。
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第一幕の幕開けに、セルビィはアラン達に深く礼を取った。
「ご機嫌宜しく、王太子殿下。」
恭しく頭を下げる。髪を纏める髪飾りの緑色の宝石が輝く。
「これはどう言う事だ、セルビィ!! 」
「姉上は、来ません。」
憤るアランにセルビィは、はっきりと言った。
「何を言っている? お前が、責任持って連れてくると言ったではないか!! 」
レイモンドが、怒鳴った。
「姉上を糾弾しょうとする場所に、僕が連れて来るはずは無いでしょう。」
セルビィは、くすくすと美しい笑顔で笑った。その姿は、姉セルビアを思い出させる。
「裏切ったのですか? 」
「神の意に、背くのですか? 」
エリックの後に、シモンが続いた。
「何を言っているのです? 僕が裏切るはずは無いでしょう。」
ひと呼吸置く。
「姉上を。」
セルビィは、首を傾げて微笑んだ。
そして、
「今日をもって、我が姉セルビアとアラン王太子殿下との婚約破棄を。此処に、宣言します!! 」
戸惑いながら憤るアラン達と会場内にいる貴族子女達に向かって高らかに宣言をした。
突然の婚約破棄の宣言に、会場の貴族子女達はザワめいた。
「ああ、それと。姉上セルビアの名誉の為に、言っておきますが。」
くすくすと、笑いながら。
「王太子殿下、姉上は貴方の事を『これっぽっち』も、好きではありませんでした。」
右手の親指と人差し指をくっ付けて、王太子の目の前で見せる。一ミリの隙間も無い。貴族子女達の前でセルビィはアランをこけおろす。
「ばっ、馬鹿な!! あいつは私とフローネに嫉妬して、彼女を虐めていたのだ!! 」
セルビアが自分に惚れていたと騒ぐアランに、惚れられる要素が無いとセルビィは貴族子女の前で語り出す。
それでも足掻くアラン達はよせばいいのに、ランドール家を横領で追求しようとする。その事に対してもセルビィはきっぱりと斬って捨てた。
「伯爵令嬢の、アイリーン様。リリアナ様。テレジア様から、貴方方とは婚約を破棄させて頂きますと伝言を頼まれてました。」
思い出したように言うセルビィ。またもや、会場内はザワめいた。
「理由は、姉上と同じです。」
セルビィは、きっぱりと言った。
「簡単に言うと、三下り半ですね。」
セルビィは、爽やかに微笑んだ。そして、忘れていたと手を合わす。
「ああ其れと『尻軽さんと、お幸せに。』とも言っておられました。」周りの貴族子女達から クスクス と、笑い声が漏れる。
令息からは、婚約者に捨てられた哀れな男達と。令嬢達からは、いくら顔が良くても地位があっても余りにも残念な王太子達の婚約者には御免被ると。皆が皆『フローネさんと、お幸せに。』と心の底から想っていた。
第一幕の幕が降り、用は済んだとばかり帰ろうとするセルビィのその腕を掴んで会場内へとレイモンドは引き戻した。
乱暴に引き飛ばされセルビィは、床に投げ出された。
「何事だ。」
階段とは反対側の天幕の方から声が上がった。其所に現れたのは、国王陛下と、宰相 軍事総長 聖教長の四人であった。
第二幕の幕開けだった。
「婚約破棄だと? そんな事は、聞いてない。」
王は、セルビィに問いただした。
「今朝方、父上が国王陛下に信書を送らせてもらいましたが。」
片手を胸に当てて、下から王を見上げる。
「まだ、お読みになられてない? 」
冷たい目で、セルビィは王を見詰める。
「公爵家の信書を。まだ、お読み下されてないのですか? 」
セルビィは、国王陛下に冷ややかに言葉を発した。
その声は、凍て付く風の様に大広間に響いた。
「有事でも、有りましたでしょうか? 」
公爵家の信書は、着いた時点で陛下へと届けられる。有事以外で、それが滞る事は許されない。
セルビィはその事を国王陛下に問い詰め、庇う三公を息子と同じ様にこけおろす。
会場内に、険悪な雰囲気が流れる。今年十六歳の少年が、親と同じ年の者を口で凌駕している。其れも、国の中枢にいる者を。
そして、セルビィは核心を話し出した。姉セルビア達の婚約破棄を。
「『豪の者』の公爵家の些細な信書には、王太子殿下と公爵家の御子息と。我が姉と伯爵令嬢との、婚約破棄のお願いを書き連ねさせて頂きました。」
セルビィは、首を傾げ女性の様に口元を手で隠した。
「国王陛下には、取るに足らない公爵家の『豪の者』との婚約破棄です。もちろん、認めて頂けますね。」
セルビィの下から来る言い方に、国王は顔を歪めた。
「と、言いましても。『豪の者』の名誉為に、言わせて貰います。この婚約破棄を望まれたのは、王太子殿下と公爵家の御子息で有ります。」
セルビィは婚約破棄を望んだのは、自分達で無いことを誇張する。
「故に、国家が決めた婚約を我々が反故にした訳では無い事を、御理解して頂きたく。国王陛下。」
アラン王太子の『真実の愛』をあげ連ね、姉の苦悩を言葉にする。
「どうぞ、姉達を哀れとお想いに下さり。この婚約破棄を、認めて下さる事をこのセルビィ頭を下げて御願い致します。」
セルビィは、深々と頭を下げた。
「うむ、あい判った。」
セルビィは にやり と、笑った。その顔は、その場の者達には見えなかった。
「国王陛下、伯爵令嬢の方々の婚約破棄も。」
「むろん、よいな。」
「「「はい。」」」
三公は、国王の言葉に返事を返す。会場内が『ワアッ』と、沸き上がった。王太子達と、フローネは手を叩いて喜んでいた。
正式に王太子殿下と三公の令嬢達との婚約破棄を認めた事で、第二幕の幕は降りた。
此処は、公の場であり覆す事が出来ない婚約解消である。
「有難う御座います、国王陛下。」
セルビィは心の中で、笑いが止まらなかった。
次に第三幕の幕が、上がりだした。
「ご機嫌宜しく、王太子殿下。」
恭しく頭を下げる。髪を纏める髪飾りの緑色の宝石が輝く。
「これはどう言う事だ、セルビィ!! 」
「姉上は、来ません。」
憤るアランにセルビィは、はっきりと言った。
「何を言っている? お前が、責任持って連れてくると言ったではないか!! 」
レイモンドが、怒鳴った。
「姉上を糾弾しょうとする場所に、僕が連れて来るはずは無いでしょう。」
セルビィは、くすくすと美しい笑顔で笑った。その姿は、姉セルビアを思い出させる。
「裏切ったのですか? 」
「神の意に、背くのですか? 」
エリックの後に、シモンが続いた。
「何を言っているのです? 僕が裏切るはずは無いでしょう。」
ひと呼吸置く。
「姉上を。」
セルビィは、首を傾げて微笑んだ。
そして、
「今日をもって、我が姉セルビアとアラン王太子殿下との婚約破棄を。此処に、宣言します!! 」
戸惑いながら憤るアラン達と会場内にいる貴族子女達に向かって高らかに宣言をした。
突然の婚約破棄の宣言に、会場の貴族子女達はザワめいた。
「ああ、それと。姉上セルビアの名誉の為に、言っておきますが。」
くすくすと、笑いながら。
「王太子殿下、姉上は貴方の事を『これっぽっち』も、好きではありませんでした。」
右手の親指と人差し指をくっ付けて、王太子の目の前で見せる。一ミリの隙間も無い。貴族子女達の前でセルビィはアランをこけおろす。
「ばっ、馬鹿な!! あいつは私とフローネに嫉妬して、彼女を虐めていたのだ!! 」
セルビアが自分に惚れていたと騒ぐアランに、惚れられる要素が無いとセルビィは貴族子女の前で語り出す。
それでも足掻くアラン達はよせばいいのに、ランドール家を横領で追求しようとする。その事に対してもセルビィはきっぱりと斬って捨てた。
「伯爵令嬢の、アイリーン様。リリアナ様。テレジア様から、貴方方とは婚約を破棄させて頂きますと伝言を頼まれてました。」
思い出したように言うセルビィ。またもや、会場内はザワめいた。
「理由は、姉上と同じです。」
セルビィは、きっぱりと言った。
「簡単に言うと、三下り半ですね。」
セルビィは、爽やかに微笑んだ。そして、忘れていたと手を合わす。
「ああ其れと『尻軽さんと、お幸せに。』とも言っておられました。」周りの貴族子女達から クスクス と、笑い声が漏れる。
令息からは、婚約者に捨てられた哀れな男達と。令嬢達からは、いくら顔が良くても地位があっても余りにも残念な王太子達の婚約者には御免被ると。皆が皆『フローネさんと、お幸せに。』と心の底から想っていた。
第一幕の幕が降り、用は済んだとばかり帰ろうとするセルビィのその腕を掴んで会場内へとレイモンドは引き戻した。
乱暴に引き飛ばされセルビィは、床に投げ出された。
「何事だ。」
階段とは反対側の天幕の方から声が上がった。其所に現れたのは、国王陛下と、宰相 軍事総長 聖教長の四人であった。
第二幕の幕開けだった。
「婚約破棄だと? そんな事は、聞いてない。」
王は、セルビィに問いただした。
「今朝方、父上が国王陛下に信書を送らせてもらいましたが。」
片手を胸に当てて、下から王を見上げる。
「まだ、お読みになられてない? 」
冷たい目で、セルビィは王を見詰める。
「公爵家の信書を。まだ、お読み下されてないのですか? 」
セルビィは、国王陛下に冷ややかに言葉を発した。
その声は、凍て付く風の様に大広間に響いた。
「有事でも、有りましたでしょうか? 」
公爵家の信書は、着いた時点で陛下へと届けられる。有事以外で、それが滞る事は許されない。
セルビィはその事を国王陛下に問い詰め、庇う三公を息子と同じ様にこけおろす。
会場内に、険悪な雰囲気が流れる。今年十六歳の少年が、親と同じ年の者を口で凌駕している。其れも、国の中枢にいる者を。
そして、セルビィは核心を話し出した。姉セルビア達の婚約破棄を。
「『豪の者』の公爵家の些細な信書には、王太子殿下と公爵家の御子息と。我が姉と伯爵令嬢との、婚約破棄のお願いを書き連ねさせて頂きました。」
セルビィは、首を傾げ女性の様に口元を手で隠した。
「国王陛下には、取るに足らない公爵家の『豪の者』との婚約破棄です。もちろん、認めて頂けますね。」
セルビィの下から来る言い方に、国王は顔を歪めた。
「と、言いましても。『豪の者』の名誉為に、言わせて貰います。この婚約破棄を望まれたのは、王太子殿下と公爵家の御子息で有ります。」
セルビィは婚約破棄を望んだのは、自分達で無いことを誇張する。
「故に、国家が決めた婚約を我々が反故にした訳では無い事を、御理解して頂きたく。国王陛下。」
アラン王太子の『真実の愛』をあげ連ね、姉の苦悩を言葉にする。
「どうぞ、姉達を哀れとお想いに下さり。この婚約破棄を、認めて下さる事をこのセルビィ頭を下げて御願い致します。」
セルビィは、深々と頭を下げた。
「うむ、あい判った。」
セルビィは にやり と、笑った。その顔は、その場の者達には見えなかった。
「国王陛下、伯爵令嬢の方々の婚約破棄も。」
「むろん、よいな。」
「「「はい。」」」
三公は、国王の言葉に返事を返す。会場内が『ワアッ』と、沸き上がった。王太子達と、フローネは手を叩いて喜んでいた。
正式に王太子殿下と三公の令嬢達との婚約破棄を認めた事で、第二幕の幕は降りた。
此処は、公の場であり覆す事が出来ない婚約解消である。
「有難う御座います、国王陛下。」
セルビィは心の中で、笑いが止まらなかった。
次に第三幕の幕が、上がりだした。
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