101 / 107
7章
日常を紡ぐ中で
しおりを挟む
沸かしたお湯を入れたカップ麺を食べる。何の変哲もない安定した味のカップ麺。二人で食べながら、明日からのことを話す。
「いただきます」
「いただきます」
「明日からまた大学かぁ」
「授業が始まるな」
「めちゃくちゃ久しぶりだからなんか忘れてそう」
「レポートさえ出してれば大体何とかなるよ」
「そうかなぁ」
「テストに寝坊とかしなければね」
「あー、確かに」
「ま、大丈夫だよ。大体なんとかなる」
「うん、頑張る」
明日からはまた大学が始まる。5連休なんてなかなかない。体が完全に鈍ってそうではあるけど、授業も始まる。賢も明日から毎日研究室に行くことになるだろう。
授業の合間にまた行くことが増えるだろう。休みだったからあの喧騒の中だと違和感を覚えたけれど、授業が始まればそんなこともなく意外と居心地がいいのかもしれない。
昼食を食べながら、ぼんやりと考える。カップ麺を食べ終わり、ひと段落ついた時には賢はもう食べ終わっていた。空になった容器を廊下のゴミ箱に捨ててから、もう一度部屋に戻ってくる。座り直して何事もないかのようにゆったりと過ごす。
「しかしまぁ、充実した休みだったな」
「いろんなことができたもんね」
「そうだな。それが一番大きい」
二人で何もしないまま時間だけが過ぎていく。しかし二人とも何も焦らず、ただただゆっくり時間が過ぎ去るのを感じる。ふとそんな時に賢に聞いてみる。
「午後からってなんか予定ある?」
「なーんもないよ」
「なんもないか。俺も何もないよ」
「いいじゃん。どうせ明日から大学だし、のんびりしようぜ」
「うん、そうしよう」
5日目の今日は午前中に出かけたくらいで、それ以外は何もしていない。しかし、それもまた一つの過ごし方。賢との関係性や過ごし方も少しずつ変わってきている気がする。この二人の関係が、いつまでも続いていくのなら自分も変わっていかなければならない。昼になっても全く変わることのない外の景色を見ながら、そんなことを考えていた。
2人で部屋で思い思いの過ごし方をすること数時間。やけに外が暗い。気がつけば時計は17時を表示していた。
「もう夕方かぁ」
「なんか出かけなくてもあっという間だったな」
「本当だね」
「明日から俺も研究室だ」
「頑張って!」
「ありがとう」
苦笑いする賢を見ながら、仁も明日から授業であることを思い出す。今日はただひたすらゆっくりゆったり過ごしていたけれど、明日からはドタバタするそのことを考えると、少しだけ憂鬱な気もする。しかし、これから勉強することや研究することが少しずつ見えてきてやる気が満ちているのも感じている。自分でもよく分からないけれど、やる気があるのはきっといいことだと言い聞かせる。
スマートフォンを操作して友人や実家への事務連絡を済ませる。そしてまた、何事もなくゆっくりする。そんな時に、ふと賢に話しかけられる。
「そういえばさ」
「うん、どうしたの?」
「最近、襲ってないし襲われてないなって思ったんだよ」
「え?あぁ、まぁ、うん」
「だから、今から襲ってもいい?」
「え?あぁ、え?」
「ダメか?」
「え、別に困らないけど」
「じゃあとりあえず風呂だな」
「え?あぁ、うん」
賢に流されるままお風呂に行く。シャワーで流すだけかと思っていたが、どうやら本格的に風呂のようだ。
「特に汗をかくことがなければ、時間てきには早いけどこの風呂で今日はいいかなぁと思ってるから」
「え?あぁ、うん」
何一つ状況を理解していないが、お風呂なのでとりあえず服を脱いで中に入る。二人で風呂に入っていつものように頭と体を洗う。そして何事もなく終わり風呂から出る。いつも通りの寝巻きになって部屋に戻ったところで賢に呼ばれた。どこから声がしているのか分からないと思ったら、賢はベッドの上だった。
「おいで」
「うん」
少ない会話だが、仁は緊張していた。ベッドに横になると、馬乗りになる形で賢がいた。そして気がつくとズボンもパンツも脱がされていた。
「なんかすごく久しぶりな気がする」
「いつぶりかなぁ」
「夏くらい?」
「かもしれない」
仁にはそんなことを考えている余裕はなかった。気がつけば賢に襲われていて、少しずつ増してくる快感になんとか抗おうとしていた。最初はそうでもなかったはずが、徐々に快感が体を包む。
「ちょ、ちょっとストップ!」
「んー?」
「あっ、ちょっと、ダメ」
体の中心から脳天に向かって突き抜けるような快感の末に果ててしまった。前回とは全く違うそれだった。
その後の脱力感を感じながら何もしないままぐったりとする。
「結構出たな」
「まぁ、最近してなかったしね」
「それもそうか」
「というかなんか前より上手くなってた気がする」
「それは多分気のせいだよ」
「本当かなぁ」
いつのまにか用意されていたティッシュで賢に掃除をされながら、会話をする。自分一人でする時よりも遥かに快感が強かった気がする。これもまた技術の一つなのか、なんてことを考える。そして、考えながらも賢に話しかける。
「仕返ししたいけど、今はちょっと無理だ」
「かなり強めに果ててたしね」
「やっぱり?」
「うん、まぁ」
「まぁ、次仕返しする時は覚悟してて?」
「え、ちょっと」
「ふふふ」
少しずつ意識が戻ってくる中で、そんな会話もする。夕方からもうすぐ夜になる。晩御飯の前に風呂に入ろうか悩む。思っていたより汗をかいた。掃除が終わってからベッドから降りた賢に続き、仁もベッドを降りる。
「そう言えば今日のご飯何?」
「なーんも決めてない」
「パスタ?」
「いやー、それは避けたいな」
「じゃあ、今から買い物?」
「そうだな。行くか」
「その前に風呂だけ入る」
「はいよー、了解」
賢に律儀に戻してもらった服を脱ぎながら風呂へと向かっていく。その時に思っていたことを賢に伝える。
「そういえばさ」
「うん、どうした?」
「これくらいゆったりした時間がずっと続けばいいなって今日改めて思った」
「あぁ、そうだな。こういう時間が取れる時は積極的に取る方がいいかもしれない。また冬休みもあるし、こういう時間を過ごせたら、楽しくなるだろうな」
「やっぱりそう思う?」
「おう、思うぞ」
「年始の同棲に向けて色々頑張らなきゃいけないけど、たまにはゆっくりしようね」
「そうだな。あ、俺も一緒に風呂入るわ。俺もなんだかんだで汗をかいてるし」
「了解」
その言葉の後、冷蔵庫を閉めてから賢も服を脱ぎ始める。今日2回目のお風呂だった。
明日から大学が始まっても、この先同棲が始まっても、賢が社会人になっても、今と同じ幸せな日常が続いていきますように。2人でお風呂に入っていきながら、仁はそんなことを考えていた。
「いただきます」
「いただきます」
「明日からまた大学かぁ」
「授業が始まるな」
「めちゃくちゃ久しぶりだからなんか忘れてそう」
「レポートさえ出してれば大体何とかなるよ」
「そうかなぁ」
「テストに寝坊とかしなければね」
「あー、確かに」
「ま、大丈夫だよ。大体なんとかなる」
「うん、頑張る」
明日からはまた大学が始まる。5連休なんてなかなかない。体が完全に鈍ってそうではあるけど、授業も始まる。賢も明日から毎日研究室に行くことになるだろう。
授業の合間にまた行くことが増えるだろう。休みだったからあの喧騒の中だと違和感を覚えたけれど、授業が始まればそんなこともなく意外と居心地がいいのかもしれない。
昼食を食べながら、ぼんやりと考える。カップ麺を食べ終わり、ひと段落ついた時には賢はもう食べ終わっていた。空になった容器を廊下のゴミ箱に捨ててから、もう一度部屋に戻ってくる。座り直して何事もないかのようにゆったりと過ごす。
「しかしまぁ、充実した休みだったな」
「いろんなことができたもんね」
「そうだな。それが一番大きい」
二人で何もしないまま時間だけが過ぎていく。しかし二人とも何も焦らず、ただただゆっくり時間が過ぎ去るのを感じる。ふとそんな時に賢に聞いてみる。
「午後からってなんか予定ある?」
「なーんもないよ」
「なんもないか。俺も何もないよ」
「いいじゃん。どうせ明日から大学だし、のんびりしようぜ」
「うん、そうしよう」
5日目の今日は午前中に出かけたくらいで、それ以外は何もしていない。しかし、それもまた一つの過ごし方。賢との関係性や過ごし方も少しずつ変わってきている気がする。この二人の関係が、いつまでも続いていくのなら自分も変わっていかなければならない。昼になっても全く変わることのない外の景色を見ながら、そんなことを考えていた。
2人で部屋で思い思いの過ごし方をすること数時間。やけに外が暗い。気がつけば時計は17時を表示していた。
「もう夕方かぁ」
「なんか出かけなくてもあっという間だったな」
「本当だね」
「明日から俺も研究室だ」
「頑張って!」
「ありがとう」
苦笑いする賢を見ながら、仁も明日から授業であることを思い出す。今日はただひたすらゆっくりゆったり過ごしていたけれど、明日からはドタバタするそのことを考えると、少しだけ憂鬱な気もする。しかし、これから勉強することや研究することが少しずつ見えてきてやる気が満ちているのも感じている。自分でもよく分からないけれど、やる気があるのはきっといいことだと言い聞かせる。
スマートフォンを操作して友人や実家への事務連絡を済ませる。そしてまた、何事もなくゆっくりする。そんな時に、ふと賢に話しかけられる。
「そういえばさ」
「うん、どうしたの?」
「最近、襲ってないし襲われてないなって思ったんだよ」
「え?あぁ、まぁ、うん」
「だから、今から襲ってもいい?」
「え?あぁ、え?」
「ダメか?」
「え、別に困らないけど」
「じゃあとりあえず風呂だな」
「え?あぁ、うん」
賢に流されるままお風呂に行く。シャワーで流すだけかと思っていたが、どうやら本格的に風呂のようだ。
「特に汗をかくことがなければ、時間てきには早いけどこの風呂で今日はいいかなぁと思ってるから」
「え?あぁ、うん」
何一つ状況を理解していないが、お風呂なのでとりあえず服を脱いで中に入る。二人で風呂に入っていつものように頭と体を洗う。そして何事もなく終わり風呂から出る。いつも通りの寝巻きになって部屋に戻ったところで賢に呼ばれた。どこから声がしているのか分からないと思ったら、賢はベッドの上だった。
「おいで」
「うん」
少ない会話だが、仁は緊張していた。ベッドに横になると、馬乗りになる形で賢がいた。そして気がつくとズボンもパンツも脱がされていた。
「なんかすごく久しぶりな気がする」
「いつぶりかなぁ」
「夏くらい?」
「かもしれない」
仁にはそんなことを考えている余裕はなかった。気がつけば賢に襲われていて、少しずつ増してくる快感になんとか抗おうとしていた。最初はそうでもなかったはずが、徐々に快感が体を包む。
「ちょ、ちょっとストップ!」
「んー?」
「あっ、ちょっと、ダメ」
体の中心から脳天に向かって突き抜けるような快感の末に果ててしまった。前回とは全く違うそれだった。
その後の脱力感を感じながら何もしないままぐったりとする。
「結構出たな」
「まぁ、最近してなかったしね」
「それもそうか」
「というかなんか前より上手くなってた気がする」
「それは多分気のせいだよ」
「本当かなぁ」
いつのまにか用意されていたティッシュで賢に掃除をされながら、会話をする。自分一人でする時よりも遥かに快感が強かった気がする。これもまた技術の一つなのか、なんてことを考える。そして、考えながらも賢に話しかける。
「仕返ししたいけど、今はちょっと無理だ」
「かなり強めに果ててたしね」
「やっぱり?」
「うん、まぁ」
「まぁ、次仕返しする時は覚悟してて?」
「え、ちょっと」
「ふふふ」
少しずつ意識が戻ってくる中で、そんな会話もする。夕方からもうすぐ夜になる。晩御飯の前に風呂に入ろうか悩む。思っていたより汗をかいた。掃除が終わってからベッドから降りた賢に続き、仁もベッドを降りる。
「そう言えば今日のご飯何?」
「なーんも決めてない」
「パスタ?」
「いやー、それは避けたいな」
「じゃあ、今から買い物?」
「そうだな。行くか」
「その前に風呂だけ入る」
「はいよー、了解」
賢に律儀に戻してもらった服を脱ぎながら風呂へと向かっていく。その時に思っていたことを賢に伝える。
「そういえばさ」
「うん、どうした?」
「これくらいゆったりした時間がずっと続けばいいなって今日改めて思った」
「あぁ、そうだな。こういう時間が取れる時は積極的に取る方がいいかもしれない。また冬休みもあるし、こういう時間を過ごせたら、楽しくなるだろうな」
「やっぱりそう思う?」
「おう、思うぞ」
「年始の同棲に向けて色々頑張らなきゃいけないけど、たまにはゆっくりしようね」
「そうだな。あ、俺も一緒に風呂入るわ。俺もなんだかんだで汗をかいてるし」
「了解」
その言葉の後、冷蔵庫を閉めてから賢も服を脱ぎ始める。今日2回目のお風呂だった。
明日から大学が始まっても、この先同棲が始まっても、賢が社会人になっても、今と同じ幸せな日常が続いていきますように。2人でお風呂に入っていきながら、仁はそんなことを考えていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います
塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる