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戦々恐々。
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「では、話を 最初に戻しましょう。」
そう言って、セルビィはお茶のカップを両手で掴んだ。可愛らしく、お茶を飲む。
(あざとい。)
ナルトは思った。セルビィの『あざとさ』は、もう癖に成っているのだと。
「でも、良かったです。フレックス侯爵様が、了解して下されて。」
セルビィは、可愛らしく微笑んだ。
「此で、手荒なことはしなくて済みます。」
微笑む。その場にいる者が、凍った。
「て、手荒な事とは。」
勇者が、言葉を掛ける。
(((聞くなよ。)))
勇者 ビウェル以外、内心突っ込んだ。若さ故の勇気か、過ちか。
「秘密です。」
セルビィは、人差し指を唇にあてて くすくす と、可愛らしく微笑んだ。
心臓を捕まれた、その可愛らしい仕草に心を。
ではない。
心臓に爪を立てられ、命の危機さえ感じられる。
勇者は、己の敗北を確信した。
(怖い。)
体が、震えた。
(これが、父上の感じている 恐怖か。)
得体の知れない化け物の、恐怖をビウェルは感じた。
「最初の話とは? 」
ジャックが勇気を出して、話を反らすためにセルビィに聞いて来る。セルビィは、ジャックに目を向けた。
「チャイニ国内の、豪の者の事です。」
「ああ、そうでした。救出成されるので。」
「はい。辛い思いをさせました。」
セルビィは、目を伏せて手を合わせた。
「でも、チャイニ国の脂肪侯爵様が 良い事を成されましたので 機会かと。」
「チャイニ国の脂肪? 」
ビルケンとジャックは、頭を捻る。
「ドービル侯爵、です。」
ビウェルが、言った。
「あの、で ドービル侯爵ですか。」
ジャックは、ふくよかなドービル侯爵を思い出した。
「確か、令嬢達に失礼な事を言ったと聴いたが。」
ビルケンは、息子を見る。ビウェルは、首を傾げた。
「其れが何故、良いことをしたと? 」
「セルビィに、取って良いことだ。」
ナルトは、頭を抱えながら言った。
「はい。とても良い、働きをしてくれましたので。謝罪だけで、許して上げたのです。」
セルビィは慈愛の天使の様に、微笑んだ。
「今頃、チャイニ国の王都では豪の者を手放したいと思っている事でしょう。」
「其れは、どう言う。」
其処にいる者は、セルビィを見る。
「脂肪様の御陰で、チャイニ国に父様達が どれ程憤怒しているか知れ渡ったことでしょう。」
「セルビィ、お前。」
「彼等は、いつ父様達が攻め入ってくるか 戦々恐々としているでしょう。」
くすくす と、笑う。
「勿論、豪の者に無体なことをした者も『地の果てまで追い掛けて、断罪してやる。』との言葉を付け加えさして貰いました。」
笑う。
「今頃、豪の者をお持ちの方々は 途方に暮れていることでしょう。
消すことも、手放すことも出来ず。」
セルビィは、冷たく微笑み冷たく言葉を紡ぎ出す。
其れは、セルビィの心の底の怒りの様で有った。
「今なら、安く手に入るでしょう。」
セルビィは、持ってきたノートをジャックに差し出す。
「チャイニ国にいる、豪の者のリストです。」
ナルトは、驚いた。
「お前、いつの間に。」
セルビィは、チャイニ国に売られた者達の居場所を 総て調べさせていた。
何時の日にかきっと、取り戻す為に。彼は味方には、限りなく優しかった。
(仕事使いは、荒いがな。)
ナルトは、震えた。
どれだけの人員を、チャイニ国に忍ばせているのか。
(此奴、ロビン以外にも沢山 友達を手に入れていたからな。)
ナルトは、溜息を付いた。
(セルビィの情報源は、これか。)
多分、他の国もセルビィの友達は沢山 忍んでいるのであろう。
「参った。」
ナルトは、声を出して笑った。セルビィは、急に笑いだしたナルトを きょとんとした顔で見ていた。
(((て、敵に、成らなくって 良かった。)))
三人は セルビィの洞察力に、驚愕する。そして、心の底から安堵した。
だが、ビルケンは組織の長として 是だけは聞かなくてはならなかった。
「この国を、見限るとして 俺達は何処に行くのだ。」
セルビィは、一瞬目を開き細めた。
「安心して下さい。流浪の民には、成りません。」
セルビィは、ビルケン達に優しく微笑んだ。
そして、数日後。
ルナの大地の外れに出来た国を見て、ビルケンとジャックは驚愕するので有った。
セルビィが、フレックス侯爵家を訪れている間。
セルビアと令嬢達は、何時ものお茶会を開いていた。
「ねえ、どう思う。」
リリアナが、言った。
「そうですわね。」
アイリーンが、頰に手をあて首を傾げる。
「少し、見方が変わりましたわ。」
テレジアが、頷く。
「何の事? 」
セルビアは、お茶を飲んだ。
「セルビィ君の事よ。」
「びっくり、しました。」
「ええ、怖いくらい。」
「何を言ってるの? セルビィは、優しいわよ。」
リリアナは、セルビアに詰め寄った。
「確かに、私達には優しいわよ。でも、私はあの時 セルビィ君の笑顔の下に悪魔を見たわ。」
「セルビィは、天使よ。」
「だとしても、糾弾の天使です。」
「罪を裁く、恐ろしい天使よ。」
口々に令嬢達は、セルビィを言葉に表す。
立食会で、ドービル侯爵を攻め落とす姿は。恐ろしいモノが有った。
冷ややかな目、追い詰める言葉。セルビィの闇の部分を少し 垣間見た令嬢達は驚愕していた。
「セルビィは、天使よ。」
一人、現実を見ようとしない者がいた。
「娼館も知らない、ピュアな天使よ。」
セルビアは、否定する。
「「「其れは、セルビアの教育でしょう!! 」」」
三人は、声にだしていった。
「だって、だって、汚れて欲しく無かったんだもん。」
セルビアは、頰を膨らました。
「確かに、其方の方は汚れて無いかも知れませんけど。」
「他の部分は、如何かしら。」
「真っ黒けよ。」
「違うわ!! セルビィは、セルビィは、真っ白の天使よ!! 」
どうしても、見留めたくないセルビアが此処にいた。
しかし、彼女らは近いうちに セルビィの現実を知る事に成る。
そう言って、セルビィはお茶のカップを両手で掴んだ。可愛らしく、お茶を飲む。
(あざとい。)
ナルトは思った。セルビィの『あざとさ』は、もう癖に成っているのだと。
「でも、良かったです。フレックス侯爵様が、了解して下されて。」
セルビィは、可愛らしく微笑んだ。
「此で、手荒なことはしなくて済みます。」
微笑む。その場にいる者が、凍った。
「て、手荒な事とは。」
勇者が、言葉を掛ける。
(((聞くなよ。)))
勇者 ビウェル以外、内心突っ込んだ。若さ故の勇気か、過ちか。
「秘密です。」
セルビィは、人差し指を唇にあてて くすくす と、可愛らしく微笑んだ。
心臓を捕まれた、その可愛らしい仕草に心を。
ではない。
心臓に爪を立てられ、命の危機さえ感じられる。
勇者は、己の敗北を確信した。
(怖い。)
体が、震えた。
(これが、父上の感じている 恐怖か。)
得体の知れない化け物の、恐怖をビウェルは感じた。
「最初の話とは? 」
ジャックが勇気を出して、話を反らすためにセルビィに聞いて来る。セルビィは、ジャックに目を向けた。
「チャイニ国内の、豪の者の事です。」
「ああ、そうでした。救出成されるので。」
「はい。辛い思いをさせました。」
セルビィは、目を伏せて手を合わせた。
「でも、チャイニ国の脂肪侯爵様が 良い事を成されましたので 機会かと。」
「チャイニ国の脂肪? 」
ビルケンとジャックは、頭を捻る。
「ドービル侯爵、です。」
ビウェルが、言った。
「あの、で ドービル侯爵ですか。」
ジャックは、ふくよかなドービル侯爵を思い出した。
「確か、令嬢達に失礼な事を言ったと聴いたが。」
ビルケンは、息子を見る。ビウェルは、首を傾げた。
「其れが何故、良いことをしたと? 」
「セルビィに、取って良いことだ。」
ナルトは、頭を抱えながら言った。
「はい。とても良い、働きをしてくれましたので。謝罪だけで、許して上げたのです。」
セルビィは慈愛の天使の様に、微笑んだ。
「今頃、チャイニ国の王都では豪の者を手放したいと思っている事でしょう。」
「其れは、どう言う。」
其処にいる者は、セルビィを見る。
「脂肪様の御陰で、チャイニ国に父様達が どれ程憤怒しているか知れ渡ったことでしょう。」
「セルビィ、お前。」
「彼等は、いつ父様達が攻め入ってくるか 戦々恐々としているでしょう。」
くすくす と、笑う。
「勿論、豪の者に無体なことをした者も『地の果てまで追い掛けて、断罪してやる。』との言葉を付け加えさして貰いました。」
笑う。
「今頃、豪の者をお持ちの方々は 途方に暮れていることでしょう。
消すことも、手放すことも出来ず。」
セルビィは、冷たく微笑み冷たく言葉を紡ぎ出す。
其れは、セルビィの心の底の怒りの様で有った。
「今なら、安く手に入るでしょう。」
セルビィは、持ってきたノートをジャックに差し出す。
「チャイニ国にいる、豪の者のリストです。」
ナルトは、驚いた。
「お前、いつの間に。」
セルビィは、チャイニ国に売られた者達の居場所を 総て調べさせていた。
何時の日にかきっと、取り戻す為に。彼は味方には、限りなく優しかった。
(仕事使いは、荒いがな。)
ナルトは、震えた。
どれだけの人員を、チャイニ国に忍ばせているのか。
(此奴、ロビン以外にも沢山 友達を手に入れていたからな。)
ナルトは、溜息を付いた。
(セルビィの情報源は、これか。)
多分、他の国もセルビィの友達は沢山 忍んでいるのであろう。
「参った。」
ナルトは、声を出して笑った。セルビィは、急に笑いだしたナルトを きょとんとした顔で見ていた。
(((て、敵に、成らなくって 良かった。)))
三人は セルビィの洞察力に、驚愕する。そして、心の底から安堵した。
だが、ビルケンは組織の長として 是だけは聞かなくてはならなかった。
「この国を、見限るとして 俺達は何処に行くのだ。」
セルビィは、一瞬目を開き細めた。
「安心して下さい。流浪の民には、成りません。」
セルビィは、ビルケン達に優しく微笑んだ。
そして、数日後。
ルナの大地の外れに出来た国を見て、ビルケンとジャックは驚愕するので有った。
セルビィが、フレックス侯爵家を訪れている間。
セルビアと令嬢達は、何時ものお茶会を開いていた。
「ねえ、どう思う。」
リリアナが、言った。
「そうですわね。」
アイリーンが、頰に手をあて首を傾げる。
「少し、見方が変わりましたわ。」
テレジアが、頷く。
「何の事? 」
セルビアは、お茶を飲んだ。
「セルビィ君の事よ。」
「びっくり、しました。」
「ええ、怖いくらい。」
「何を言ってるの? セルビィは、優しいわよ。」
リリアナは、セルビアに詰め寄った。
「確かに、私達には優しいわよ。でも、私はあの時 セルビィ君の笑顔の下に悪魔を見たわ。」
「セルビィは、天使よ。」
「だとしても、糾弾の天使です。」
「罪を裁く、恐ろしい天使よ。」
口々に令嬢達は、セルビィを言葉に表す。
立食会で、ドービル侯爵を攻め落とす姿は。恐ろしいモノが有った。
冷ややかな目、追い詰める言葉。セルビィの闇の部分を少し 垣間見た令嬢達は驚愕していた。
「セルビィは、天使よ。」
一人、現実を見ようとしない者がいた。
「娼館も知らない、ピュアな天使よ。」
セルビアは、否定する。
「「「其れは、セルビアの教育でしょう!! 」」」
三人は、声にだしていった。
「だって、だって、汚れて欲しく無かったんだもん。」
セルビアは、頰を膨らました。
「確かに、其方の方は汚れて無いかも知れませんけど。」
「他の部分は、如何かしら。」
「真っ黒けよ。」
「違うわ!! セルビィは、セルビィは、真っ白の天使よ!! 」
どうしても、見留めたくないセルビアが此処にいた。
しかし、彼女らは近いうちに セルビィの現実を知る事に成る。
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