明太子

ぽよ

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交わり

15話

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 喫茶店でボックス席に通される。先週を思い出しながら席に着く。莉子と後輩は隣に座り、向かい合う席には望月が座った。望月は気楽に構えていたが、二人は気が気ではなかった。
 こちらから話題はほとんど振らず、望月からの話題に相槌と同意と愛想笑いでなんとか誤魔化し、聞くことに徹する。

「滝沢さんは好きな人とかいるんですか?」
「それ、前も聞かれませんでしたっけ」
「そうだったかな。あれから変わってるところとかあるかなって」
「人はそんなに簡単には変わらないですよ」
「なんか、ごめん」

 望月はきっと異性のことを指している。冷たい応対になるが、元々興味のない人間にまともな応対をする気がない。たったそれだけだった。
 その会話のあとは弾んだ会話もなく、ただただ時間が過ぎていくだけだった。莉子も後輩も、その選択肢が正解だったんじゃないかと思うことでしかここを切り抜けられなかった。
 望月の話が面白くないわけではない。しかし、それをこんな時間を取ってまで聞く価値があるかと問われるの、それは否だった。

「そろそろ行きましょうか」
「え、あ、はい」
「了解でーす」

 昼前になれば当然のことながら喫茶店は混んでくる。それを見越して会計を提案すれば断り辛くなる。二人の作戦だった。会計札を持ってレジへと向かう。後ろを後輩と望月がついてくる。

「あ、俺払いますんで」
「あ、大丈夫です」
「いや、俺が出します」
「ここで貸し作るのめんどくさいんで」
「そんなんじゃないです」

 望月はそう言いながら財布からお金を取り出す。会計の後ろがつっかえても困るのでここは折れることにした。会計は3人で4000円だった。喫茶店にしてはすごい高い気がするが、望月が何かを食べていた気がする。そう思えばそんなものかもしれない。
 会計が終わり店の外に出る。夏真っ盛りの外は気温が35度に達すると予報が出ていた。残念ながら莉子も後輩も日傘を持ち歩くタイプではなかった。気持ち程度の日焼け止めは塗っているが、これでは明日は日焼け確定かもしれない。莉子も後輩もオフモードだが、望月はチャンスを逃すまいと話しかけてくる。

「これからどうします?」
「どうするって言われても」
「望月さんの奢りならお昼食べてもいいですよ」
「うーん、いいですよ」
「じゃあラーメンで!」
「いいですよ」

 後輩と望月との会話に、仕事の風景が投影されているように見えた。喫茶店を出てラーメン屋を目指す。後輩は行きたい店が決まっているらしく、先頭を歩いている。さっきまで元気にコーヒーを飲んでいたというのに、まだ入るというのは驚きだった。莉子は小ラーメンなら食べられると思うことにして、後ろをついていくことしかできなかった。
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