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邂逅
大学生活
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大学生活にも徐々に慣れていき、高杉との出会いから1ヶ月が経過していた。あれから結局高杉とは連絡を取り合っているわけでもなければ、本人にも会っていない。特段避けているわけではないのだが、高杉から会いにくることも無かった。顔は悪く無かったし身長も低くない。恋人でもできたのだろうか。
朝の8時30分。早朝とは言い難いが、一般的な店が空いている時間ではない。唯一開いているのはコンビニくらいだった。駅前の少し大きめのコンビニでお茶を買ってから大学へと向かう。それがいつもの梨咲の動きだった。特に何も気にすることなく歩いていると、後ろから声かけられる。
「小宮さん、おはよう」
「え?あぁ、おはよう」
「最近バタバタしてて小宮さんに会いに行けなかったんだよ」
「別に困ってないよ。気になってはいたけれども」
「そうなんだ」
「最近ちょっとバタバタしててね。ゴールデンウィーク明けまで色々もつれこんだんだよ」
「ふーん」
梨咲にとっては高杉の事情にまでは興味が無かった。梨咲もバタバタしていたことには変わりない。そんな状況下でわざわざ恋人でもない男に興味を割いていられないというのもある。いつのまにか横に並んだ高杉と一緒に大学へと向かう。
通学路を歩いている間は特に会話もなく、大学へと歩いていく。気まずい空気が流れているわけではなく、ただ単純に話題がないのである。2人で大きな敷地に建つ大学に正門から入る。今日は1限からだった。時刻は8時50分を過ぎており、少しだけ足早に講義室へと向かう。高杉も同じ講義かと思ったが、講義棟の階段を登りきったところで梨咲とは逆方向に進んだ。
「じゃあ俺、教職あるから!」
「あ、うん」
最後は別れの挨拶もそこそこに高杉は講義室へと走っていった。梨咲も講義に遅れまいと講義室へと走っていく。高杉が無事だったのは良かったのかもしれない。心の片隅で高杉を心配している自分がいることに気づいた。しかし、あのマイペースな男に振り回されるのは面倒くさい。それでも、高杉のことをもう少し知りたいという気持ちが芽生えていた。
講義室に入って少しすると授業が始まった。このコマの授業は数学だった。教養というが梨咲にとっては専門だと思うくらい難しい。それも、大学の一つの基準の中での話なのだろう。半分くらい何を言ってるか分からない授業を必死で受けるが、梨咲の頭にはその半分も残っていない。単位のために頑張るしかない。そしてまだ少しだけ寝ぼけ頭でもある。そんな状態で講義を受けながら板書をとったり思ってる疑問を書いたりしていると90分はすぐに過ぎていく。
講義が終わるチャイムが鳴ると、梨咲はやっとの思いで一息をつく。そして荷物をまとめて講義室を出る。一回の講義で理解できるほど頭がいいとは思っていないが、それでも90分の講義のうち頭に入っているのは10分の1くらいの内容なんじゃないかと自分でも思っていた。そんな時に高杉のことを考えている余裕はない。講義室を出て次の授業の教室へと向かう。次の授業は哲学だった。また高杉に会うのか。久しぶりに会うと、ずっと気になってしまう。この気持ちはなんだろうかと、梨咲は考えていた。
朝の8時30分。早朝とは言い難いが、一般的な店が空いている時間ではない。唯一開いているのはコンビニくらいだった。駅前の少し大きめのコンビニでお茶を買ってから大学へと向かう。それがいつもの梨咲の動きだった。特に何も気にすることなく歩いていると、後ろから声かけられる。
「小宮さん、おはよう」
「え?あぁ、おはよう」
「最近バタバタしてて小宮さんに会いに行けなかったんだよ」
「別に困ってないよ。気になってはいたけれども」
「そうなんだ」
「最近ちょっとバタバタしててね。ゴールデンウィーク明けまで色々もつれこんだんだよ」
「ふーん」
梨咲にとっては高杉の事情にまでは興味が無かった。梨咲もバタバタしていたことには変わりない。そんな状況下でわざわざ恋人でもない男に興味を割いていられないというのもある。いつのまにか横に並んだ高杉と一緒に大学へと向かう。
通学路を歩いている間は特に会話もなく、大学へと歩いていく。気まずい空気が流れているわけではなく、ただ単純に話題がないのである。2人で大きな敷地に建つ大学に正門から入る。今日は1限からだった。時刻は8時50分を過ぎており、少しだけ足早に講義室へと向かう。高杉も同じ講義かと思ったが、講義棟の階段を登りきったところで梨咲とは逆方向に進んだ。
「じゃあ俺、教職あるから!」
「あ、うん」
最後は別れの挨拶もそこそこに高杉は講義室へと走っていった。梨咲も講義に遅れまいと講義室へと走っていく。高杉が無事だったのは良かったのかもしれない。心の片隅で高杉を心配している自分がいることに気づいた。しかし、あのマイペースな男に振り回されるのは面倒くさい。それでも、高杉のことをもう少し知りたいという気持ちが芽生えていた。
講義室に入って少しすると授業が始まった。このコマの授業は数学だった。教養というが梨咲にとっては専門だと思うくらい難しい。それも、大学の一つの基準の中での話なのだろう。半分くらい何を言ってるか分からない授業を必死で受けるが、梨咲の頭にはその半分も残っていない。単位のために頑張るしかない。そしてまだ少しだけ寝ぼけ頭でもある。そんな状態で講義を受けながら板書をとったり思ってる疑問を書いたりしていると90分はすぐに過ぎていく。
講義が終わるチャイムが鳴ると、梨咲はやっとの思いで一息をつく。そして荷物をまとめて講義室を出る。一回の講義で理解できるほど頭がいいとは思っていないが、それでも90分の講義のうち頭に入っているのは10分の1くらいの内容なんじゃないかと自分でも思っていた。そんな時に高杉のことを考えている余裕はない。講義室を出て次の授業の教室へと向かう。次の授業は哲学だった。また高杉に会うのか。久しぶりに会うと、ずっと気になってしまう。この気持ちはなんだろうかと、梨咲は考えていた。
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