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数学部
しおりを挟む次の日の放課後、僕と高島さんは職員室へと向かっていた。昨日と同じように職員室に入ろうとしたところで、担任の先生に横から話しかけられた。
「お、どうしたんだ。なんかあったのか」
「先生!数学部が作りたいです!」
「部活かぁ」
「作れますか?」
「部員が5人以上集まるなら出来なくはないが…空き教室があるかだな」
「物理部室がありますよ!」
「あー、確かにあそこは空いてるな…」
「じゃあいけますよ!」
「俺の目には二人しか生徒が見えないんだけど」
「私たちにも友達ぐらいいますよ」
「うーん、まぁ作れなくはないが、実態のある活動できるか?」
「実態のある活動?」
「勉強会とか実験とかそういうやつだな」
「私たちは毎日教室でやってますよ!」
「そう言うのじゃないんだよ。もっと難しい内容とか、興味のある内容に関する発表とか。そういうことをしなきゃいけない」
「そう言われると、うーん」
「まぁ、俺がそこで仕事しててもいいなら教室で見ててやってもいいぞ」
「本当!?やったね!」
「まぁ、できるかどうかは俺の忙しさ次第だ」
「えー先生なんとかしてくださいよ」
「そりゃ無茶だ」
「なんか考えます」
「おう。頑張れ」
苦笑する先生に圧倒的な押しで対抗する高島さんだったが、どうやら実現には程遠そうだった。職員室の自席へ戻る先生を見送ってから僕と高島さんは帰路につく。今日はこの一大イベントが終わったら帰ると言う話をしていたのだ。いつも通り校舎を抜けて、校門を抜けて通学路。いつもの道を歩いていると、高島さんがつぶやいた。
「数学部作戦、いけるとおもったのになぁ」
「ダメだったね」
「うーん、物理部もなんだかんだでこんな感じで無くなったのかな」
「多分そうじゃないかなぁ」
「次の一手を考えないと」
「僕は下校のタイミングで帰って高島さんとゆっくり歩くの好きだけどね」
「えっ、そうなんだ」
「うん」
「そっか…」
普段はそんな姿を見せないからこそ、残念そうに落ち込む高島さんが印象的だった。そこにある無念さは、僕の気持ちより遥かに大きなものになっているだろう。それをなんとかしてあげたい。その気持ちが芽生えていた。
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