悪役令嬢の弟。

４人の将軍。

微妙な空気が、辺りに立ち込める。
「ロビン。貴方は、セルビィ様の駒なのですか？　」
「いえ、友達です。」
ロビンではなくセルビィが、応えた。
「僕の思い描いた様に、動いてくれる　素敵なお友達です。」
「「「いや、普通友達は　思い描いた様に　動かないから！！　」」」
三人が、同時に叫んだ。

「つまり、ロビンはセルビィ様の間者。あの立食会から、リオル様に目を付けていたと。」
「てへっ。」
ロビンとナルトは目を逸らし、セルビィは可愛らしく首を傾げた。

「リオル様は、僕に都合の　武運に優れた素晴らしい方です。」
「「「今　都合が良いと、言いかけたよな！！　」」」
三人が、突っ込んだ。
「いえ、王の器を持つ素晴らしい方です。僕は、あの時　そう思いました。」
「お前に、都合の良い素晴らしい人と思ったんだな。」
ナルトが、略して言う。
「違います。リオル様は、防波　武運に優れ、同盟を結ぶに足りる方だと思ったのです。」
「オースト国からの防波堤として、選んだと。」
ロビンが、略して言う。次々と、暴露をする二人。ロビンも、セルビィに遠慮はない。
「ははっ　リオル様は、都合の良い防波堤ですか。」
「てへっ。」
セルビィは、可愛らしく首を傾げた。

「何をしている、ロレンス。セルビィ殿に、入って貰え。」
書斎の部屋からリオルが、声をかける。
「「いえ、遠慮します。」」
ナルトとロビンは、断った。
「頼む、入ってくれ！！　俺を一人にしないでくれ！！　」
リオルは、セルビィに縋り付いた。
「でも、めくるめく『乙女の秘密の世界』の邪魔に成ります。」
「「『乙女の秘密の世界』？　」」
リオルとロレンスは、ナルト達に目を向けた。
「「聞くな！！　」」
二人は、頑なに答えを渋った。

「『乙女の秘密の世界』とは。不思議な、男同士の恋愛の世界です。」
「「話すな！！　」」
セルビィは　さらりと、応えた。其れを二人は、声を荒げて制する。
「僕は、馬に蹴られたく無いので。そっと、見守らせて頂きます。」
「「「「見守るな！！　」」」」
リオル　ロレンス　ナルト　ロビンは、同時に声を上げた。
「「違うから！！　女性が、好きだから！！　」」
リオル達は、力説して言った。

「あら～ぁ。楽しいお話をしているのね、リオルさま～。」
「ぎゃーー！！　」
リオルの後ろから、ごっつい騎士が抱きついた。リオルは、悲鳴を上げた。
「お放し下さい、マンガン将軍！！　」
「いやよ～。あたし～、リオルさま～好きだし～。」
「助けてくれ！！　ロレンス！！　」
マンガン将軍は、リオルをホールドして抱きしめる。
「ギブ、ギブ！！　」
「リオル様を殺す気ですか！！　」
リオルが降参を叫ぶが、マンガン将軍は放さない。ロレンスが、必死にマンガン将軍を説得する。
セルビィは、その様子を見て。
「修羅場？　」
可愛らしく、首を傾げた。
「「違うから！！　」」
リオル達は、同時に叫んだ。

「あら～ぁ。可愛い坊や達ね～。」
マンガン将軍は、セルビィ達を見る。ドキリと、ナルトとロビンは心臓を跳ねさせた。
「「じゃ、俺達邪魔になるので　帰ります。」」
ナルトとロビンは、踵を返した。セルビィは、首を傾げる。
「帰るぞ、セルビィ。」
声が、少し震えている。
「でも、めくるめく　」
「めくるめって、ないから。帰るぞ、セルビィ。」
セルビィは、ナルト達に背を押されながら促される。
「可愛いお嬢ちゃん～。お菓子も、あるわよ～。」
「はい。頂きます。」
「「あ、待て！！　」」
セルビィは、お菓子に釣られて書斎に入った。セルビィが、入った所為でナルト達も入らなくては行けなくなった。マンガン将軍は、ニコニコと笑っている。
「三人様～、ご案内～　うふっ。」
そう言って、リオル達を連れて書斎の扉が閉められた。

三人の将軍のいる書斎に、セルビィは入って行った。物怖じする事もなく、三人の将軍の対面のソファに座る。
お菓子を食べながら、じっと将軍を見詰める。
（父様と同じ年位かな。もう少し、上かな。）
三人の将軍は三人掛けのソファに、みっちりと詰まっていた。
（横にも二人掛けソファがあるのに、何故　みっちり？　）
セルビィは、首を傾げる。
（父様達の２倍は、あります。）
『豪の者』は美丈夫で、スレンダー体型。しかるに、アメリゴ帝国の者は難いの良いゴリゴリが　多かった。リオルとロレンスは、難いの良い体はしていたが　ゴリマッチョではなかった。

ゴリマッチョ、マンガン将軍は、リオルをホールドしたまま横の空いているソファに座った。ロレンスが、必死に引き離そうとしているが　ビクともしない。ナルト達は、渋々セルビィの隣に座った。

「自己紹介するわね。あたし、アクセル・マンガンよ。宜しくね、うふっ。」
リオルの頬をスリスリしながら、挨拶をする。リオルは、悲鳴を上げていた。
「皆から『お姉さま』て、呼ばれているわ。うふっ。」
茶色の長い髪を後ろで編んで、美しく化粧を施したゴリマッチョ、マンガン将軍は微笑んだ。
ナルトは、将来のセルビィを思ってしまった。女装が好きなセルビィ、目の前の将軍はセルビィの成れの果て。
（いや、大丈夫だ。俺達民族は、ゴリマッチョにはならない。）
ナルトは、自分の知り合いの大人達や老人達を思い出していた。

「俺は『お父様』と呼ばれている。グレート・ローマンだ。」
焦げ茶色の短髪の強面のゴリマッチョは、挨拶をする。

「私は『お兄さま』と呼ばれている。デッド・ロックスです。」
赤茶色の髪を肩まで流し、イケメンのゴリマッチョが頭を下げる。

セルビィ達は、最後のゴリマッチョを見る。黄土色の髪を跳ねさせた眠たそうな、ゴリマッチョ。
「・・・・・・、ジョージ・クレムス。」
「「あだ名は、ないんかい！！　」」
つい、ナルトとロビンは　突っ込んだ。