短編集

ぽよ

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ファンタジー

水と油

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「ラーメンの気分だ」
「そこの焼肉でもいいな」
「いっそ宅配ピザという手も」
「ピザはもういらねえ」
「ファミレスにするか」
「仕方ねえか」

 東京某所。仕事終わりの男2人が夕食の内容で喧嘩していた。この2人はいわば水と油だった。決して混ざらない。そして喧嘩がヒートアップするとろくなことがない。街が消し飛ぶこともある。そしてその事実を揉み消すほどの力もある。そんな2人が食べる夕食は、ファミレス。その約束の地へ向かうために2人は歩く。そして、ある異変に気付く。

「なんか変じゃね?」
「あれ、ファミレス電気ついてないな」
「やっぱそうだよな」
「今日休みだっけ?」

 どう見ても様子が変だ。いつ閉まってるかも分からないほどいつ来てもやっているファミレスが閉まっていた。ふとその上を見上げると、普段なら絶対に見えない満点の星空が見えた。

「やっぱりなんか変だよ」
「星空か。久しぶりだな」
「で、あれはなんだ。竜か」
「あぁ。竜だな。あれのせいか」
「ったくめんどくせえなぁ全く」
「ちゃちゃっとやるか」
「はいよ」

 2人はイライラし始めていた。どんな存在であっても仕事終わりの飯を邪魔する存在が許せなかった。どちらともなく2人は魔法の詠唱を始めた。何よりも夕食を邪魔されたのが気に食わなかった。2人が魔法を放てばおそらくファミレスは木っ端微塵になるだろう。しかし、電気が消えているならば人は避難しているはずだ。2人はそう考えて魔法を使った。目の前にいた竜が綺麗に黒焦げになった。

「飯の邪魔してんじゃねえよクソッタレ」
「さてと処分もしたし食べようぜ」

 ファミレスは跡形もなく消えたが、今回はなんとか街を消し飛ばさずに済んだ。竜を片付けた2人は何事もなく歩き始め、夕食を目指す。そして、あることに気付く。

「街がこの有様ってことは外食無理じゃね?」
「もーまじでやってらんねえよぉ!」

 外食に向かっていた2人は結局家へと逆戻り。今日の夕食を決め直し。そんな2人の人生は、まだまだ続く。
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