2 / 6
「婚約解消、致しましょう。」
しおりを挟む
「私と、婚約解消してくれ。」
彼の言葉は会場内に響いた。婚約披露パーティーが、婚約解消パーティーに変わる一言であった。
彼ガレットの言葉に、婚約者の女性は目を見開いた。
女性の名はエンゼル・フォン・パイ候爵令嬢。燃えるような赤毛に青い瞳、赤いドレスがよく似合っている。
男性にモテそうな美女である。モテそうではなく、彼女はとてもモテていた。色気のある顔立ち、はち切れそうな肉体美、何故か彼女は今まで婚約者が居なかった為、かなりの令息と出会いを謳歌していた。
婚約披露であるが故、婚約者である令息のエスコートに一応付き合っていたが、親に無理矢理決められた婚約に彼女の顔には誰が見ても分かる愛想笑いを貼り付けていた。
(はあ…… 目が笑っていない。)
婚約者である彼は、エスコートを一応されながら心の中で愚痴た。
(愛想笑いが、引き攣っているぞ令嬢。)
口元を引き攣らせているエンゼルを彼は上から覗き見る。つい自分の眉間に皺がよる。
(親に決められた俺が嫌なのは分かるが、俺だって親に無理矢理婚約を決められたんだ。)
彼は、エンゼルの添えた手を振りほどきたくなってきた。
(君みたいに顔が良いだけのビッチ、結婚したいなんて思う訳ないだろ。)
親が勝手に決めてきた婚約者は男性と出会いを謳歌するビッチときた。彼は心の底から、彼女に対する嫌悪感で不快を示した。
何度かの顔合わせも、彼は嫌で嫌で堪らなかった。顔を合わせれば引き攣った愛想笑いで会話すらままならない。挨拶だけで無言、早く終わらないか何度も何度も時計を気にして見ている女性。そしてお開き。数回の顔見せを試みて、今日の婚約披露のパーティーに突入していた。
(そんなに嫌なら親に婚約解消を言えよ。俺は何時だって受けてやる。)
眉間の皺が深くなるのを彼は感じていた。
(貴族だから政略結婚は仕方ないのは分かるが、もう少しマシな女性は居なかったのか母上。こんなビッチ、下半身に慎みのない女性など俺は嫌だ。)
聞くところによると、数日付き合っただけで男性と別れていると言う。一日デートをしただけで別れを告げられた男性も居ると言う。
(貢がせるだけ貢がせて、金が無くなったらポイだと。)
現にポイさられた男性はエンゼルの事を『ビッチ』と罵っている。
(つまりヤル事はヤッてるって事だ。『ビッチ』と言われるからには。)
最初は誘ってきて、『飽きた』とポイ捨てされたと嘆いている男性もいる。
(結婚しても絶対浮気をするだろう。この顔は絶対浮気をする顔だ!! )
豊満な身体と美人であり過ぎるエンゼルを彼は苦々しく睨みつけた。
(俺は恋愛結婚がしたいんだ!! それが無理なのは分かっている、だがせめてお互い尊敬し合える夫婦になりたい。)
出会いは政略結婚でも、愛し愛される仲になる夫婦はいる。彼は其れを期待して、エンゼルの名前を聞いて足元から崩れた。それでも眉間に皺を寄せながらも、歩み寄ろうと努力はしてみたがビッチへの不快感はぬぐえなかった。
(貞操観念の無い女性は嫌だ!! 俺だけを好きになってくれる、妻だけを好きになれる女性がいい!! 愛人なんて作りたくもないし、作られたくもない!! )
彼は心の中で葛藤する。
(結婚したら、俺をだけを思ってくれるか? いや、無理だろう。)
彼は、今を逃したら駄目だと一大決心をする。
(この場所でなくては駄目だ。後がない。)
ふっ、とエンゼルから彼は離れた。
「こんな場所で言うのはナンだが、エンゼル嬢。」
彼の声にエンゼルは顔を上げた。向かい合うエンゼルの青いの瞳に自分が写し出される。
何事かと、会場が静まり返った。
「私と、婚約解消をしてくれ。」
静まり返った会場にガレットの声が響いた。
ガレットの言葉に目を見開いたエンゼルはその目を細めた。
「婚約解消、致しましょう。」
満面の笑みで彼女エンゼルは彼ガレットに応えた。
会場内が驚きに声を上げた。
特に、両家の親が。
彼の言葉は会場内に響いた。婚約披露パーティーが、婚約解消パーティーに変わる一言であった。
彼ガレットの言葉に、婚約者の女性は目を見開いた。
女性の名はエンゼル・フォン・パイ候爵令嬢。燃えるような赤毛に青い瞳、赤いドレスがよく似合っている。
男性にモテそうな美女である。モテそうではなく、彼女はとてもモテていた。色気のある顔立ち、はち切れそうな肉体美、何故か彼女は今まで婚約者が居なかった為、かなりの令息と出会いを謳歌していた。
婚約披露であるが故、婚約者である令息のエスコートに一応付き合っていたが、親に無理矢理決められた婚約に彼女の顔には誰が見ても分かる愛想笑いを貼り付けていた。
(はあ…… 目が笑っていない。)
婚約者である彼は、エスコートを一応されながら心の中で愚痴た。
(愛想笑いが、引き攣っているぞ令嬢。)
口元を引き攣らせているエンゼルを彼は上から覗き見る。つい自分の眉間に皺がよる。
(親に決められた俺が嫌なのは分かるが、俺だって親に無理矢理婚約を決められたんだ。)
彼は、エンゼルの添えた手を振りほどきたくなってきた。
(君みたいに顔が良いだけのビッチ、結婚したいなんて思う訳ないだろ。)
親が勝手に決めてきた婚約者は男性と出会いを謳歌するビッチときた。彼は心の底から、彼女に対する嫌悪感で不快を示した。
何度かの顔合わせも、彼は嫌で嫌で堪らなかった。顔を合わせれば引き攣った愛想笑いで会話すらままならない。挨拶だけで無言、早く終わらないか何度も何度も時計を気にして見ている女性。そしてお開き。数回の顔見せを試みて、今日の婚約披露のパーティーに突入していた。
(そんなに嫌なら親に婚約解消を言えよ。俺は何時だって受けてやる。)
眉間の皺が深くなるのを彼は感じていた。
(貴族だから政略結婚は仕方ないのは分かるが、もう少しマシな女性は居なかったのか母上。こんなビッチ、下半身に慎みのない女性など俺は嫌だ。)
聞くところによると、数日付き合っただけで男性と別れていると言う。一日デートをしただけで別れを告げられた男性も居ると言う。
(貢がせるだけ貢がせて、金が無くなったらポイだと。)
現にポイさられた男性はエンゼルの事を『ビッチ』と罵っている。
(つまりヤル事はヤッてるって事だ。『ビッチ』と言われるからには。)
最初は誘ってきて、『飽きた』とポイ捨てされたと嘆いている男性もいる。
(結婚しても絶対浮気をするだろう。この顔は絶対浮気をする顔だ!! )
豊満な身体と美人であり過ぎるエンゼルを彼は苦々しく睨みつけた。
(俺は恋愛結婚がしたいんだ!! それが無理なのは分かっている、だがせめてお互い尊敬し合える夫婦になりたい。)
出会いは政略結婚でも、愛し愛される仲になる夫婦はいる。彼は其れを期待して、エンゼルの名前を聞いて足元から崩れた。それでも眉間に皺を寄せながらも、歩み寄ろうと努力はしてみたがビッチへの不快感はぬぐえなかった。
(貞操観念の無い女性は嫌だ!! 俺だけを好きになってくれる、妻だけを好きになれる女性がいい!! 愛人なんて作りたくもないし、作られたくもない!! )
彼は心の中で葛藤する。
(結婚したら、俺をだけを思ってくれるか? いや、無理だろう。)
彼は、今を逃したら駄目だと一大決心をする。
(この場所でなくては駄目だ。後がない。)
ふっ、とエンゼルから彼は離れた。
「こんな場所で言うのはナンだが、エンゼル嬢。」
彼の声にエンゼルは顔を上げた。向かい合うエンゼルの青いの瞳に自分が写し出される。
何事かと、会場が静まり返った。
「私と、婚約解消をしてくれ。」
静まり返った会場にガレットの声が響いた。
ガレットの言葉に目を見開いたエンゼルはその目を細めた。
「婚約解消、致しましょう。」
満面の笑みで彼女エンゼルは彼ガレットに応えた。
会場内が驚きに声を上げた。
特に、両家の親が。
4
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説
ある愚かな婚約破棄の結末
オレンジ方解石
恋愛
セドリック王子から婚約破棄を宣言されたアデライド。
王子の愚かさに頭を抱えるが、周囲は一斉に「アデライドが悪い」と王子の味方をして…………。
※一応ジャンルを『恋愛』に設定してありますが、甘さ控えめです。
嘘だったなんてそんな嘘は信じません
ミカン♬
恋愛
婚約者のキリアン様が大好きなディアナ。ある日偶然キリアン様の本音を聞いてしまう。流れは一気に婚約解消に向かっていくのだけど・・・迷うディアナはどうする?
ありふれた婚約解消の数日間を切り取った可愛い恋のお話です。
小説家になろう様にも投稿しています。
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
婚約者をないがしろにする人はいりません
にいるず
恋愛
公爵令嬢ナリス・レリフォルは、侯爵子息であるカリロン・サクストンと婚約している。カリロンは社交界でも有名な美男子だ。それに引き換えナリスは平凡でとりえは高い身分だけ。カリロンは、社交界で浮名を流しまくっていたものの今では、唯一の女性を見つけたらしい。子爵令嬢のライザ・フュームだ。
ナリスは今日の王家主催のパーティーで決意した。婚約破棄することを。侯爵家でもないがしろにされ婚約者からも冷たい仕打ちしか受けない。もう我慢できない。今でもカリロンとライザは誰はばかることなくいっしょにいる。そのせいで自分は周りに格好の話題を提供して、今日の陰の主役になってしまったというのに。
そう思っていると、昔からの幼馴染であるこの国の次期国王となるジョイナス王子が、ナリスのもとにやってきた。どうやらダンスを一緒に踊ってくれるようだ。この好奇の視線から助けてくれるらしい。彼には隣国に婚約者がいる。昔は彼と婚約するものだと思っていたのに。
なにひとつ、まちがっていない。
いぬい たすく
恋愛
若くして王となるレジナルドは従妹でもある公爵令嬢エレノーラとの婚約を解消した。
それにかわる恋人との結婚に胸を躍らせる彼には見えなかった。
――なにもかもを間違えた。
そう後悔する自分の将来の姿が。
Q この世界の、この国の技術レベルってどのくらい?政治体制はどんな感じなの?
A 作者もそこまで考えていません。
どうぞ頭のネジを二三本緩めてからお読みください。
私を売女と呼んだあなたの元に戻るはずありませんよね?
ミィタソ
恋愛
アインナーズ伯爵家のレイナは、幼い頃からリリアナ・バイスター伯爵令嬢に陰湿ないじめを受けていた。
レイナには、親同士が決めた婚約者――アインス・ガルタード侯爵家がいる。
アインスは、その艶やかな黒髪と怪しい色気を放つ紫色の瞳から、令嬢の間では惑わしのアインス様と呼ばれるほど人気があった。
ある日、パーティに参加したレイナが一人になると、子爵家や男爵家の令嬢を引き連れたリリアナが現れ、レイナを貶めるような酷い言葉をいくつも投げかける。
そして、事故に見せかけるようにドレスの裾を踏みつけられたレイナは、転んでしまう。
上まで避けたスカートからは、美しい肌が見える。
「売女め、婚約は破棄させてもらう!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる