悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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令嬢達の、周りの出来事。

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三年のオレヲ・バレットが、学園から姿を消したのは言うまでもない。噂では、王太子の不況を買ったという話しだ。
其れは、中等部の学園に通い始めた時 いきなり学園から退席した教員のモニカ先生を思い出させた。
セルビア達四人の令嬢は、何時ものように朝一番のお茶会に勤しんでいた。話題は昨日の、バレットの事であった。その話しから、子供の頃の話しへと移って行った。
「あの時、噂では貴族社会で先生は 爪弾きにされたと聞いたわ。」
セルビアが、言い出した。
「それなら、中等部の二年の時。私を突き飛ばした男の子、そう どっかの大きな商会の御曹司は 街中で女の子に怪我をさせたって噂で いなくなってた。」
リリアナも、過去を思い出す。続けて、アイリーンが
「それなら、三年の時。売店企業の商会が暴利をむさぼっていたと、捕まってますわ。あの時は、私たち 豪の者に何も売って下さらなかったわ。」
「高等部に上がって、慈善事業で教会に行った時。私の胸を触った司祭。他のセクハラもばれて、何処か人のいない教会に飛ばされたと聞いたわ。」
テレジアが続く。
「二年の時の侯爵令嬢。」
「あの、嫌味な令嬢。」
「何かご病気に、なられたようで。」
「違うわよ。屋敷に女の子のお化けが出るって、領内に戻ったのよ。」
セルビア達は、押し黙った。
「ねえ、高等部に上がってから生徒会役員が 次々代わっているて聞いた事ない。」
「ええ、私たちに酷い仕打ちをしていた 人ばかりですわ。」
「生徒会役員は、呪われているって 噂。」
「でも、私たちに関係ないわよ。殆ど、家庭内の相続問題で揉めて 辞めて行ったんだし。」
セルビアは、慌てて言った。
「今回の事は、セルビィがちょっと 騒いだから。その所為だと、思うけど。」
「そ、そうよね。」
「偶然ですわよね。」
「偶然よ。」
セルビア達は、お茶を飲んだ。令嬢四人は、ため息を付く。
「でも、ほら。公爵家なら、暗部見たいな人達が居て 裏で蠢く とか。」
リリアナは、上目 目線でセルビアを見る。
二人の令嬢達も、セルビアを見た。セルビアは慌てて、手を振った。
「ない、ない、ない。お父様に、そんな緻密な事 出来る筈はないわ。」
「でも、ボルト様は 頭が良さそうですわ。」
「そうね、あの人なら。」
アイリーンの後にテレジアが、続いた。
「ボルト様に、そんな策略めいた事 出来ないわ。」
セルビアは、顔を真っ赤にして反論する。
「そうね。私たち、豪の者は どちらかというと。」
「脳天気だし。」
「リリアナ様、裏表が少ないと言って下さい。」
「そうよ、そんな陰湿な事が考えれたら。もう少し、上手くやって行けるわよ。」
裏で策略できれば、もう少し生活が良くなって居ただろう。だが、豪の者は単純明快であった為、良いように使われていた。
「そうね。お父様も、直ぐ顔に出るし。」
「ええ、何か必死に隠してるようですわ。」
「時々、ニヤニヤしてるのよ。」
「皆の処も? 私のお父様も、ニコニコしてるのよ。」
セルビアが、頷いた。
「「「セルビア様のお父様は、天然でしょう。」」」
三人の令嬢は、声を合わせて言った。
「ひっどーい!! 」
セルビア達、令嬢は声を上げて笑いあった。朝の優しい風の中、四人の令嬢は穏やかな時間を過ごしていた。


その頃、セルビィは生徒会第一に 居た。
「セルビア達は、来ないのか? 」
書斎の机に陣取り、
「来ません。」
セルビィは、微笑みながらきっぱり はっきり 言った。
「去年まで姉様。姉上は、王太子殿下達にご迷惑をお掛けしたと 反省なさって。学園に通う間は、ご迷惑をお掛けしないと。もう、此所には来ないと言ってました。」
アランは、慌てた。
「別に、迷惑ではない。」
「殿下の優しいお気持ちは、分かります。しかし、姉上達は殿下達に嫌われている事は解っているのです。」
セルビィは、殿下以外のレイモンド達に目を向ける。
「ですので、僕。僕も、姉上が 自分を心配をして此方を覗きに来ない様に、此所には来ないと誓います。」
レイモンド達も、慌てた。
「ま、待て。其れは、駄目だ!! 」
「そうです、貴方は公爵なのですから。」
「私達と共に、公爵と言うものを学ばなければなりません。」
ここで、頷けばセルビィは此所に来る事はなくなる。そうなれば、令嬢達も姿を現す事は無い。彼等はセルビィを囲い込みに入った。
自らセルビア達に用も無く会いに行くのは、プライドが許さなかった。
「でも、僕は豪の者ですし。」
哀しそうに、目を伏せた。
「その事だが、私が改善させても良い。」
アランは、上から目線で座っているセルビィを見る。
「本当ですか? 」
セルビィは、嬉しそうに素直に返した。
「まあ、な。私の后の一族だからな。」
頰を染めながら、目線を反らした。
「ありがとう御座います、王太子殿下。姉上達も、喜びます。」
セルビィは、天使の微笑みで喜んだ。心は、冷え切っていたが

(后なんて、なりませんけど。)


「神の教えでは、神を崇める者は信者です。テレジアは、慈善事業でよく教会に行ってますね。慈悲深い、女性です。」
「アイリーンが 彼女が、そう私に乞うのならば。」
「リリアナの嫁さんの、願い事位 叶えてやっても良い。」
セルビィは、手を合わせてただ微笑んでいた。

(何、頓珍漢な事を言ってるんでしょうこの人達は。今までの仕打ちを憶えていられない程の鳥頭なのでしょうか。)

「ランドール公爵も、三伯爵も愛国心の強い者と聞く。」
アランは、腕を組み頷いた。
「私達は、良い王と王妃になれるだろう。」

(いえ、なりませんよ。)

アランは皆を、見回す。
「その時は、公爵達には 私を支えて貰おう。」
「「「はい。妻共々、この国を護ります。」」」
三人が、アランに頭を下げた。セルビィは、ただ微笑んでいる。

(姉様達との結婚なんて、僕が許すとでも? )

自分本意な事を言う、四人にセルビィは優しく微笑んでいた。その笑顔が、妖しさが増していくのにアラン達は気づかなかった。
セルビィは、学園の中枢に意図して入っていった。
アラン達は、其れに気づかない。
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