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数学会
しおりを挟む月曜日の授業がなんとか終わった。今日は数学は無かったけれど、物理はあった。物理も苦手だった。荷物をまとめて高島さんを待つ。高島さんも準備が終わった段階で荷物を持って僕の席に来た。
「おつかれー」
「おつかれ!」
「数学、やる?」
「やるよー、今からやるよー!」
「で、どこでやるの?」
「とりあえずこの教室しかないんじゃない?」
「やっぱりそうなのか」
「仕方ないよ!まだ全然校舎のことわからないし!」
「まぁ、それはそうか」
屋上で弁当を食べたあの日、僕たち2人はかなり走り回った。屋上に上がる時もそうだったけれど、屋上から自分達の教室に戻るのに苦労したのだ。方角はおろか方向すらもわからないまま教室を探した。なんとかギリギリの時間で見つけて飛び込んだが故にセーフだったけれど、それで校舎の構造がわかったわけではなかった。今日は昼休みではなく、放課後。だからこそいろんな場所を見て回ることで空き教室を見つけることができるとは思う。でも、2人にそんな元気はなかった。今日の授業の話をしてから、始める数学の勉強。テスト前でもないのに嫌いな数学をする。それなのに、嫌じゃなかった。不思議な感覚だった。
「教科書、私も持ってたから、一緒に見よう!」
「あ、うん」
「私は今この辺を勉強してるんだー」
「え、早くない?」
「まぁ、数学が好きだからさ」
「そっか」
高島さんはすでに教科書を半分ほど捲ったところを勉強しているらしい。かなりのハイペースだ。僕はまだ授業でやったところすらほとんど勉強していない。そんな現状報告をしたところで、本格的に勉強会が始まる。
「じゃあ、分からないところある?」
「今のところはないよ」
「ないのかーそっかー。どうしようかなぁ」
「多分なんとかなる」
「うーん、勉強会しようと思ったのに」
「高島さんはなんでそんなに数学が好きなの?」
「うーん、なんでだろう。なんか、計算だけ昔から早くて、気がついたら数学ばっかりやってて、好きになったんだよね」
「ほへー」
「まぁ、何から何まで得意なわけじゃないよ。図形とか、あんまり好きじゃない」
「あ、そうなんだ」
「うん。なんかこう、難しいじゃん」
「それはわかる」
「そんな感じ!でもそんなことは考えなくていいんだよ!数学やろう!」
「うん、やろう」
こうして始まった数学会。あまりにも僕の数学能力が低く、高島さんも何かと苦労した。
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