悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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セルビィの提案。

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ナルトとロレンスが、今までの経緯を話した。
『豪の者』が、オースト国を見限り国を出ることを。『リオル』が、兄を見限り新たなる国を作ることを。護りの要の『豪の者』がいなくなることで、『リオル』はオースト国を手に入れることを。

「皆様の為に、屈辱に耐えていたリオル様の男らしさ。男泣きに泣いた、リオル様は素敵でした。」
セルビィは、将軍達に訴える。

「解るわ、リオルさまの涙を考えると きゅんきゅんきちゃう。」
お姉さまは、身悶える。

「お姉様。リオル様の為に、ひと肌脱いで下さいますか? 」
「脱いじゃう、脱いじゃう。全部、脱いじゃう。」
「「全部脱がなくて、結構です!! 」」
お姉さまは、乙女の顔をリオルに向け うっとりと見詰める。
リオルとロレンスは、叫んだ。
リオル達は、テーブルで将軍達の間を維持していた。四人でみっちりと、三人掛けのソファに座っている。対する将軍達の三人も先程からみっちりと、三人掛けのソファに座っている。横の二人掛けのソファに、セルビィとお姉さまが座っていた。二人は、手を握り会いリオルを賛美していた。

((嘘つけ、さっきまでお菓子を食べてたクセに!! ))
ナルトとロビンは、突っ込みたかった が 我慢した。

「セルビィちゃんも頑張ったのね。お姉さま、褒めてあげるわ。良い子、良い子。」
お姉さまは、セルビィの頭をなでなでする。
「お姉様。僕、姉様達の為に頑張りました。」
うるうると瞳を向ける。

「あん。美しい姉妹愛、素敵。」
お姉さまは、セルビィを抱き締めた。セルビィも、抱き付いた。
「もう。あたしも、セルビィちゃんのお姉さまになりたい。」
「お姉様は、お姉様です。」
「嬉しい。あたし、セルビィちゃんのお姉さまになっちゃった。」
「僕も、お姉様が増えて嬉しいです。」
セルビィとお姉さまは、何かと気があっていた。きゃいのきゃいのと、乙女の様にはしゃいでいる。

(セルビィの将来は……。)
ナルトは、お姉さま将軍を見て震えた。そして心に、訴える。
(大丈夫だ。絶対に、大丈夫。)
だが、心配でならなかった。
「おい、セルビィの事を心配している場合ではないぞ。」
ロビンはナルトに、話し掛ける。
「じーっと、こっち見てるぞ。」
「目を合わすな、食われるぞ。」
ひそひそと、二人は話す。

三人の将軍達は じーっと、獲物を見ていた。
「死に神が、オースト国を離れますか。」
「・・・・・・楽勝。」
「手合わせ、してみたかったが。」
お兄さま、性情様、お父さまの順に話す。目は、其れ其れの意中を見詰めながら。

「でも、リオルさま。あの屑王、捨てちゃって正解よ。」
「兄王様は、屑王様です? 」
「そうなのよ、セルビィちゃん。あの屑王が、あたし達を選んだのは。リオルさまを『薔薇の世界』に引き込ませたかったからなのよ。うふふっ。」
お姉さまは、リオルにウインクをした。セルビィは、首を傾げた。
「『薔薇の世界』? 」
「うふふっ。男達の『愛の世界」を『薔薇』と言うのよ。」

「『愛の世界』『薔薇』。」
セルビィは、益々首を捻る。

「あの、くそ兄貴!! 」
リオルは全身を震わせて、唸った。
兄王は、リオルを将軍達の手に寄って『薔薇の世界』に引き込もうと画策していた。リオルが『薔薇の世界』に入れば、跡継ぎ問題が無くなると考えての事だ。
あの四将軍を傍に置けば、リオルは男色の世界に目覚めると。

「いくら、息子に後を繋げたいからと!! 俺を、生け贄に差し出すか!! 」
「リオル様!! 」
「俺が何時、王になりたいと言った ロレンス。」
ロレンスは、悲しい顔をしてリオル見た。リオルは震えながら、立ち上がる。すかさず、お姉さまが抱き付いた。
「リオルさま~可哀想。あたしが、慰めてあげる~。」
「「「「ひぃ~~!! 」」」」
リオルは勿論。何故か、ナルト達も悲鳴を上げた。

「『愛の世界』『薔薇』。めくるめく『乙女の秘密』。の、世界の事なのですね ナルト様。」
「「状況を見ろ!! 」」
ナルトとロビンは、悲鳴の様に突っ込んだ。
セルビィは、状況を見た。
リオルに抱き付いているお姉さま。其れを剥がそうとしている、ロレンス。熱い眼差しで、ナルトとロビンを見詰めている三人の将軍。怯えて、小さくなっているナルトとロビン。

「修羅場? 」

セルビィは、可愛く首を傾げた。

「「お前の頭は、わいとんか!! 」」
ナルトとロビンは、叫んだ。

「お姉様、怖~い。」
セルビィは、お姉さまに縋り付いた。お姉さまも、リオルを離しセルビィを抱き留める。
「うん、もう、駄目よ。女の子泣かしちゃあ。お父さま、お兄さま、お仕置きしてよ。」
「「任された。」」

「「ぎゃあーーーーー!! 」」
お父さま達が、ナルト達に近付いてくる。お姉さまから、解き放たれたリオル共々部屋の角に追い詰められる。

「修羅場? 」

セルビィは、可愛く首を傾げた。

「「頭、わいとんか!! 助けろ!! 」」
ナルトとロビンは、叫んだ。

「冗談はさておき。」
セルビィは、手を合わせて微笑む。
「「冗談、なのか!? 」」
リオルとロレンスが ほっと、したように胸を撫で下ろした。

「あら、冗談じゃ無いわよ。」
お姉さまは、
「ほ・ん・き・よ(チュッ)。」
投げキッスをする。

「「「「ひぇ~~!! 」」」」
四人は悲鳴を上げた。

「そうして……。リオル様方四人は『めくるめく、愛の薔薇の園の乙女の秘密の世界』へと旅だったのであった まる。」
セルビィは、手を合わせて解説するのであった。
「「めくるめくって、ない!! 」」
と、ナルトとロビン。
「「セルビィ殿、お助けを!! 」」
と、リオルとロレンス。

「このままでは、策戦に支障が来すぞ!! 」
ナルトが、藁をも掴む勢いで言った。

「其れは、困ります。」
セルビィは、首を可愛く傾げると。
「お姉様達、お願いです。
他の方々を紹介いたしますので。リオル様達は、お諦めになって下さい。………今は。」
手を合わせて、お姉さま達に、提案する。








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