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中間テスト

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 一学期が半分を過ぎ、春から初夏に変わりつつある。僕と高島さんは中間テスト対策の勉強会をしていた。

「二年になってもテストはあるんだよねー」
「めんどくさいけどね」
「私は数学がやりたいんだよ!」
「テストで赤点回避しないと課題もめんどくさいしね」
「めんどくさいねー」

 ダラダラと過ぎていく放課後。毎日数学はやっているが、他の科目は毎日やっているわけではない。つまり、テスト勉強でやるべきことはたくさんある。提出物を整えることから始まり、重要事項の確認、問題演習。それらの全てをこなしても、100点が取れるかどうかはわからない。でも、やらなければ大量の課題が待っている。二人でめんどくさいと思いながらもテスト勉強をする。

「数学だけできたら入れる大学とかないかなぁ」
「あるにはあるんじゃない?レベルの高い大学なら」
「調べてみようかな」

 本当かどうかも僕に聞かないままインターネットで調べ始める高島さん。本当に数学が好きなんだと言うことを見せられている気がした。テスト勉強を投げ出してスマートフォンでひたすら検索をする姿を見ながら、僕も進路についてそろそろ考えなければという段階に来ていると考えていた。普段から何かを趣味にしているわけではない。これから進路を探していくことになる。高島さんは理系に行くのだろう。高島さんとはどうやっても交わることのない世界に自分はいる。今机に突っ伏してやる気がなくなっている高島さんといつまで一緒にいられるか分からないけれど、それでもできるだけ長い時間、一緒にいられるなら嬉しい。ぼんやりと、どうすれば高島さんと同じ世界に行けるのかを考えていた。

「難しい顔してないで勉強しようよー」
「高島さんも机に突っ伏してたでしょ」
「私は休憩だから」
「なるほど」

 一応納得した素振りはしてみるが、高島さんも休憩中だったなら人のことは言えないのではないか。そんな不毛な議論はしない。そして言われた通り、テスト勉強を再開する。空はまだ明るいままだった。
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