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進路
しおりを挟む無事なんとか中間テストも終わり、テストが返ってくる。赤点はひとまず回避し、数学も自分の中ではいい点数を取れた。高島さんも、なんとか赤点は回避したらしい。
「テスト終わったー」
「長かった気がする」
「テストは毎回長いよーテスト勉強もあるしー」
「まぁそうだね」
「私は理系に行きたいから理系の勉強だけがしたい!」
「理系かぁ」
「山口くんは文系に行くの?」
「まぁそうだと思う」
「そっかぁ」
「高島さんとやる数学は楽しいけど、高島さんみたいにできるわけじゃないからさ」
「うんうん」
「無難に社会学部とか行くんじゃないかな」
「なるほどねー」
その時の高島さんの顔は分かっていたけど残念、というのが目に見えるほど分かる顔だった。僕が進む道は、僕にしか決められない。それは、変わらない。けれど、高島さんとの数学は楽しみたい。卒業するまでも、卒業してからも。その思考を察知したのか分からないけれど、高島さんがポツリとつぶやいた。
「山口くんとずっと数学したいなぁ」
「できるはできるんじゃない?連絡先も知ってるし」
「それはそうだけど、そうじゃなくて」
「どういうこと?」
「なんでもない」
もぞもぞする高島さん。こんな高島さんを見るのは初めてだった。気になったけれど、うまく言葉にできないまま、時間だけが過ぎていく。普段なら放課後で数学をやっている時間だが、今日は何もせず二人で雑談タイムだった。僕が進むべき道は、僕自身がまだ決めていない。人生何が起きるか分からない。けれど、後悔のない選択がしたい。高島さんと違う道を選ぶことが正解なのか、僕にはまだ分からなかった。
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